ピアノの弾き方を手の構造から考える 指の動かし方の基本を解説

ピアノの弾き方・練習法

ピアノを弾くとき「弾き方」はとても重要です。

「弾き方」とはつまり、指の動かし方、ということですね。

それは、ピアノを弾くときの「手の形」と大きく関係しています。

手の形は、ピアノの音色はもとより、手の痛みや疲れなど、体へも多大に影響します。

では、どのような手の形が良いのか。

指をスムーズに動かすための手の形の作り方、そして、基本的な弾き方、つまり指の動かし方はどうあるべきかをまとめてみました。

この記事は、参考文献として『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』(春秋社)を使用しています。

ピアノの弾き方「自然な手の形のまま弾く」が理想

ピアノを弾くとき、「脱力」がキーワードのように使われます。

「余計な」ところに力を入れない、というのは大切なことで、それが「脱力」という言い方になるのだですね。

でも、力を入れる必要のある部分には入れます。そして、一番自然な形のまま弾くのが理想です。

「自然な形」の手の作り方

必要なところにだけ力を入れた、自然な形の手の作り方は以下のような方法です。

  1. 腕をダランと下に下げる
  2. 手の甲を動かすイメージで腕を上げて鍵盤の上にそっと下ろす

このときに注意しなければいけないのは、1番です。

肩の力はしっかりと抜く

腕をダランと下げたとき、最も自然な手の形になっていなければいけません。

その形とは、手のひらが後ろを向いた状態です。

ふつう、腕をダランと下げると、「気をつけ!」をした時のように手のひらを内側(足の方)に向けがちです。

「気をつけ!」のようにビシッとせずにダランと腕を下げていても、そのようになってしまっていることがあります。

そういうイメージが出来上がってしまっているんですね。

でも、実はこれ、肩の関節に力が入ってしまっている状態です。

本当に関節を柔らかい状態にしているとき、手のひらは後ろに向きます。

厳密に言えば、斜め後ろ、でしょうか。

このような状態になるように肩の力を意識して抜くことが大切です。

肩の関節をほぐすように回してみると、うまい具合にダランとなるのではないかと思います。

「手の形を保つ力」は必要

そして、前の方を向いている手の甲が上を向く形で鍵盤の上へもっていきます。

その時意識するのは「肩」です。肩から腕全体を動かすようにします。

鍵盤の上へ手を置いたら、そのまま、すべての指の指先が鍵盤につく状態で保ちます。

力を抜きすぎてベチャッとなってしまってはいけません。

ダランと腕を下げたとき、指は少し内側に曲がっているはずです。その状態のまま鍵盤の上に手を置きます。(手のひらは鍵盤から浮いています)

すると、自然に鍵盤と手が平行な状態を作ることができると思います。

脇も自然にあき、指から肩までが自由に動かしやすい状態になっているのが望ましいですね。

そして、その状態を保ちます。そのための力が必要です

指に力を入れるのではなく、手首から肩にかけての部分です。「形を保つ」ための最低限の力でよいです。

関連記事ピアノを弾く手の形や指の動かし方について、こちらの記事にもまとめています。

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ピアノの弾き方 動かすのは「指」ではない

では、実際に弾くときの指の動かし方を見ていきます。

ピアノを弾くときは、「指」を動かすだけのイメージはよくありません。

指は手首から分かれている

自分の手を眺めてみたとき、指は手の甲(手のひら)から伸びています。

でも、その内部にある骨は、手首の関節から分かれています。

McDavid「手首/手指の解剖学」より

なので、指を動かすときは、手の甲に隠れている部分から動かす、というイメージを持つことが大切です。

そうすれば、指を必要以上に上げる、手を握ったときに盛り上がる部分(見た目で指が始まっている部分)を凹ますような弾き方を避けることができます。

指はまっすぐ下へ下ろす

実際に弾くとき、指はどう動かすべきか。

それは、「そのまま真っすぐ下へ下ろす」ということです。

上に書いた方法で鍵盤の上に指を置き、そのまま鍵盤を押します。

その時、手の甲で見えない部分も動かす、というイメージを持つことが大切です。

そうすることで、指に力をこめるような弾き方にはならないように思います。

(目に見える部分の)指だけに頼らない、ということですね。

指を動かす筋肉は指にはない

指を動かすときによ~く注意していると、腕(前腕)がピクピクしているのに気がつくと思います。

この、ピクピクする部分が指を動かしている筋肉です。

指そのものには筋肉はありません

指を動かす筋肉は、前腕と手のひらにあります。

参考→こちらのサイト「神戸元町リリーフ整体院 指の筋肉の説明です。」に詳しいです。

「指の筋肉(1)指の屈筋群」

「指の筋肉(2)指の伸筋群及びその他」

これを知っているだけで、指の動かし方が変わるように思います。

つまり、(目に見える)指だけに頼った弾き方をしない、ということです。

「指を動かす」ということばかりに意識が向いていると、

  • 余計な力が入ったり
  • 指の関節がへこんだり
  • 手首が下がったり

ということにつながります。

ピアノを弾くのに必要な力は、手のひらと鍵盤を平行に保つための力だけ

指先は楽にして、様々なところと連携させて動かす、という意識が大切です。

関連記事ピアノを弾く手の形や指の動かし方について、こちらの記事にもまとめています。

まとめ 基本を大切に

今回は、手の形と指の動かし方の基本のみをまとめました。

指くぐりなどをして、もっと広い音域を弾くときにはどうするのか。

和音やスタッカートなど、様々な音型を弾くときにはどうするのか。

それはまた、動かし方に注意の必要なことがあります。

参考記事指くぐりについてはこちらの記事をどうぞ。

参考記事和音の弾き方についてはこちらの記事をどうぞ。

参考記事スタッカートの弾き方についてはこちらの記事をどうぞ。

でもまずは、基本的なことを理解して、やってみることから始めるとよいのではないかと思います。

なかなかすぐにはできないんですよね。

自分の教室のレッスンで見ていても、テクニックのテキストを弾いているときはできても、曲を弾くと途端に元に戻ってしまう。

私の側も、曲を弾いているときにはそのために考えなければいけないことがたくさんあるのが分かるので、手の形などを指摘するのを躊躇してしまう・・。

何度も何度も繰り返しやっていくことが大事かな、と思い、長期戦で臨んでいます。

(公開日:2017年9月29日 最終更新日:2024年2月16日)

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