『おとなのためのピアノ教本』の併用曲集である、『おとなのためのピアノ曲集〈ポピュラー編1〉』をご紹介します。
自分の教室のレッスンで、「知っている曲を弾きたい」という要望を受けて探すなか見つけたこの楽譜。
世界の民謡、映画音楽、往年のヒット曲など、有名どころ満載です。
結局その人からは”不採用”だったのですが(ちょっと難しすぎて‥)。
アレンジがステキだったのでここで紹介することにしました。
難易度は、初心者からブルグミュラーくらいまで。
楽譜を探している方の参考になればと思います。
『おとなのためのピアノ曲集』は『おとなのためのピアノ教本』の併用曲集です
先にも書きましたが、この『おとなのためのピアノ曲集』は、『おとなのためのピアノ教本』の併用曲集です。
併用曲集は、以下の通り全部で5冊あります。
- クラシック編1,2
- ポピュラー編1,2
- 日本のうた編
その中から、今回は〈ポピュラー編1〉をご紹介します。
関連記事→『おとなのためのピアノ曲集 クラシック編1』をこちらで紹介しています。
関連記事→『おとなのためのピアノ曲集 日本のうた編』をこちらで紹介しています。
『おとなのためのピアノ教本』って?
元のテキスト『おとなのためのピアノ教本』(リンク先は第1巻)についてちょっと触れておきます。
『おとなのためのピアノ教本』は、その名の通り大人向けのピアノテキストです。
初版は1992年。大人向けのピアノテキストとしては、もっとも古くからあるものではないでしょうか。
著者は橋本晃一さん。子ども向けのものも含めて、多くのピアノテキストを書かれている方です。
作曲家、編曲家のため、今回紹介するこの併用曲集も編曲は橋本晃一さんになりますね。
関連記事→『おとなのためのピアノ教本1』についてこちらで紹介しています。
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『おとなのためのピアノ曲集ポピュラー編1』の内容は?

それでは、内容を詳しく見ていきます。
難易度は?
難易度については、上に「初心者からブルグミュラーくらい」と書きました。
元のテキスト『おとなのためのピアノ教本』は1~5巻に分かれていて、この〈ポピュラー編1〉は1~3巻に対応しています。
難易度は以下のような状況です。
第1巻 バイエル前半程度
おとなのためのピアノ教本「はじめに」より
第2巻 バイエル後半程度
第3巻 ブルグミュラー程度
つまり、1冊の中でバイエル⇒ブルグミュラーとだんだん難しくなっていくということですね。
とはいっても、もっとも簡単と思われる1番はじめの曲でも右メロディー左伴奏となり、5指固定では弾けません。
そもそも『おとなのためピアノ教本』は、初心者の導入テキストとしては少々難しめかなと感じます。
『おとなのためのピアノ教本』第1巻の真ん中くらいまで進んでいないと、1曲目を弾くのは難しいかもしれません。
なので、全くピアノが初めてという方にはちょっと無理ではないかなと思います。
むしろ、「クラシック編1」の方が簡単かも。
関連記事→『おとなのためのピアノ曲集クラシック編1』についてこちらで紹介しています。
1曲の長さは?
曲の長さも、後ろへ行くほど長くなっています。
- 第1巻程度・・・1ページ(最後の「エデンの東」のみ2ページ)
- 第2巻程度・・・1ページ~2ページ(例外―「おめでとうクリスマス」3段、「ロッホ・ローモンド」2段)
- 第3巻程度・・・すべて見開き2ページ
1ページの段数は4段~5段ですね。「第1巻程度」の曲から1ページ5段があります。
掲載曲一覧

それでは、気になる掲載曲について表にまとめます。(リンク先は私が弾いている演奏動画です)
第1巻程度
500マイル | American Folk Song |
おおスザンナ | S.C.Foster |
草競馬 | S.C.Foster |
トム・ドゥーリ― | American Folk Song |
赤い河の谷間 | American Folk Song |
きよしこの夜 | F.X.Gruber |
荒野のはてに | Traditional French Carol |
黄色いリボン | American Folk Song |
故郷の人々 | S.C.Foster |
峠の我が家 | American Folk Song |
エデンの東 | Leonard Rosenman |
全11曲
第2巻程度
エーデルワイス | R.Rodgers |
おめでとうクリスマス | English Folk Song |
星に願いを | L.Harline |
ロッホ・ローモンド | Scotish Folk Song |
スカボロー・フェア | English Folk Song |
パフ | P.Yarrow&L.Lipton |
いつか王子様が | F Churchill |
モスクワ郊外の夕べ | V.P.Soiov’yov-Sedoy |
ドナ・ドナ | S.Secunda |
慕情 | S.Fain |
フニクリ・フニクラ | L.Denza |
ひき潮 | R.Maxwell |
ロミオとジュリエット | N.Rota |
ホワット・ア・フィーリング | G.Moroder |
空を見上げて | Negro Spiritual |
駅馬車 | American Folk Song |
全16曲
第3巻程度
ムーン・リバー | H.Mancini |
ある愛の詩 | F.Lai |
アメイジング・グレイス | AmericanFolk Song |
マイ・ウェイ | C.Francois&J.Revaux |
追憶 | M.Hamlisch |
戦場のメリークリスマス | R.Sakamoto |
愛はきらめきの中に | Barry,Robin&Maurica Gibb |
ウィアー・オール・アローン | B.Scaggs |
イエスタディ・ワンス・モア | R.Carpenter&J.Bettis |
愛はかげろうのように | R.Miller&K.Hirsh |
アイ・ライク・ショパン | Gazebo&P.L.Giombini |
落ち葉のコンチェルト | A.Hammond |
虹の彼方に | H.Arlen |
全13曲
全部で40曲ですね。
いかがでしょう。知っている曲がたくさんあるのではないでしょうか。
題名の下に2,3行の曲紹介があり、まめ知識が得られます。
こういうところ、大人の方にはちょっとうれしいですね。
関連記事→『おとなのためのピアノ曲集ポピュラー編1』の一部を弾いてみました。
楽譜はこんな感じ
ここで楽譜の状況を紹介します。
上にも書きましたが、楽譜は1ページに4段か5段です。
大譜表としての幅は、2.7㎝ほど。これは、始めの方も終わりの方も変わりません。
終わりの方が難易度が高いので、その分音の数が多くなり、見た目が混みこみしていますね。
1曲は長くても見開き2ページにまとめられています。
ページ数を増やしてでも楽譜をもう少し大きくしてもよいのでは・・というのが私の印象です。
『おとなのためのピアノ曲集ポピュラー編1』と同じ曲が他の曲集にも!
実は、同じドレミ楽譜出版社から出ている『バイエル併用ポピュラー・ピアノ曲集』に同じ曲が何曲かあります。
こちらの曲集、編曲者も同じ橋本晃一さん。そのためですね。
どの曲が同じで、どのような編曲になっているのか、表にまとめました。
掲載巻 | 違い | |
500マイル | 1 | 左1オクターブ下へ |
トム・ドゥーリ | 1 | ハ長調→ト長調、左複雑 |
赤い河の谷間 | 1 | ハ長調→ト長調、左複雑 |
故郷の人々 | 1 | 同じ |
星に願いを | 2 | 前奏がない他ほぼ同じ |
ロッホ・ローモンド | 1 | ハ長調→ト長調、左複雑 |
スカボロー・フェア | 1 | 左1オクターブ下へ |
いつか王子様が | 1 | 同じ |
フニクリ・フニクラ | 2 | スタッカートがついた |
ロミオとジュリエット | 2 | ペダルがついた |
ムーン・リバー | 2 | ペダルがついた |
アメイジング・グレイス | 1 | ハ長調→ト長調、ペダル付き、左右とも複雑 |
もっとも違っているのは「アメイジング・グレイス」ですね。かなり難しくなっています。
そして、すべてにおいて違っているのが、コードネームが載せられているということですね。
元のテキスト『おとなのためのピアノ教本』は、調性、コードについても並行して学んでいく内容になっています。
そうした関係からだと思います。
関連記事→『バイエル併用ポピュラー・ピアノ曲集』についてこちらで紹介しています。
『おとなのためのピアノ曲集ポピュラー編1』まとめ アレンジがステキ!
バイエルからブルグミュラーまでと難易度がわりと広い。
また、1番はじめの曲から、全くの初心者の方が弾くには少々難しくなっているこの曲集。
そういうこともあってか、アレンジはいい感じだな(特に後半)、と思いました。
テキストの併用ではなく、単独で使うのももちろんアリ。
そして、少し弾ける方なら1冊持っていると十分楽しめるのではないかと思います。
ぜひ弾いて楽しんでください。
(公開日:2018年4月6日 最終更新日:2024年7月17日)
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