ピアノ教室・音楽療法「音楽室ゆう」

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楽譜をスラスラ読めるようになるために~目の動きから考えてみる~

ピアノの練習について
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楽譜を読むとき、音符を一つ一つ読んでいくのでは遅すぎます。

スラスラと速く読んでいくためには、いくつかの音符をいっぺんにまとめて読むことが必要になります。

その”まとめ読み”をするときの目の動きはどうなっているのか。

それを書いてみようと思います。

楽譜をスラスラと読めるようになりたい人、初見に強くなりたい人(私も!)の参考になれば・・

まとめて読むってどういうこと?

「まとめ読み」という言い方は、どうも一般的ではないようです。

ここでいう「まとめ読み」は、音符を1個ずつバラバラに読んでいくのではなく、いくつかのまとまりで把握するということです。

普段、文章を読んでいるときにはこのようにしているはずです。

意味を理解しながら読み進めていけるのは、単語などのまとまりを一瞬で把握できているからですよね。

文章を読むのが速い、遅い、ということはあるかもしれませんが、だれもが読むときにこうしていると思います。

楽譜を読むときも同じです。

音符をいくつかまとめて一瞬で理解する。それの繰り返しで次々読んでいく、ということになります。

読むときの目の動きはどうなっている?

文章を読むとき、目の動きがどのようになっているのかを見てみます。

3つの眼球運動

目の動き、つまり眼球運動ということですが、これには大きく分けて3つあります。

  • 固視
  • 滑動性追従眼球運動
  • 衝動性眼球運動

〈固視〉一つのものを集中してみること

〈滑動性追従眼球運動〉視覚対象物が動いているとき、眼球がその動きを追従してゆっくり動き、注視を続けること

〈衝動性眼球運動〉中心窩固視を得るために行われるすばやい共同性眼球運動

引用:メガネの一心堂「眼球運動」より

中心窩固視・・・ものを見つめる時に網膜の中でも最も感度の高い「中心窩」で、常に像が結ばれるようにすること(weblio辞書より)

3つ目の「衝動性眼球運動」を英語で「サッケード」といい、これが、文章を読むときに大きく関与しています。

「固視」→「サッケード」の繰り返し

文章を読むときの目の動きは、「滑動性追従眼球運動」ではなく「固視」→「衝動性眼球運動(サッケード)」の繰り返しです。

滑らかに眼球を動かすのではなく、一点注視(固視)を次々繰り返しているわけですね。

この「固視」でどれだけ多くの文字をとらえられるかで、読む速度が違ってくるようです。

そして、パッと次に固視する場所へ視線を移動させること。これが「サッケード」ということですが、これがスムーズに行えるかどうかも大きく作用します。

参考:メガネの一心堂「眼球運動」より

スムーズに読むには「周辺視」も大事

上に、「『固視』でどれだけ多くの文字をとらえられるかで、読む速度が違ってくる」と書きました。

この「どれだけ多くの文字をとらえられるか」は、「周辺視」の力がどのくらいあるかで変わってくるということです。

周辺視・・・外界の対象を、網膜の中心部(中心窩と呼ばれる)からある程度以上離れた網膜周辺部で見ること。(コトバンク「周辺視」より)

何か物を見たときに、視界に入っているのはその物だけではありませんよね。周囲も見えています。

でも、周囲に見えている物は見たかった物それではないのであまりちゃんとは分かっていなかったりする。

その周囲に見えているものもしっかり認識できる力ということです。

音楽家の読譜 目の動きはどのように?

それでは、音楽家が楽譜を読むとき、目はどのようになっているのでしょう。

『ピアニストの脳を科学する~超絶技巧のメカニズム~』からまとめてみます。

ピアニストの眼は、かかれたすべての音符に1つずつ焦点を合わせていくわけではなく、わずかなあいだ、楽譜上のある1ヵ所に焦点を合わせて(固視と言います)、そのあいだに周りにある音符がどんな音符なのかを一気に把握し、その後、少し離れた箇所に目の焦点を合わせるために、眼球を高速度に移動すること(=高速眼球運動、サッケード)を繰り返しています。これは、目が楽譜上の一点に焦点を合わせているときでも、その周囲にある音符をまとめて見ることができる能力、つまり周辺視の能力があるおかげで可能になります。

引用:『ピアニストの脳を科学する~超絶技巧のメカニズム~』P.104

これは、ここまで書いてきたことと同じです。

文章を読むことも楽譜を読むことも同じだということですね。

音楽家の周辺視はどのくらい?

普段から楽譜を読みなれている音楽家。一度の固視でどのくらいの音符を把握できるのでしょう。

ピアニストの初見演奏時の周辺視を調べた研究によると、目が焦点の合っている音から先に2~4拍分(1小節)程度の音符を認識できているようです。

引用:『ピアニストの脳を科学する~超絶技巧のメカニズム~』P.104

1小節分くらいをパッと把握し、すぐに1小節先へ視線を移していくということですね。

音楽には音の連なりの法則がありますが、それが大体1小節でひとまとまりになっているということかな。

「短期記憶」も大事

音楽家の読譜には、「記憶力」も関係しているということです。

周辺視の力で複数の音符を読むことができても、それをさっさと忘れてしまっては意味ありません。

すばやくサッケードして次の音符を読みつつ、今読んだところをきちんと記憶して音にしていくということですね。

周辺視で把握した音符を単に「見た」ということではなくてきちんと覚えなければ意味はない、ということですね。

ホントに短い間の記憶「短期記憶」ですが、重要ですね。

私、上に引用文を書いていますが、元の文章を読んで文字にしている途中に「なんだっけ?」によくなります。

これって「短期記憶できていない」ということですよね。

初見演奏など楽譜を見ながら演奏しているときにこれが起きたら、音楽はストップします。

(というか、引用文を打つ時、一度に覚えようとする量が多すぎるということだと思いますが)

ちなみに、『ピアニストの脳を科学する~超絶技巧のメカニズム』では、初見演奏には3つの能力が必要だと書かれています。

  • 短期記憶
  • 周辺視
  • 指使いのすばやい選択

ちょっと余談ですが・・・

視覚は訓練できる~ビジョントレーニング~

上に挙げたような眼球運動をスムーズに行えるようにしたり、周辺視の力を向上させたりは、トレーニングができます。

それを「ビジョントレーニング」といいます。

眼の機能は視力だけの問題だけではなく、物を正しく認識したり、正しく再現したりといった他の体の機能や感覚と関係した機能を持っています。(体の機能すべてが他との関係の下働いているのですが)

目の機能を向上させることで、様々なことがスムーズに行えることにも結び付くわけです。

楽譜を読むことも眼の機能と大きく関連しているため、ビジョントレーニングを行うことでスラスラと読んでいけるようになることが期待できますね。

ビジョントレーニングについて、こちら⇩のサイトがわかりやすいように思います。

みらい研究所「ひとみ研究室」ビジョントレーニング

また、「ビジョントレーニング」で検索すれば、様々なトレーニング例が出てきます。

試してみてはいかがでしょう。

いろいろな曲を弾きたいのなら・・

好きな曲を1曲弾ければいい、ではなくて、いろんな曲を弾いていきたいと思うのなら、楽譜をスラスラと読み、それをスムーズに再現(弾き)する力はとっても重要。

それには視覚が大事だということですね。

一朝一夕でできるようになるものではありませんが、この記事が参考になるといいなと思います。

私自身はとっても勉強になりました。

こちら⇩の記事もぜひどうぞ。

楽譜を読めるようになるためにピアノレッスンで行っていること
「楽譜を読む」とは「音符を読む」こと。音符をスムーズに読めるようになるためにレッスンで実際にしていることを中心にまとめました。すぐに読める音を増やすこと、そして読む、書く、歌うを組み合わせていろいろなアプローチをすることが大事と考えています。
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