ピアノは、楽譜を読めれば弾くことができます。
でも、調性についてきちんと知識を持っておくことは、演奏の上でとても大切なことです。
それはなぜなのか。
自分自身のことも振り返りつつ、まとめてみました。
調性の知識が必要なワケ 音楽は「調」によって整えられている
「調」とは、「ハ長調」とか「イ短調」とか、といったものです。
音楽はほとんど(すべてではない)が、調に沿って作られています。
「ハ長調」といったら「ドレミファソラシド」となり、「ハ長調の曲」は、基本的に「ドレミファソラシド」を使って作られた曲、ということになります。
現代、一般的に聴かれる音楽の根幹をなす重要な要素です。
そうしたことから、ピアノを演奏しようと思うのなら、きちんと知っておくべき知識であると思います。
関連記事→調を知るのに便利な五度圏表についてまとめています。
調を知って曲を弾くことは何がいい?
この曲は何調か、ということをきちんと知って弾くことは、何がいいのでしょうか。
事実、調の知識がなくても、音符が読めてリズムが取れれば曲を弾くことはできます。
それでも知っておくべきだと考える利点は、二つあると考えています。
- 曲の表現に結びつく
- 譜読みがしやすくなる
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作曲者は「調」を意識して作っている
例えば、ショパンの「子犬のワルツ」は「変二長調」です。フラットが5つ付いています。
黒鍵をたくさん弾くことになり、「大変そ~」と思いがち。
実際、♯♭の付かないハ長調に移調することも可能です。
でも、ショパンはあえて変二長調にしているはず。
調はそれぞれ違った雰囲気を持っています。使われる音が違うのだから、当たり前といえば当たり前。
長調は「明るい」とイメージされるのが一般的です。
でも、「明るい」にもいろいろありますよね。
- はしゃぎまわるような明るさ
- 穏やかな明るさ
- 爽快感のある明るさ
・・・などなど。
同じ長調でも、調によって感じる明るさが違うハズです。
どの調をどう感じるかは人それぞれですが。
どう感じるか、ということは、どう演奏する(表現する)か、ということに結びつきます。
調による違いを認識しながら弾くことは、表現の違いとして現れてきます。
譜読みに強くなる
調の知識を持っていることは、譜読みのしやすさに結びつきます。
新しい曲の練習に入るとき、この曲が何調なのかを知ってから楽譜を読んでいくと、譜読みはだいぶスムーズです。
どの音で作られているのか、が分かっているためです。
音を間違えてしまっても、おかしな音を弾いたということに気づきやすくなります。
レッスンでのひとコマ
私の教室でのひとコマです。
先日、途中で調が変わっている(転調)曲を練習している子のレッスンでのこと。
この曲を始める時に、何調の曲かを確認しています。
転調している部分に入った時に、転調しているということにすぐに気づいたこの子。
そして、何調に転調しているのかを確認した後の転調部分の譜読みがスムーズ。弾くのもスムーズ。
あら、サラサラ行っちゃったわ、とちょっとびっくりしました。
調の勉強をしていることの良さが発揮された一場面でした。
調を知ることは、曲の成り立ちを理解することです。
この曲の構成を知り、響きを感じて演奏する。
これは、この曲をより深く理解することに結びつきます。
調性学習をしてこなかった私・・・だからこそ!
音大を出ていない私は、調の勉強をきちんとしないまま大人になりました。
子ども時代、音階を弾くことはしてきましたが、それは、指使いなど弾き方を学ぶもの。
理論的な勉強をした覚えはありません。
大人になってから師事した先生が、グレード試験を受けるなら必要、ということで指導してくださいました。
それを機に、これは絶対に必要なこと、子どものころに知っておきたかった、と痛感しました。
それまで、新しい曲の譜読みは、楽譜に書かれている音符を一つ一つ弾いていくだけ。
構成や和声の響きを感じながら・・などというものではありませんでした。
譜読みをする上ではなんて無駄な時間を取っていたのだろうと思いますし、表現という意味でも、何ともあいまいなものであったと思います。
曲をきちんと理解しないまま弾いているのですから。
こうした経験から、レッスンでは調の勉強をしっかりしてもらいたいと思っています。
理論は少々難しいものではありますが、曲のレッスンを通して、また、ワークを使いながら、少しづつ覚えてもらっています。
関連記事→レッスンでよく使う『WAKUWAKU調の勉強ドリル』の紹介記事です。
(公開日:2016年9月10日 最終更新日:2024年3月13日)
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