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『 ピアノ・スポーツ』がいいね!お気に入りポイントとバーナム との比較も

テクニック教本

ピアノを始めたばかり(導入期)のころのテクニック教本といえば、『バーナムピアノテクニック』が有名ですね。

私の教室でも、これまでよく使ってきました。

でも最近は『ピアノ・スポーツ』も使っています。

実際に使うようになって良さを感じている今日この頃。具体的にどんな所かを、少しまとめてみようと思います。

バーナムとの比較もちょっと。

『ピアノ・スポーツ』ってどんなテクニック教本?

はじめに、『ピアノ・スポーツ』について簡単にまとめます。

著者は、キャロリン・ミラーさん。アメリカのピアノ教育作曲家ですね。

なので、もともとはアメリカの教材で、日本初出版は2001年になります。

「バーナムピアノテクニック」の日本初版が1975年なので、かなり新しいものだということが分かります。

副題に「表現のためのピアノテクニック」とあり、イメージしてそれを表現することが大切にされています。

そのイメージを助けるものとして、「スポーツ」がテーマになっているということですね。

全4巻で構成されています。

詳細記事『ピアノ・スポーツ1』の詳しい紹介記事はこちら。

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『ピアノ・スポーツ』特長3つ 「表現」に結びつけやすい工夫が

表現のためのピアノテクニック キャロリンミラー ピアノスポーツ(1) 改訂版

私がこの『ピアノ・スポーツ』の良いなと思うところは、「表現」することに結びつけやすい工夫がされているというところです。

ひとつは「スポーツ」がテーマになっているところ。

もう1つは、弾き方の注意点がコメントとして書かれていることです。

また、曲の長さがいろいろだということも特長の一つだと考えています。

特長1 スポーツって例えば?

上にも書いたとおり、この教本は「スポーツ」がテーマ。

様々なスポーツの動きからイメージを広げて弾くことで、表現することに結びつけていきます。

スポーツとは具体的に

  1. バスケットボール
  2. 野球
  3. 陸上競技(ハードル、高跳び、縄跳びなど)
  4. 超冒険的なスポーツ(バンジージャンプ、スケボー、登山、自転車競技など)
  5. サッカー

の5つです。

そして、例えばバスケットボールなら「ドリブル」「フリー・スロー」「ジャンプでシュート!」などの動きがタイトルになっています。

それぞれの内容はこんな↓感じです。

  • 「ドリブル」のテーマは、スタッカート。
  • 「フリー・スロー」のテーマは、2音のスラー。
  • 「ジャンプでシュート!」は、4分音符スタッカートの後の付点2分音符というリズムで表現。

そのスポーツの動きを知っている場合、とっても分かりやすい、イメージしやすいと思います。

特長2 欄外の”コメント”が弾き方のヒントに

もう1つは、各曲の上部に書かれているコメントから、弾き方をイメージしやすくなっているという点です。

例えば「ジャンプでシュート!」には、

「4分音符でしっかりジャンプ 付点2分音符でシュートを成功させよう!」

と書かれています。

付点2分音符のところがシュートなんだな、と分かり、そこへ向かってジャンプ(4分音符)することで、「4分音符+付点2分音符」をまとめてとらえやすくなるように思います。

このように、1つ1つの音をバラバラに見るのではなく、一連の流れで(つまりフレーズとして)とらえやすくなりますね。

これは、楽譜を音の連なりではなく音楽としてみることにつながる、とても大切なことだと思います。

本書に以下のようにあります。

教育作曲家であるキャロリン・ミラーは、そんな生活の大半を占めるスポーツなら、ピアノ学習者にとって動きを理解しやすく、アーティキュレーションのイメージを浮かべやすいだろうと考えました。どんな音楽の中にもアーティキュレーションが存在し、何かを表現しています。音楽の中でアーティキュレーションを感じられないほど退屈なことはありません。

『ピアノ・スポーツ』「なぜ『ピアノとスポーツ』?」より

ただただ音符を必死になって追いがちな導入期のころから、音の流れに注目して弾くことの大切さを感じられる作りになっています。

そこが私の1番のお気に入りポイントです。

特長3 1曲の長さがいろいろがいい

『ピアノ・スポーツ』は曲の長さがいろいろです。

第1巻では、最も短くて4小節。最も長いものは20小節です。

8小節が1番多く、7割ほどを占めています。

4小節から始まってだんだん長くなる、というわけではありません。

1番初めの曲は8小節ですし、20小節あるのは2曲ありますが、真ん中くらいと終わりの方です。

曲の長さを重視しているのではなく、そこに描かれるストーリーといったものを大事にしている、という印象です。

なので、短いながらも曲っぽいんですよね。単なる指の練習、とはちょっと違う感じです。

ひとつの単元(例えば「バスケットボール」とか)の1番最後の曲は”まとめ”という位置付けで、これまでてきた技術(スタッカートとかスラーとか)が1曲内に次々出てきます。

なので、16小節~20小節という長さになるんですね。

そして、やはりタイトルからイメージできるようなコメントが記されています。

実際に使っている子どもたちの様子を見ると、これまでやってきたことばかりなので、長くて弾けない、といった様子は感じられません。

むしろ、色々な技術的な要素が積み重なって曲になっている、と感じてもらえて良いのではないかと思っています。

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『ピアノ・スポーツ』&『バーナム ピアノテクニック』比べてみると‥

『バーナムピアノテクニック』シリーズとこの『ピアノ・スポーツ』シリーズ。とてもよく似ていますよね。

同じ系統のテクニック教本といえると思います。

1曲1曲が短く、身につけるべきことの目的がはっきりとしている。

スタッカートの練習の曲、とか、和音の練習の曲、とか。

「音楽的」が求められる『ピアノ・スポーツ』

でも、『バーナム』に比べて『ピアノ・スポーツ』の方が、「音楽的に弾く」ことが重視されているように感じます。

フレーズを常に意識できるようなコメントが記され、意味のある音として弾くことが求められます。

その内容が結構細かかったりして、コメントを読んで、あ~なるほどそこに注目させたいわけね、とこちらが気付くことも多いです。

そして、短いながらも1曲1曲がちゃんと曲っぽくなっている。長さも短いものばかりではない。

私が『ピアノ・スポーツ』に魅力を感じるのは、そういったところです。

日本の子どもにスポーツは・・

一方で、『ピアノ・スポーツ』の最大の特徴である「スポーツ」というテーマは、日本の子どもに合うのかどうか・・

アメリカの子どもたちは、ほとんどが何らかのスポーツをやっている。それなら、スポーツとピアノを結びつけると良いのではないか。

そうした発想で作られていますが、それは日本の子どもにはどうか・・

実際、私の教室に来ている子でも、ピアノを習いつつサッカーやソフトボールのチームにも入っているという子はいます。

でも、そうではない子の方が多く、スポーツの動きがピンと来ていない様子はよく感じます。

私もスポーツはやりませんが、それでも人生経験が長い分イメージはでき、それを身振り手振りで伝えながらレッスンするんですが・・。

そういう意味では、『バーナム』の鉄棒やブランコ、スキップ、ジャンプなど、子どもたちの普段の遊びや何気ない動作がモチーフなっているのは、イメージしやすいなと思います。

『ピアノ・スポーツ』テクニック教本はこれがメインになりそう

最近はすでにそうなりつつありますが、これからは導入期のテクニック教本は、『ピアノ・スポーツ』中心になっていきそうです。

『ピアノ・スポーツ』第1巻の難易度は、バーナムの『ミニブック』から『導入書』にかけてのくらいかなと思っています。

なので、まず『ミニブック』からスタートし、『ピアノ・スポーツ』第1巻に入っていくという流れになっていますね。

まだまだ使い始めたばかり。これからも生徒の様子をしっかり観察しながら、じっくり使っていこうと思っています。

(公開日:2019年2月22日 最終更新日:2024年1月19日)

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