以前、『黒猫のおしゃべり』という曲集の紹介記事を書きました。
今回ご紹介するのは、その同じ作曲家による曲集『野うさぎのラグタイム』です。
特徴はなんといっても、全曲ジャズスタイルだということ。アメリカンな雰囲気満載です。
ジャズではなく”ジャズスタイル”。
楽譜はきちんと書かれていて、楽譜通り弾けばジャズっぽくなる、ということですね。
難易度は、ブルグミュラー以降くらい。少々難しめかな。
聴くのではなく、自分で弾いてジャズの雰囲気を味わいたい、特に大人の方、いかがでしょう。
『野うさぎのラグタイム』の特長 バラエティーに富んだジャズスタイル
この曲集の最大の特徴は、すべてジャズスタイルの曲だということです。
ジャズと一言でいっても、様々なものがありますよね。
この曲集には全10曲(うち1曲は組曲)が収められていますが、以下のようなスタイルで書かれています。
- ブギウギ
- ジャンプ・ブルース
- ビッグバンド・スウィング
- ニューオリンズ・スタイル
- ラテン・ジャズ
- ラグタイム
とてもバラエティー豊かですね。
そして、作曲者エリック・バウムガートナーさんによるそれぞれの解説が載せられています。
このスタイルの歴史や特徴、弾く際のポイントなどですね。
たとえば「ラテン・ジャズ」には・・
ラテン・ジャズとは、アメリカン・ジャズのハーモニーとメロディーに南アメリカのリズムを融合させたものです。ラテン・ジャズはアメリカン・ジャズと違って、8分音符を同じ長さで弾きスウィングはしません。また、正確なシンコぺーションのリズムで演奏します。
(後略)
『野うさぎのラグタイム』曲目解説 より
といった具合です。
私なんてジャズに詳しくないので、「うんうんなるほど・・」なんて思いながら楽しんで読みました。
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『野うさぎのラグタイム』曲目紹介
それでは、肝心の曲目を紹介します。
それぞれの曲のスタイルについても、併せてまとめます。
タイトル | ジャズスタイル | |
1 | ジャージー・ジャンプ Jersey Jump | ビッグバンド・スウィング |
2 | ビッグ・アールのホンキートンク Big Earl’s Honky-Tonk Blues | ブギウギ、ジャンプ・ブルース |
3 | 野うさぎのラグタイム Jackrabbit Ramble | ラグタイム |
4 | サウスサイド・ストンプ South Side Stomp | ビッグバンド・スウィング |
5 | アレッタのルンバ Aretta’s Rhumba | ラテン・ジャズ |
6 | バイユー・ブルース Bayou Blues | ニューオリンズ・スタイル |
7 | ボッサ・リオ Bossa Rio | ラテン・ジャズ |
8 | ビールストリート・ブギ Beale Street Boogie | ブギウギ、ジャンプ・ブルース |
9 | ニューオリンズ・ノクターン New Orleans Nocturne | ニューオリンズ・スタイル |
10 | アメリカン・シンコペーション(ラグタイム組曲) American Syncopations(Ragtime Suite) Ⅰ.ミズーリ―でラインダンス The Missouri Two Steps Ⅱ.バイユーのそよ風 Bayou Breezes Ⅲ.ミシシッピーのカササギ The Mississippi Magpie Rag | ラグタイム |
原題も載せました。日本語のタイトルではわからない部分もあるかと思って。
7曲目の「ボッサ・リオ」は、『黒猫のおしゃべり』にも入っています。
『野うさぎのラグタイム』難易度は?少々難しめかも・・
曲集全体の難易度は、ブルグミュラー以降といった感じでしょうか。『黒猫のおしゃべり』より難しいですね。
全曲ほぼ同じくらいの難易度ではないかと。後ろへ行くほど少し難易度が上がるかな。
そもそも、ジャズは慣れないとリズムが難しいので、それだけで難易度上がりますよね。
出版元の全音楽譜出版社のホームページには、以下のように書かれています。
「黒猫のおしゃべり」(初級)に続くレベルの初中級で、ジャズテイストの曲をたくさん集めたノリノリの一冊になっています!!
全音オンラインショップ「野うさぎのラグタイム」より
「初級」ではなく「初中級」。
ブルグミュラーに完全に入っているくらいじゃないと、少々難しいですね。
1曲の長さも長めです。
短くても2ページ。タイトルと同じ「野うさぎのラグタイム」という曲は、5ページにわたる長さです。
『野うさぎのラグタイム』楽譜はこんな感じ
楽譜の様子についてもまとめておきます。
五線の幅は8㎜ほど。大譜表としての幅は3.3㎝ほどです。『黒猫のおしゃべり』と同じですね。
音符の大きさはほぼ統一されています(細かく見ると少し違うものもある)。
大きすぎず小さすぎず、「初中級」にふさわしい大きさかな。
1ページの段数は、1部5段がありますが、ほとんど4段に収まっています。
楽譜内にイラストは全くありません。これは『黒猫のおしゃべり』も同じ。
イラストらしいイラストといえば、「曲目解説」ページの背景に白抜きシルエットのうさぎがいるくらいです。
『野うさぎのラグタイム』まとめ 『黒猫』より『野うさぎ』の方が人気?
なぜ、『野うさぎのラグタイム』を購入しようと思ったか。
それは、作曲者エリック・バウムガートナーさんの曲をYouTubeで探してみたら、『野うさぎのラグタイム』に入っている曲の演奏動画がいくつか出てきたからです。
日本人によるものもありましたが、本場アメリカのピアノ教室の発表会かな?と思われるものも。
とにかく、外国の方の演奏がたくさん!
「お~、やっぱりあちらでは人気なんだな。楽しそ~~」と興味を持ったわけです。
*最近は日本の演奏が増えました。曲集が浸透したのかな?(追記)
これまで、自分の教室で、ジャズテイストの曲を「発表会でどう?」と紹介しても却下されることが多く、子どもたちにはいまいちの反応。
なので、レッスンで使うことは今のところ考えられないのですが・・。
ジャズっぽい曲弾いてみたい!という方にはぜひおすすめします。
(公開日:2018年6月29日 最終更新日:2024年1月18日)
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