こちらに⇩、自分自身が子どものころレッスンで使っていた『音楽表現練習へのピアノ小曲集1』の紹介記事を書きました。
それに続いて”懐かしのピアノ楽譜シリーズ”です。
今回ご紹介するのは『ピアノ小曲集』(安川加寿子:編)。
『音楽表現練習へのピアノ小曲集』同様、今から40年ほど前に私自身も使っていた楽譜で、やはり偶然見つけてビックリ!
私が実際に使っていたのは『2』で、今回はそれより少し難易度の低い『1』について詳しくまとめます。
クラシックの小品ばかりを集めた全20曲。
難易度はブルグミュラーからソナチネに入るかな、というくらいかと思います。
参考にしていただければ嬉しいです。
『ピアノ小曲集』って?
まずは、この楽譜そのものについてまとめます。
初版は1950年代
音楽之友社から出版されているこの『ピアノ小品集』。全3巻あります。
初版は、第1巻から順に1955年、56年、57年となっています。なんと、今から60年以上前!
ロングセラー楽譜ですね。
今回私が購入した第1巻を見ると、「2018年7月第101刷」となっています。
私が昔実際に使っていた第2巻には「昭和55年8月第30刷」とあり、値段はなんと550円!!
今の1/3じゃないかあ~(ちなみに今の第2巻は1500円+税です)。
値段のことはともかく・・
長く使い続けられているという事実は、ひとつの大きな価値ですよね。
編者 安川加寿子さんについて
編者である安川加寿子さんについて。
恥ずかしながらこの『ピアノ小品集』とその他メトードローズなどの教則本を訳した人、という程度しか知りませんでした。
ピアノ教育家、なのかな‥と。
違いますね。ピアニストなのですね!(こういうところにただピアノを弾いてきただけの無知さが出るってものです・・)
門弟には、ピアニストであり文筆家でもある青柳いづみこさんがいます。
Wikipediaには以下のようにあります。
安川加壽子(やすかわかずこ、1922年2月24日-1996年7月12日)は、1940年代から活躍した日本のピアニスト。
(中略)
1923年からパリで育ち当時のフランスで最も新しい流儀を身に付け、帰国後は日本の楽壇の中心人物として演奏活動、教育活動を行った。
Wikipedia「安川加壽子」
1歳でフランスに渡り、フランスでピアノ教育を受けたということですね。
ということから、メトードローズやル・クーペといった、フランスのピアノ教育の本を日本に紹介しているわけですね。
安川さんといえば、輸入楽譜がまだまだ高価だったころに、ドビュッシーのピアノ独奏曲の全曲を校訂出版した、ということでも知られています。
1960年代から70年代にかけて順次出されていて、こちらも現在も販売されていて、評価も高いようです。
参考→音楽之友社『ドビュッシーピアノ曲集Ⅰ』の紹介ページです。
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『ピアノ小曲集1』の内容について
それでは、内容を詳しくご紹介します。
難易度は?
まずは難易度から。
上にも書きましたが、掲載曲の状況から考えて、ブルグミュラーくらいからソナチネに入るころではないかと思います。
本書の「まえがき」には次のようにあります。
この「ピアノ小品集」は、「メトードローズ・ピアノ教則本」を勉強したのちに「ピアノのテクニック」、「ピアノのABC」と並行して用います。そして「ソナチネ」と交互に使用していただければもっとよいと存じます。
『ピアノ小品集』1「まえがき」より
『メトードローズ・ピアノ教則本』は、安川さんが訳したフランス発の教則本ですね。
私は正直あまり内容をよく知りませんが、導入テキストということになりますね。
これを終えてから、ということなので、やはり、初心者というよりは少し進んで「初級者」ということになるかと思います。
掲載曲一覧
肝心の掲載曲をここで載せます。
題名 | 作曲者 | 他の掲載曲集 | |
---|---|---|---|
1 | メロディー | シューマン | 4期のピアノ名曲集2 |
2 | バガテル | ベートーベン | |
3 | 軍隊行進曲 | シューマン | ちいさなリサイタル バスティンピアノ名曲集2 ピアノファンタジー |
4 | エコセーズ | フンメル | ピアノファンタジー |
5 | ソナチネ | ベートーベン | ちいさなリサイタル ブルグミュラー併用ピアノ曲集 バスティンピアノ名曲集2 |
6 | 大好きなワルツ | モーツァルト | |
7 | ソナチネ | ベートーベン | |
8 | アリエッタ | モーツァルト | |
9 | 村の踊り | ベートーベン | |
10 | 勇敢な騎士 | シューマン | バスティンピアノ名曲集2 ピアノファンタジー |
11 | 楽しい農夫 | シューマン | ブルグミュラー併用ピアノ曲集 バスティンピアノ名曲集2 |
12 | 小さなロンド | フンメル | |
13 | メヌエット | プレイエル | |
14 | シシリアの踊り | シューマン | |
15 | フィナーレ | ホースレイ | |
16 | テーマ | ウェーバー | |
17 | 初めての悲しみ | シューマン | ちいさなリサイタル ブルグミュラー併用ピアノ曲集 |
18 | メヌエット | バッハ(作曲者不明) | 4期のピアノ名曲集2 ブルグミュラー併用ピアノ曲集 バスティンピアノ名曲集2 |
19 | ミュゼット | バッハ | ちいさなリサイタル 4期のピアノ名曲集2 |
20 | スケルツェット | フンメル | 4期のピアノ名曲集2 |
過去に別記事で紹介したことのある曲集にも載せられている曲は、その旨記しました。
改めてまとめると以下のようになります。
- 『4期のピアノ名曲集2』(学研プラス)
- 1「メロディー」(シューマン)
- 18「メヌエット(メヌエット ト長調)」(作曲者不明)
- 19「ミュゼット」(バッハ)
- 20「スケルツェット(スケルツォ)」(フンメル)
- 『ちいさなリサイタル』(ヤマハミュージックメディア)
- 3「軍隊行進曲(兵士の行進)」(シューマン)
- 5「ソナチネ(ソナチネ ト長調)」(ベートーベン)
- 17「初めての悲しみ(最初の悲しみ)」(シューマン)
- 19「ミュゼット」(バッハ)
- 『バスティン ピアノ名曲集1』(東音企画)
- 3「軍隊行進曲(兵隊の行進)」(シューマン)
- 5「ソナチネ(ト長調のソナチネ)」(ベートーベン)
- 10「勇敢な騎士」(シューマン)
- 11「楽しい農夫(楽しき農夫)」(シューマン)
- 18「メヌエット(ト長調のメヌエット)」
- 『ブルグミュラー併用ピアノ曲集』(ドレミ楽譜出版社)
- 5「ソナチネ(ソナチネ第5番)」(ベートーベン)
- 11「楽しい農夫」(シューマン)
- 17「初めての悲しみ(最初の悲しみ)」(シューマン)
- 18「メヌエット」(作曲者不明)
- 『ピアノファンタジー ピアノのための小品集1』(ヤマハミュージックエンターテイメントホールディングス)
- 3「軍隊行進曲(兵隊のマーチ)」(シューマン)
- 4「エコセーズ」(フンメル)
- 10「勇敢な騎士(荒々しい騎手)」(シューマン)」
この5つの曲集は、いずれもブルグミュラー程度の難易度のものです。
(「ピアノファンタジー1」は楽譜集にバイエル併用と記載されていますが、掲載曲は少々難易度高めだと思います。)
こうしたものに掲載されていることから考えても、ブルグミュラーくらいの難易度ということになるかと思います。
参考記事→『4期のピアノ名曲集2』『ちいさなリサイタル』『バスティン ピアノ名曲集1』『ブルグミュラー併用ピアノ曲集』『ピアノファンタジー1』はこちらの記事で紹介しています。
参考記事→『ブルグミュラー併用ピアノ曲集』はこちらの記事で紹介しています。
参考記事→『ピアノファンタジー1』はこちらの記事で紹介しています。
作曲者について
作曲者について4期でまとめてみます。作曲者名の後の数字は、掲載されている曲数です。
- バロック
- バッハ1
- 作曲者不明(バッハ)1
- 古典
- ベートーヴェン4
- モーツァルト2
- フンメル3
- プレイエル1
- ロマン
- シューマン6
- 近・現代・・・0
*ホースレイ1曲・・おそらくロマン派(生没年より判断)、ウェーバー(1曲)はあのウェーバー?だとしたらロマン派
4期を意識した曲集ではないと思われますが、上記した他の掲載曲集との関係からそのようにまとめてみました。
特長は、シューマンの曲が6曲と突出して多いことですね。
それと、もう一つは、近・現代の曲が1曲も含まれていない、ということでしょうか。
本書の初版の年代を考えると、まだそれほど4期を意識したレッスンはされていなかったのではないかと思うので、そうなってしまうのかな・・。
『ピアノ小曲集1』楽譜の状況
実際の楽譜の状況をまとめます。
五線の幅は8㎜ほど。大譜表としては3㎝を切るくらいです。
楽譜は大きいとは言えません。
1ページ6段が主で、一部5段に収められている曲もある、といった状況です。
けっこう混みこみした印象で、私はちょっと見にくいかなと感じてしまいます。
段と段の間が狭く余白が少ないのが、見にくく感じてしまう要因でしょうか。
同じ曲で、本書では1ページで収められているものが他の曲集では2ページになっている、という曲もあります。
とっても見にくい、なんてことはありませんが、他の曲集の方が見やすく感じますね。
『ピアノ小曲集1』まとめ ブルグミュラー程度でシューマン好きなら
いかがでしょうか。
他の曲集にも掲載されているような定番曲が多く、20曲という曲数も手ごろかなと思います。
そして、長く使い続けられているというのは安心感にもなりますね。
選曲としては、シューマンが多いというのが特徴ですね。
シューマンが好きで、でも他の曲も入っていれば・・
という思いの人はいいのではないでしょうか。
難易度的には、様々な曲に触れられるようブルグミュラーの併用として使う、という方法が定番でしょうか。
(公開日:2018年11月9日 最終更新日:2024年7月24日)
参考記事
→1冊に4期のピアノ曲が収められている曲集の紹介記事はこちらです。
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