指は良く動いているし、間違いが多くて止まってしまうということもないし、全体的には悪くないんだけど、う~ん・・・
となってしまう、いまいちな演奏ってありませんか?
本当にちょっとしたことを注意するだけで、全然聴こえ方が違って丁寧な良い演奏になるんだけどなあ、と思う。
ホントに文字通り”あと一歩”なんです。
本人は気持ちよく弾いてるんだからそれでいい、といえばそうなんです。
でも、「音楽は聴かせてなんぼ」と思っている私。
気持ちよく聴いてもらいたいし、そういう演奏ができる!
今回は「え?こんなことで⁉」というような些細な事で丁寧な演奏になるポイントを、4つまとめてみようと思います。
丁寧な演奏になるポイント①「一定のテンポを保つ」
一つ目は、「曲の始めから終わりまで一定のテンポを保って弾く」ということです。
曲の途中からだんだん速くなってきたり、逆に部分的に遅かったり、という演奏、あります。
弾き慣れていて好きな部分だったりするところは、弾きやすいから速くなる。
逆に、苦手だなと感じている部分は遅くなる、という傾向がありますね。
音楽は、4拍子なら4拍子が一定のテンポの中で刻まれているから、聴いていて心地よく感じるものです。
部分的に速くなったり遅くなったりする演奏では、聴く側も気持ちを乗せていけません。
ましてや、この曲何拍子?という演奏は、心地悪さを感じさせてしまいます。
曲によっては、もはや音楽ではない、とさえいえるのではないかと思います。
テンポキープは音楽を演奏するうえでとっても大事なことなんです。
練習法はやっぱりメトロノームを使うこと
一定のテンポが保てていないかも・・
と感じたら、とにかく一度メトロノームに合わせて弾いてみることが必要です。
メトロノームの数値を普段弾いているくらいの速さにセットして、そのテンポに合わせて弾いてみます。
そうすればすぐに分かります。
テンポのブレがあることが分かったら、しばらくはメトロノームに合わせて弾くようにします。
やりすぎると、ただの機械的な演奏になってしまうので、そこは注意が必要です。
数回通し練習をする中の1、2回程度にとどめておいた方がいいですね。
「一定のテンポを保つ練習」そのものは、基本的にはテクニックの練習で行うものです。
バーナムやハノンなどで指練習をするときには、必ずメトロノームを使って弾くようにします。
関連記事→ピアノの練習でのメトロノームの使い方についてまとめています。
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テンポを揺らすときにはどうするの?
1曲の中で部分的にテンポを揺らす必要のある時がありますよね。
特に、ロマン派以降の曲はそれが大きな特徴だったりします。
そうでなくても「rit.」や「accel.」の書かれている部分はそうなりますね。
聴いている人に「rit.しているんだな」「accel.なんだな」と分かってもらう演奏をするためには、自分の中で一定のテンポが保たれていなければいけません。
根底に流れるテンポがあるから、rit.やaccel.が生きてくるわけです。
なので、やはり、テンポをキープする練習は必要です。
丁寧な演奏になるポイント②「音符の長さは正確に」
2つ目のポイントは、「音符の長さは正確に弾く」ということです。
4分音符なら1拍、2分音符なら2拍、付点2分音符なら3拍、全音符なら4拍、しっかりとのばす。
例えば、2分音符なのに1拍しかなかったり、という状態では、音楽はブチブチ切れた状態に聴こえます。
たとえ、それがスラーの切れ目にあたるところであっても同じです。
フレーズは切れていても、“ブチ切れ”の状態では台無しです。
4分音符なら、4分音符分しっかり音を置いて次へ移ります。
こういう細かな心配りが、音楽の質を上げます。
音符はもちろん休符もね!
音符のことを書いてきましたが、考え方は休符も同じです。
どちらかといえば、休符の方がおざなりになってしまいがちなように思います。
2拍の休みがあるのに、0.5拍あるいはもっと短く次へ入ってしまう。
本当に些細なことなんだけれど、心地よく聴いていると、そうしたところでオットット・・とつまづいてしまうんです。
休むところもしっかり休まなければいけません。
丁寧な演奏になるポイント③「連続同音はターターター」

3つ目は「同じ音が続くところはターターターと弾く」ということです。
つまり、これもやっぱり「ブチッ」「ブチッ」と切れないようにする、ということですね。
スラーがかかっている部分は、特に注意が必要です。
同じ音を続けて弾かなくてはいけないので、絶対に切れてしまうのですが、切れているように聴こえない弾き方をしなくてはいけません。
スラーがかかっているので。
「ターターター」というイメージで弾く、というのがポイントかと思います。
文章では分かりにくいかと思い、ちょっと動画を撮ってみました。
『パフ』の冒頭部分です。
『おとなのためのピアノ曲集〈ポピュラー編1〉』の楽譜を使用しています。
楽譜はこちら⇩。右手のメロディーのみ弾いています。

まず、スラーをつけて。次に切って弾いています。
同じ音が続く部分の違いが分かるでしょうか。聴こえ方がずいぶん違うかと思います。
メロディーのまとまりを意識して
大事なのは、メロディーのまとまりをしっかりと意識して弾くということだと思います。
どこまでスラーがつけられているのかをきちんと把握して、聴いている人にひとつのまとまりだと感じさせるように弾く、ということです。
スラーは最も大事な音楽記号です。決しておろそかにしてはいけないものです。
関連記事→スラーの弾き方についてこちらの記事でまとめています。
丁寧な演奏になるポイント④「曲の終わりを大切に」
4つ目は「曲の終わりを大切に弾く」ということです。
”終わり良ければすべて良し”ではないですが、最後の音を大切にして締めくくることで、曲全体のイメージが決まります。
”大切に”弾くって?具体的に
「じゃあ、大切に弾くってどういうこと?」かというと、次の2つの方法が挙げられると思います。
- 音符の長さを正確に弾く
- 少しゆっくり目に弾く
1つ目は、やはり、「音符の長さを正確に弾く」ということです。
というか、むしろ長めに弾くのが一つの方法です。
例えば全音符なら、5拍目(次の1拍目)に入る直前まで伸ばします。
5拍目をカウントすると同時に手を上げるくらい。
最後の音はフェルマータがついていることも多いですよね。
フェルマータが書かれているときは、書かれている通りに長くのばして弾くことになりますが、書かれていなくてもほんの少し長めに弾くようにします。
その音符の長さ分、十分にのばすということです。
全音符に限らず、すべての音符でそうします。
「これで終わりです」という意識を持って、たっぷりと弾くようにします。
スタッカートがついているような場合でも、少し長め、少し重たいイメージを持って弾くとよいと思います。
もう1つは、「少しゆっくり目に弾く」ことです。
曲の終わりには「rit.」が書かれていることが多くありますが、書かれていなくても少しだけゆっくりに弾くようにします。
rit.はないので、あくまでも”少しだけ”にします。
「これで終わりです。ご清聴ありがとうございました。」なんて気持ちを持って弾くと、おのずとゆっくりになるのではないかな。
こういう「気持ち」って大事では、と思います。
「丁寧な演奏」をするために自分の演奏を聴いてみよう
まずは、自分がどんな演奏をしているのかを知ることが大事です。
それには録音して聴いてみるのが一番です。
聴いてみるとよく分かります。イメージしていたことと違う、ということだらけだと思います。
弾くのと聴くのって違うんですよね。やってるつもりだったのに全然できていなかったりします。
でも、聴いている人にはこんな風に聴こえている、ということです。
私も、自分の教室の発表会などで弾かなくてはいけないときは、録音して聴きます。
もう何度も何度も。
そして、ここはもっとゆったりと、この音はもっと目立たせて・・
など、自分がイメージしている状態に近づけていきます。
もっと良い演奏がしたい。つまり、自分のイメージ通りに弾きたい、と思ったら、録音して聴いてみること。
特に、独学でピアノを練習している人は、人に聴いてもらう機会が少ないのではないかと思います。
なので、録音して聴くこと、特に大事ですね。
まずは、これが自分の演奏を知る一番手っ取り早い方法です。
「丁寧な演奏」になるポイント 些細なことだけれど基本
今回は、ほんのちょっとしたことで演奏が変わる、そのポイントを4つ挙げてまとめてみました。
これって実は、どれもとても基本的なことでもあります。
ピアノの先生なら、絶対に指摘する部分です。
なので、小さなころからピアノを習ってきている人なら「当然!」と思うのではないかな。
でも、独学で練習をしてきた人は難しいかもしれません。
演奏を聴いてもらって指摘されるということがないと、自分だけではなかなか気づきづらいのではないでしょうか。
以前、大人のレッスンでこういう方がいらっしゃいました。
ほとんど独学でブルグミュラーくらいまで弾けるのですが、演奏を聴いていると、こうした細かいところにどうも引っかかってしまう。
上に挙げた4つすべて当てはまるわけではないですが。
ちっちゃなことだけれど、こういうことが大事。これができればもっともっと良い演奏になる!
そう思って、ちょっとねちねちと指摘させてもらいました。
もしかしたら、独学の人はそういう人が多いのでは、と思い、まとめてみました。
参考になればうれしいです。
(公開日:2018年11月14日 最終更新日:2024年6月11日)
関連記事
→メトロノームの使い方についてこちらの記事でまとめています。


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