レッスンの内容に迷ったとき、ちょくちょく手に取るこの本。
私にとっての、レッスンアイデアブックです。
リトミックを基礎に置いた、たくさんの音楽遊びの方法が載せられています。
レッスンに来る子どもたちに、音楽そのものの楽しさを感じてもらえるのではないかと思っています。
リトミックの先生だけではなく、ピアノの先生にもおすすめです。
『あたらしいリトミック』全部で72の音楽あそび
本書には、目次を数えただけでも72個の「音楽あそび」が載っています。
さらに、アレンジした方法が載せられているものもあるので、それも加えるともっと増えますね。
とにかく内容が豊富です!
目的別に分かれている(目次紹介)
ただ活動の内容を羅列しただけではなく、目的別にまとめられています。
以下のようなこと。(目次より)
- 音程の認識・・・8
- 音の強弱の認識・・・4
- リズムと遊ぶ・・・3
- 高音・低音の認識・・・3
- 拍子の認識・・・5
- 長調と短調の認識・・・5
- 音符の認識・・・8
- 三和音の認識・・・2
- 調の認識・・・2
- 音名唱法・・・2
- 音程の認識・・・2
- リズムの認識・・・10
- ピアノと遊ぶ・・・2
- あそんじゃおう・・・16
左の数字は、載せられている「遊び」のアイデアの数です。多いですよね。
レッスンで使いたい子どもの様子を思い浮かべながら、この子にはこれがいいかな‥こっちのほうが楽しんでくれるかな‥など考えて選ぶことができます。
行う時のポイントが記されている
一つ一つの活動に、「キー・ポイント」という囲みで、実際に行う時の注意点などがまとめられています。
- 想定される子どもたちの反応
- それへの対処法
- 導入の声のかけ方
- 行っている最中に注意すべき点
などなどです。
あまり先入観を持って行うのはよくないかもしれませんが、迷ったり悩んだりしたときは「ここに注意すればよかったんだ」と気づくことも多いです。
とにかく楽しそう!30年にわたる指導の中から生まれた活動の数々
一番の魅力は、活動一つ一つがとにかく楽しそう!だということです。
お勉強的ではなく、体全体を使って音楽を感じることが大切にされています。
走ったり飛んだり跳ねたり、といった子どもがよくやる動きをちょっとリズミカルにするだけで、リズムを感じてもらうことができる。
そんなアイデアもたくさん載せられています。
ピアノのレッスンがそれなりに進んでいる子には、拍子の違いや音符の種類、長調と短調といったことの理解につながるような内容を、ゲーム感覚で行えるものがあります。
対象とされているのは、保育園幼稚園ぐらいから小学生くらい、ということです。
こちらの本は、著者こばやしけいこさんの30年にわたるリトミック指導の中から、子どもたちに受け入れられ残ってきたものがまとめられているとのこと。(「はじめに」より)
「そりゃぁ、楽しそうなわけだ!」という感じです。
本書を読むだけで、子どもたちが生き生きと活動している姿が目に浮かびます。
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「リトミック」について
ここで、リトミックについてまとめておこうと思います。
まずは、「新音楽辞典」楽語編より。
スイスの作曲家エミル・ジャック・ダルクローズ(1865-1950)によって創案された音楽教育の方法で、精神と身体との一致調和、自発性と反射性、精神の集中力と記憶力、創造力などを目的にしている。ダルクローズは、リズムの持つ特質をあらゆる面に進展させ、音楽教育のみでなく、これを舞踏、演劇の面にも適用した。
「新音楽辞典 楽語」(音楽之友社)より
ウィキペディアには、次のようにあります。
リトミックとは、19世紀の末から20世紀の初頭にかけて、新教育運動の絶頂期にスイスの音楽教育家で作曲家でもあったエミール・ジャック・ダルクローズが開発した音楽教育の手法。「ダルクローズ音楽教育法」ともいう。
当時、ハンブルグなどを中心に、国語や美術、体育、音楽の教育を訓練、調教ではなく、子ども本人が自ら進んで学び、その感覚を体感的に身に着けていくための情操教育、芸術教育(ハンブルグ工芸美術館の館長、アルフレッド・リヒトヴァルクがその指導者である。芸術教育運動、あるいはミューズ教育運動という)が叫ばれ、ダルクローズは、そのために楽器の演奏訓練を早期から闇雲にやらせるのではなく、音を聞き、それを感じ、理解し、その上で楽器に触ってみる、音を組み合わせて音楽を作ることの楽しさを身体全体で味わわせ、その喜びの中で、音を出し、奏で、そこから旋律を作っていくことへの興味と音感を育んでいこうとした。
(後略)
ウィキペディア「リトミック」より
さらに、この本の著者、こばやしけいこさんは、自身のHP(現在は閉鎖)でこのように説明しています。
スイスの作曲家であり教育者でもあった、エミル・ジャック・ダルクローズ(Emile Jaques -Dalcroze 1865~1950)が考案した音楽教育方法。
楽譜の通りきちんと弾いているにもかかわらず、その演奏にリズムが感じられなかったり、自己表現ができていない多くの生徒を見て、五感以外に「筋肉が感じる感覚」(リトミックでは第六の感覚と言う)があり、それを使わずに演奏するために、リズム感のない、表現力の乏しい演奏になると考えた。つまり体と精神の調和がとれていないと感じたのである。そしてその第六の感覚を鍛える指導方法を考案し、それをリトミックと命名した。
*こちらのサイトは現在閉鎖されています。
ミックおばさんのリトミックへようこそ「リトミックの成り立ちとその教育的効果」より
つまり、表現豊かな演奏をするために、演奏技術を習得する前に体で音楽を感じることが必要。
その方法として、ダルクローズによって考え出されたのが「リトミック」ということですね。
音楽を演奏するためだけではなく
著者のこばやしけいこさんは、上に引用させていただいたご自身のHP(現在は閉鎖)で、音楽表現の部分だけではない効果がある、と述べられています。
- 音楽表現能力の発達
- 音楽技能の力の発達
- 聞く耳ではなく聴く耳の発達(注意力の発達)
- 運動能力の発達
- 反射神経能力の発達
- 集中力の発達
- 記憶力の発達
- 自発性の発達
- 自己表現力の発達
- 判断力の発達
- 創造力の発達
- 時間と空間の認識の発達
- 精神と肉体のバランスの取れた発達
- 人間関係における調和の発達
- 心身の安定感
- 心身の充足感
- 心身の達成感
*こちらのサイトは現在は閉鎖されています。
ミックおばさんのリトミックへようこそ「リトミックの成り立ちとその教育的効果」より
長年のリトミックの指導を通して、これだけの効果を感じておられるということですね。
だからこそ、リトミックが多くの人に受け入れられているのだろう、ともおっしゃっています。
『あたらしいリトミック』まとめ ホントのリトミックってこういうもの
私、実はちょっとだけリトミックを勉強したことがあるんです。
でも、なんか違うな~~と感じ、やめてしまいました。
ちょっとかじったそのリトミックは、なんとなくお勉強的。
「このリズムは、こうステップを踏んで、このように教えましょう」
対象年齢が決まっていて、指導法のひな型がありました。
もっと自由で、もっと柔軟性のあるものだと想像していましたが・・
私が受けたのが指導者養成の講座だったからかもしれませんし、もっと進めばもっと違ったのかもしれませんが。
単に、私の求めていたものとは違った、ということかな。
一方で、こちらの本から感じるのは、とにかく楽しそう、ということ。
音楽を体で感じる、というリトミックの大事な部分がしっかり貫かれているように思います。
対象年齢もいい意味でアバウトで、子どもたちの状況に応じてアレンジしやすいと感じています。
こちらの本、7,8年くらい前に購入したものです。
以前は、音楽療法や発達障害を持つ子レッスンで使っていました。
そのまま使ったこともありますし、状況や目的に合わせてアレンジしたものもあります。
でも、ここ数年は小学校の高学年から中学生の、ある程度レッスンの進んだ生徒ばかりだったためあまり使うことはなくなっていました。
最近になって保育園幼稚園の子、小学校低学年でピアノを始めた子が増えてきたため、使ってみようと取り出したところ、魅力を再確認。
そこで、こちらで紹介しようと思った次第です。
参考になればうれしいです。
(公開日:2017年11月15日 最終更新日:2022年11月8日)
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