ピアノの指練習というと、まず『ハノン』が思い浮かぶかもしれません。
でも、スケール、つまり音階練習もとっても大事です。
曲の中に出てくる流れるようなフレーズや、指の動きを駆使しながら広い音域を弾いたりする場合、その基礎練習は「音階練習」になります。
そして、曲を演奏するのに大切な「調性感」。
これが養われるのも、音階練習です。
ここでは、音階練習ができるテクニックテキストをいくつかご紹介します。
今回は、大人向け編。
ぜひ、参考にしてください。
『バスティン スケール・カデンツ&アルペジオ』
まずはこちら、バスティンの『スケール・カデンツ&アルペジオ』です。
日本でもとてもよく使われているピアノ導入教材、バスティン・メソードの併用テキストですね。
最大の特徴は、そのシンプルさ、ではないでしょうか。
ほとんど楽譜しか載っていません。練習法などの解説がほとんどないんです。
でも、載せるべきものはしっかり載せてある、という感じ。
全24調のスケールとカデンツ、アルペジオが載っています。
そして、見やすい!
メインページとなる、全調の2オクターブのスケール、カデンツ、アルペジオが載せられている部分は、1ページにつき1つの調になっています。
その楽譜しか載っていません。
つまり、ごちゃごちゃした解説文などは一切ない!ということです。
最後に「付録」として、
- カデンツのみをまとめたページ(転回形も)
- 和声的短音階とその主要三和音をまとめたページ
- 五度圏表
などが載せられています。
⇩特徴をまとめると、このような感じになります。
関連記事→こちらの記事で詳しく紹介しています。
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『ピアノランド スケール・モード・アルペジオ』
次の紹介するのは、『ピアノランド スケール・モード・アルペジオ』です。
こちらは逆に、かなり細かい解説付き。
シンプル、とはとても言えない作りになっています。
メインはスケールとカデンツです。全24調が載せられています。
1ページにつき1つの調になっていますが、指使い確認のための1オクターブスケール、2オクターブのスケールとカデンツの楽譜に加えて、3つの練習用楽譜も載せられています。
つまり、全部で5つの楽譜が載せられていることになります。
さらに、スケールの仕組みや、短音階には自然的、和声的、旋律的の各スケールとカデンツも。
これだけの内容が1ページに収められているので、端折られている部分もありますね。
初めに出てくるハ長調とイ短調で見開き2ページを使って全て載せ、それ以外の調はそのページを見て確かめる、ということですね。
かなり丁寧、かなり細かい。その代わり、楽譜がかなり小さいです。
以上がスケールについて。
モード・アルペジオについては・・
モードとは、音階の一種で、現在使われているのは中世の教会旋法の流れをくむものです。
一般的に使われるハ長調とかイ短調といったものとは、少し響きが異なります。
このモードの解説も、かなり詳しく書かれています。
音の響きを感じることを目的にしているので、楽譜で示され弾いてみることが大事にされています。
最後に、アルペジオ。
「コード&アルペジオ」となっていて、コードネームとその音が示され、それをアルペジオで弾く、という形の楽譜になっています。
一般的なアルペジオの練習は、各調のⅠの和音(ハ長調ならドミソ)をアルペジオで弾きます。
それとは違った形になっています。
⇩特徴をまとめると、このようになります。
内容はとても充実していて、初心者の方でも1冊手元にあるといいかと思いますが、普段使いとしては使いにくいかもしれません。
関連記事→こちらの記事で詳しく紹介しています。
『おとなのハノン』
最後にもう1冊。『おとなのハノン~指の動きをよくするピアノ・トレーニング・ブック~』を紹介します。
こちらは、『ハノン』を簡単にアレンジした楽譜で、最後にスケールとアルペジオが載っています。
スケール、アルペシオに特化したテキストではありません。
一応、全24調が載せられていますが・・
スケールは、
- 小節の頭が4分音符になっている(例:ドーレミファソラシ)
- 短調音階は、和声的と旋律的がセットになっている(まず和声的を2オクターブ弾いてその後続けて旋律的を1オクターブ弾く)
- カデンツが、「主音-Ⅴ₇-Ⅰ」のみ
アルペジオは、
- 同主調(例:ハ長調とハ短調)でセットになっている
という形になっています。
アルペジオに入る前にその準備練習のページもあり、弾きやすさを重視しているという印象ですね。
紙面は、1ページにつき1つの調ではありません。
スケールは、並行調(例:ハ長調とイ短調)ごとに載せられています。
アルペジオは、上にも書いたように同主調でセットになっているので、1ページにつき4つの調が載っていることになりますね。
例えば、ハ長調とハ短調で1つ。その下に、ヘ長調とヘ短調の楽譜が入っている、という具合です。
加えて、語句説明や弾く際の注意点、「ここからここまでが旋律的短音階」といった説明が入っていたりするので、スッキリとした見た目、とは言い難いかな。
⇩特徴をまとめると、このようになります。
関連記事→こちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
今回は、スケールやカデンツ、アルペジオの練習テキストを3冊ご紹介しました。
それぞれ特徴があり、何を重視するかで選ぶものが違ってくるかもしれません。
- 分かりやすいものがいいのか‥
- 長く使えるものがいいのか‥
- 解説が詳しいものがいいのか‥
- 練習法が具体的なものがいいのか‥
選ぶ基準は他にもあるかもしれませんね。
いずれにしろ、音階練習はハノンとはまた違った意味で重要な基礎練習です。
ぜひ、良いものを見つけて取り組んでいってください。
(公開日:2022年1月7日 最終更新日:2024年4月10日)
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