ピアノを練習するとき
「弾きたい曲を弾けるようになれば」ではなく「基礎もきちんと身につけたい」
という、大人初心者の方も多いのではないでしょうか。
そんな場合は、テクニックに特化した教本が必要になりますね。
そこで今回は、『バーナム ピアノ テクニック ミニブック』を詳しくご紹介します。
子どものレッスンで、初めてのテクニック教本として使われることが多いのではないかと思いますが、大人の方にもとてもいいと思います。
おそらく、最も簡単なテクニック教本。
”超初心者”の方へ、ぜひおすすめです!
『バーナム ピアノ テクニック』とは?
まずは、『バーナム ピアノ テクニック』シリーズについて。
『バーナム ピアノ テクニック』は、アメリカのピアノ教育家で作曲家のエドナ・メイ・バーナムさんによるピアノテクニックの教本です。
本場アメリカでは、1950年に出版されています。
日本では1975年が初版。今から50年ほど前になりますね。
長く使い続けられています。
ミニブック、導入書、1~4の6冊から成っていて、今回紹介する『ミニブック』は1番初めのものですね。
関連記事→こちらはシリーズの中の1冊『 導入書』の紹介記事です。
『バーナム ピアノ テクニック』シリーズはピアノの先生の間では超有名。
初心者のレッスンで最もよく使われているテクニック教本ではないでしょうか。
ご多分に漏れず、私も使っています。
特長は以下の3つ。
・シンプルな棒人形のイラスト
・子どもたちの遊びや動きが題名に
・1曲が短い
まずは、なんといってもシンプルな棒人形のイラスト。
これが、「かわいい~」と人気だし、シンプルなので邪魔をしないし、曲をイメージしやすい。
そして、「走ろう」「スキップしよう」「すべり台」「なわとび」など子どもたちの遊びや動きが題名になっていること。
さらに、一曲が短いこと。ですね。
短いっていうのは、ホントにいい!
何のための練習なのかがわかりやすく、集中が途切れにくいですよね。
そこの辺りが、多く支持されている理由だと思います。
参考→出版元の『バーナム・ピアノテクニック』紹介ページです。
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『バーナムピアノテクニック ミニブック』の特徴
超初心者向けの『ミニブック』。その特徴、おすすめ理由は次のようなことです。
- すべての曲が4小節
- 使用音符は8分音符まで
- 中央ドから左右へ広がる
- 両手同時はほとんどない
- 同じような形の繰り返しでだんだん難しくなる
以下に詳しく説明します。
すべての曲が4小節
『バーナム ピアノ テクニック』シリーズは、そもそも1曲が短いのが特徴です。
その中で『ミニブック』はすべての曲が4小節です。とってもシンプル!
曲はグループ1~5に分けられ、それぞれ12曲ずつありますので、全部で60曲。
『バーナム ピアノ テクニック』シリーズすべてがその形。
60曲がすべて4小節です。
使用音符は8分音符まで
『ミニブック』は、ほとんどが4分音符までの曲です。
拍子もほとんどが4分の4拍子。なので、出てくる音符は4分音符、2分音符、全音符のみ。
グループ3以降に4分の3拍子が6曲あるので、それには付点2分音符が出てきますね。
8分音符はグループ5に入るまで出てきません。グループ5には、№1,2,11,12の4曲あります。
それも、ドレミファといった隣り合った音のみです。
指の動きがスムーズになってきたところで、さぁ8分音符を弾いてみましょう!という感じですね。
中央ドから左右に広がる
音域は、中央ドから左右に広がる形です。つまり⇩こういうことです。
音符を読みやすいし、鍵盤の位置の把握もしやすいですね。
今は多くの初心者用テキストがこの形になっていると思いますが、テキスト選びの重要な要素だと思います。
両手同時はほとんどない
『ミニブック』は、はじめの段階からどんどん左手も使います。
でも、「両手同時に弾く」という曲はほとんどありません。
1曲の中で右も左も使う、というものは多くありますが、左右の手で弾き継いでいく形です。
つまり、右手で弾いているときは左手は弾いていない。左手で弾いているときは右手はお休みです。
両手同時に弾く曲は60曲中5曲。しかも、すべて「指が同じで音が違う」という形です。
「左右同じ指で弾く」というのは、最も弾きやすい形です。そうした配慮がされているということですね。
同じような形の繰り返しでだんだん難しくなる
『バーナム ピアノ テクニック』シリーズは、12曲を1グループとして1~5のグループに分かれています。
『ミニブック』も同様。
これは、一つのグループの中で様々な指の動きを経験して、グループが進むごとにそれがだんだん難しくなっていく、という形です。
なので、同じような曲が何度も出てきます。
この繰り返しがきちんとした技術を身につけるのにいい、と思います。
『ミニブック』難易状況
『ミニブック』は、進むにつれて少しずつ移難易度が上がるようになっています。
各グループの中身は以下のような感じです。
- グループ1
- ドレの2音の曲から始まって、ドレミ、ドシラ、の3音まで
- スタッカートが出てくる
- 両手とも2和音が出てくる(指1,2と1,3)
- 2音のスラーが出てくる
- 保持音が出てくる
- グループ2
- 音域はドレミファソ、ドシラソファまで広がる
- ドミ、とかドファ、ドミソなどの飛ぶ音が出てくる(上5度、下4度まで)
- 3和音が出てくる(右のみ)
- グループ3
- 上下とも1オクターブ飛ぶ音がある
- 両手とも指くぐりが出てくる
- クロスハンドが出てくる
- 4分の3拍子が出てくる(5曲)
- グループ4
- ♯♭が出てくる(長短調、半音階)(右のみ)
- 黒鍵を使う3和音(短3和音)が出てくる(右のみ)
- 両手とも同音指変え(2→1)が出てくる
- 両手とも指変えの同音スタッカートが出てくる
- グループ5
- 両手とも8分音符が出てくる
- ドレミファソなど並んだ音のスラーが出てくる
難点に感じるところ
とってもいいテキストだと感じる半面、う~んちょっと・・と思うところもないわけではありません。
それは・・・
- スタッカートや和音の出てくるのが早い
- 保持音の出てくるのも早い
- クロスハンドが出てくるのも早い
スタッカートは2曲目に早々と出てきます。
和音もグループ1で重音、グループ2で3和音が出てきます。
スタッカートや和音は普通に曲の中でどんどん出てくるものなので、早くから練習するに越したことはないと思いますが、ちょっと早いような。
きちんと弾くには結構難しい技術です。もう少し後ろのほうになってからでもよいのではないかと・・。
さらに、保持音やクロスハンドは曲の中でそれほど出てくるものではありません。
技術的にも難しいものだし、『ミニブック』でやらなくてもいいんじゃないかと・・。
もう少し手や指の形を保つ力がついたり、鍵盤上の視線の行き来をスムーズにできるようになってからでもよいのでは。
いずれはやらなければいけないものですが、ちょっと早すぎではないかと思っています。
『ミニブック』と使ってみるのなら、こうした曲は難しければ飛ばしてしまってもいいのでは・・
『バーナムピアノテクニック ミニブック』楽譜の見やすさは?
楽譜の見やすさも初心者にとっては大きなポイントです。
五線の幅は1㎝。初心者向けのものとしては標準サイズだと思います。
『ミニブック』は、4小節1曲で1ページ3曲ずつ載せられています。
つまり、1ページ3段しかないわけで、その分余白は広いですよね。
とても見やすいと思います。
楽譜部分はもちろん、題名の文字も大きいです。
イラストがシンプルなだけにゴテゴテした感じがなく、その分楽譜に集中しやすいかもしれません。
この棒人形は人気で、グッズも販売されていました。
『バーナムピアノテクニック ミニブック』まとめ 何度も弾いて指の動きをスムーズに
初心者の方がまず目指すべきは、指を思うように動かせるようにすることではないでしょうか。
シンプルで短い曲を何度も弾いて、ドだと思ったらすぐドに、ミだと認識したらすぐにミに、指を持っていけるようにする。
まずは『ミニブック』のようなものを使って、ゆっくりでいいので、確実に楽譜通りに弾いていけるようにするとよいと思います。
でも、弾き方も大事。
楽譜通りの音になっていても、ただただ音を出しているといった雰囲気ではなく、音の流れを感じながら弾けるといいですね。
それには、ちゃんと題名を読んで棒人形のイラストを見て、イメージを持って弾くといいですよね。
そのための題名であり、イラストです。
私の教室では、保育園くらいの小さな子の最初のテキストで使うこともあります。
知ってる曲を弾きたい!ということで、カエルの歌やきらきら星などを弾きつつ、この『ミニブック』で五指をまんべんなく動かしてもらっています。
とにもかくにも、初心者にはとってもおすすめ!
シンプルで弾きやすいテクニックの教本です。
(公開日:2017年12月19日 最終更新日:2024年7月9日)
関連記事→『バーナムピアノテクニック』シリーズの中の1冊『導入書』を紹介した記事です。
参考記事→バーナムとよく似た初心者向けのテクニック教本『ピアノ・スポーツ』の紹介記事です。
→『バーナムピアノテクニック』と『ピアノ・スポーツ』を比べてみました。
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