「自分はこれでいいんだ」と自分自身を肯定的にとらえる感覚「自己肯定感」。
いきいきと生きていくうえで、とても大切なものだと思います。
歌うことも含めて、自ら音楽を演奏することは、自己肯定感を育むのではないか、と思っています。
音楽を演奏する楽しさはどこにあるか
音楽は、人の心に直接働きかけてくるものです。
声に出して歌う
楽器を演奏する
こうした、音楽に能動的にかかわることは、聴くことのみよりもさらに様々な感情を深く体験し、想像力を豊かに膨らませることにつながると考えています。
音楽を演奏する楽しさの一つはそこにあります。
それともう一つ。
演奏することは「表現する」ことでもあります。
楽譜には、フォルテやらクレッシェンドやら、andanteやらrit.やら・・・様々なことが書かれています。
フォルテはこのくらいの音の大きさ、とか、rit.はこのくらいのゆっくりさ、なんて厳密に決められているわけではありません。
それをどの程度するのかは演奏者に任されています。
その曲から感じた感情をいかに自分で表現するか、ということも、自ら弾くことの楽しさの大きな要素です。
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「自己肯定感」音楽を演奏する楽しさの先にあるもの
曲からいろいろなイメージを受け、心動かされ、それを自分の中に落としたうえで表に出していく。
音楽を自ら演奏することによるこうした作業は、自己陶酔にも近い感覚です。
こうした感覚は、自己肯定感に結びつくものだと思います。
カラオケで、自分の世界に浸って熱唱している人を見かけたこと、あるのではないでしょうか。
はたから見ているとちょっと引いてしまったりしますが、「気持ちよさそうだなぁ・・」と思いませんか?
実際、本人はすごく気持ちいいんだと思いますし、見ている側の人だって
実は経験済み
という人、多いのではないでしょうか。
「一人カラオケ」がなぜはやるのか?ってことですよね。
それと一緒です。
好きな曲を自分なりの解釈で表現していく。
私はピアノを弾きますが、自分だけの世界に浸って弾くことは、とっても気持ちのいいものです。
それは、「自分はこれでいいんだなぁ」と、自分を肯定する気持ちになれるからではないかと思います。
実際、海外では音楽と自己肯定感との関係が研究されているようです。
こんなサイトを見つけました。
カナダのオタワ大学教育学部の調査によると、実に78%の親御さんが「演奏を披露することで得られる教育的効果は抜群に高い」と感じています。また報 告書は、人間に生来備わっている一次感情※ が音楽によってめざましく発達していくこともあげています。
ノルウェー人文科学学術会議は、音楽を通して「自己肯定感をより高めることができる」という研究結果を発表しました。例えば、演奏会で発表する際はとても緊張しますが、それを乗り越えることで大役を果たしたという「成功体験」を子どもたちは得ることができるからです。
*一次感情・・・ 喜びなどの原初的な感情。複雑で高次の感情とされる2次感情(希望や罪悪感など)に対して定義される。
シンガポール発海外教育情報誌サイトSpring 専門家の声 音楽との出会い「自信を育む音楽の力」より
生きる上で大切な自己肯定感
日本の子どもは自己肯定感が低いといわれます。
謙遜したり、謙虚であったりすることが美徳とされていますし、自分よりも周り優先という意識は決して悪いことだとは思いません。
でも、あまりそれが行き過ぎると
どうせ自分なんか
になってしまうんですよね。
自己肯定感って生きる上でとても必要なことだと思います。
私は自己肯定感を「根拠のない自信」と解釈しています。
何があるわけじゃないけど、自分は大丈夫、と思える。
これがあると、ちょっとやそっとでは折れない。精神的に強くなれる。
そして、「自分は大丈夫」と思えていると、周りに対しても目を配れることになる。
そんな風に思っています。
自己肯定感を育む方法の一つは、自分で音楽を演奏すること
それを育む第一は、親(養育者)からの無償の愛、だと思います。
そして、方法の一つに、「音楽を演奏する」ことが挙げられるのじゃないかな。
ピアノを弾くことによって得られる幸福感が、自分を強くする。
決して相手を攻撃する強さではなくて、前を向いて生きていく強さを得られる。
もちろん、育ってきた過程や様々な経験が複雑に絡まっているもので、音楽だけで得られるものではないと思いますが。
でもこれは、「音楽だからこそ」できること、の一つではないかなと感じています。
私自身、あまり自己肯定感の高い方ではないと思っています。むしろ自己否定感が強いのではないかと・・。
「どうせ自分なんて」と思いがち。
でも、何とか人並みに前を向いて生きてこられているのは、ずっと音楽をやってきたからじゃないか・・とひそかに思っています。
音楽は生きる支え、良きパートナー
音楽にかかわる人からこのように聞くことが多いですが、それはこういうことではないかな、と感じます。
(2016年8月16日 最終更新日:2024年8月20日)
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