音楽を演奏するのに「リズム感」はとても重要ですよね。
音楽はリズムで成り立っていて、聴いていて心地いいのはリズムを感じられるからです。
でもその前提としてあるのが「拍子」です。一定の拍子の中でリズムは刻まれます。
リズム感を鍛える前に、まずは「拍子感」を身につけること。これが大事です。
ということで、「拍子」とは?ということと、拍子感を身につけるための練習法についてまとめてみました。
リズムと拍子は違う?
「リズム感」といった時に、拍子についても含めて言うことは多くあります。
拍子もリズムの一つです。一定の拍子を刻めることもリズム感の一種ですね。
でも、ここでは分けて考えることにしようと思います。
- 拍子・・・・4/4拍子や3/4拍子や6/8拍子などのこと
- リズム・・・拍子を土台として様々な種類の音符を刻むこと
と考えます。
リズムが刻めても拍子に乗せられない
リズムは理解できていて、こちらの打つ手拍子などに合わせてリズム打ちもきちんとできる。
「ここは1拍」「ここは2拍」とか、楽譜通りに正しく打てている。
でも、手拍子に合わせるのではなく自分一人でやってもらうとできない。
自分の教室のレッスンで、こういうこと、あります。
リズム打ちではなく、ピアノを弾くことでも同じ。
例えば、こちらの手拍子に合わせてリズム通りに弾くことはできる。
でも、拍子をとらずに自分ひとりで弾いてもらうとできない。
2分音符がずいぶん長かったり(何拍分?)、4分音符が微妙に短かったり(0.8分音符⁇)。
ピアノを始めたばかり、つまり比較的小さな子に多い印象です。
「2分音符って何拍?」「2拍」
「4分音符は?」「1拍」
こういう質問にもきちんと答えられます。
じゃあ、なぜ弾けないか。
ということだと思います。
自分の中に拍子感がないから、自分ひとりで弾いてみるとぐちゃぐちゃのリズムになってしまうんですね。
これ、もう少し大きな子(小学校の中学年くらい以降かな?)にはあまり起きないように思います。
音楽の授業で、みんなで歌をうたったり、一緒に楽器の演奏をしたり、という経験を積んでくるからかな。
合唱や合奏といった、大勢で一緒に音楽をすることは拍子をとることがとても重要になるので、拍子感を身につけやすいかもしれません。
リズム感と拍子感~拍子とは?
では、「拍子」というのは何なのか。
上に「4/4拍子や3/4拍子や6/8拍子などのこと」と書きましたが、つまり、
1小節をひとまとまりとしてとらえる
ということです。
決して、一定の間隔で手拍子を打てること、ではありません。
- 4/4拍子なら、4分音符を1拍として4拍でひとまとまり。
- 3/4拍子なら、4分音符を1拍として3拍でひとまとまり。
- 6/8拍子なら、8分音符3つをひとまとまりとした大きな2拍のまとまり。
という風に捉えられる、感じられる、ということですね。
自分の中でこのように拍子を感じながら、それを土台にしてリズムを刻む、ということになります。
自分の中に拍子がないのにリズムを刻む、ということはそもそも無理。
というか、それはリズムではない、ということです。
まとまりを持った拍子とは
一定の間隔で打たれる拍にまとまりを持たせる。
これには、一応のルールのようなことがあります。
強拍、弱拍といわれるものです。
- 4拍子なら1拍ずつ「強・弱・中強・弱」
- 3拍子なら1拍ずつ「強・弱・弱」
- 6/8拍子なら大きな2拍子ととえて「強・弱」
6/8拍子は大きな2拍子としてとらえるので「強・弱」となりますが、「強」の中にさらに3拍、「弱」の中にも3拍を含めて感じなければいけません。
単純な3拍子2つ分ではありません。あくまでも「大きな(1拍の中に3拍含む)2拍子」です。
このように拍の強さを変えてとらえることで、ひとまとまりと感じられるようになります。
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リズム感と拍子感~「拍子感」を養うための練習法
拍子感を身につけるためにはどのように練習すればいいのか。
メロディーを演奏することからはいったん離れて、拍を感じることのみに集中した方がいいのではないかと思います。
4拍子なら「強・弱・中強・弱」の4拍でひとまとまりとするので、「4つで1つ」と感じられるようなことができればいいですね。
手拍子で
ひとつは、手や膝などを打ってリズム打ちをする方法です。
例えば、
「弱」となる2拍目と4拍めは同じようにし、1拍目と3拍目はそれぞれ違うところをたたきます。
そして大事なのは、
「強」拍ですしね。
そうすることで、4拍としてのまとまりをきちんと感じられるようになります。
前にも書きましたが、拍子感とは一定の間隔で手拍子を打ち続けることではありません。
4拍子であれば4拍でひとまとまりと感じなければ意味はありません。
しっかりとそう感じられるよう、それぞれの拍に変化をつけるわけです。
リトミックでは
拍子感を養うということは、リトミックでもよくやられることですね。
リトミックでは、ステップを踏むという方法がよく用いられます。
⇩こちらの記事で紹介したリトミックの本『あたらしいリトミック』(ドレミ楽譜出版社)にも、いくつか拍を感じるための活動が載っています。
関連記事→『音楽であそぼう!あたらしいリトミック』についてこちらで詳しく紹介しています。
音楽に合わせて行進して、
- 4拍子なら4歩(4拍)進んだら方向を変える(3拍子なら3歩)
- 1拍目になるところで楽器を鳴らしたり手をたたいたりする
などですね。
その場で足踏みして、足踏みの強さを変化させて拍子をつけることもできますね。
その時の音楽は、だれもが知っている童謡などがいいかと思います。
本にもそのように書かれていますね。
歌や手合わせ遊びをして
私がレッスンでしているのはこの方法です。
手拍子は、上に書いた「手・膝・机・膝」のように打ち、「強・弱・中強・弱」の役割を持たせます。
子どもと向かい合わせで座り、歌も一緒にうたってもらいます。
歌の声を大きくしたり手拍子を強く打ったりして1拍めを強調させます。
こちらはとにかく大げさに
また、手合わせ遊びもとてもいいと思います。
手合わせ遊びというと「アルプスいちまんじゃく」がよくやられると思いますが、どんな歌でもできますよね。
「アルプスいちまんじゃく」などだとすでに決まった型があるので、むしろ普通は手合わせ遊びではやらない歌の方がいいかもしれません。
やはり1拍目を強調したいので、1拍目は相手と手合わせをし、あとの拍は手拍子や膝打ちといった形でやります。
子どもと相談して型を決めたりして、楽しんでやれるのではないかと思います。
リズム感と拍子感~何度もくりかえし拍子を感じること
音符は読める、指も動く。
音符の種類、つまり音の長さもわかっている。
こちらの手拍子に合わせて弾くこともできる。
でも、さあ一人で弾いてみよう、となるとぐちゃぐちゃになってしまう。
こうなったら「拍子感」!
上に挙げた、歌いながら拍子を打つことや手合わせ遊びをやっていきます。
1拍めのはずの手拍子が2拍めや3拍目になってしまったり、ということが起きたりして、なかなか簡単にはいかないもの。
曲を弾くことと並行して、こういったことを毎回のレッスンで続けていくことかな、と思います。
(公開日:2018年5月30日 最終更新日:2024年2月21日)
参考文献紹介記事→『音楽であそぼう!あたらしいリトミック』をこちらで詳しく紹介しています。
→リズムに関してはこちらの記事をどうぞ
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→ピアノの練習についての記事の一覧です。お好きな記事を選んでお読みください。
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