今回は、『ピアノのための やさしい4期の名曲集1』を紹介します。
名前の通り、ピアノ曲が4期に分けて掲載されています。
全67曲!多いですね。
文字通り名曲ぞろいで、子どものレッスンはもちろん、じっくりクラシック曲を味わいたい大人の方にもおすすめです。
以下から内容を詳しくまとめていきます。
『やさしい4期の名曲集1』基本情報
まずは、基本情報から。
この『やさしい4期の名曲集』は、正確には
『様式とテクニックが同時に学べる ピアノのための やさしい4期の名曲集 [バロック、古典、ロマン、近・現代]』
といいます。
全2巻で、「1」は2000年12月に、「2」は2001年3月に全音楽譜出版社から初版が出版されています。
それほど新しい楽譜集ではありませんが、2026年現在、改訂版は出されていないようですね。
難易度については、出版社の紹介ページを見ても、「1」と「2」の明確な違いは書かれていません。
楽譜を見て何曲か弾いてみた印象としては・・
- 1:バイエル後半からブルグミュラー程度
- 2:ブルグミュラー程度からソナチネ程度
でしょうか・・

「2」は楽譜を持っていないので、出版社サイト等で収載曲を確認した印象です。はっきりとしたことはいえません。
著者は、中村菊子さんと木幡律子さん。
中村菊子さんは、有名なテクニック教本『バーナム・ピアノ・テクニック』シリーズの訳者ですね。
木幡律子さんの演奏による、この『やさしい4期の名曲集』1、2巻の全曲目収録のCDが販売されています。
⇩バーナムピアノテクニックをこちらの記事で紹介しています。


『やさしい4期の名曲集1』の特長はやっぱり「4期」ということ
この『やさしい4期の名曲集1』の最大の特長は、なんといってもタイトルにもあるように、「4期」の曲が1冊にまとめられているということですね。
曲数は以下のようになっています。
- バロック期:12曲
- 古典期:19曲
- ロマン期:16曲
- 近・現代:20曲
バロック期が少なめかもしれませんが、曲数に大きな偏りはないですね。
むしろ、難易度を区切った形の1冊の中に4期それぞれ10数曲というのは、かなり多いのではないかと思います。
様々な時代の様々な曲を経験することができますね。
著者お二人の連名による「はじめに」には、以下のようにあります。(一部抜粋)
(前略)
幼い子供たちが早くから音楽性豊かな作品にふれて、ピアノが早く上達するように重要な作曲家の作品から選びました。
ピアノの演奏とはコミュニケーションであり、音に託して自分を表現することです。
そして、ピアノがうまくなるのには、幼いときから’思考’や、’事物’や、’物語り’が音楽的に描写されているよい曲をたくさん弾くことです。
欧米では子供たちが少し読譜ができるようになると、すぐにバッハやシューマンなど、音楽史4期の重要な作曲家のやさしい曲を弾いてピアノレッスンを進めます。(中略)
理想的なピアノのレッスンとは、導入メソードの最初の段階が終わった時点で、(カッコ内略)すぐにバロック、古典、ロマン、近・現代の曲をかわるがわる弾いていくレッスンです。
(後略)
『やさしい4期の名曲集1』「はじめに」より
この楽譜集作成の意図や4期を弾く大切さが分かりますね。
→こちらの記事でも『やさしい4期の名曲集1』を紹介しています。
『やさしい4期の名曲集1』の内容は?収載曲、難易度、楽譜の状況など

それでは、具体的に内容を見ていきます。
収載曲について
やはり、まず知りたいのは収載曲ではないでしょうか。
以下に67曲をすべて載せます。4期に分けて作曲者名ごとに並んでいるので、そのようにまとめます。
番号は掲載順です。
また、曲目は作曲者ごとにまとまっていますので、作曲者名のない曲目は、上部の作曲者による曲ということになります。
【バロック期】(12曲)
| 1 | ガボット | G.Ph.テレマン:1681-1767(ドイツ) |
| 2 | メヌエット | |
| 3 | ジグ | |
| 4 | ブレ | J.クリーガー:1651-1735(ドイツ) |
| 5 | メヌエット | |
| 6 | マーチ | J.クラーク:1674-1707(イギリス) |
| 7 | メヌエット | H.パーセル:1658-1695(イギリス) |
| 8 | エア | J.ブロウ:1649-1708(イギリス) |
| 9 | マーチ | J.ハッセ:1699-1783(ドイツ) |
| 10 | メヌエット | J.A.ヒラー:1728-1804(ドイツ) |
| 11 | イギリス風舞曲 | J.K.E.フィッシャー:1670?-1746(ドイツ) |
| 12 | イントラーダ | J.S.バッハ:1685-1750(ドイツ) |
【古典期】(19曲)
| 13 | ようきなわかもの | D.G.テュルク:1750-1813(ドイツ) |
| 14 | なんてきまぐれなの? | |
| 15 | 2つのうた | |
| 16 | たわむれ | |
| 17 | ふざけっこ | |
| 18 | つのぶえとこだま | |
| 19 | ガボット | J.G.ヴィットハウアー:1751-1802(ドイツ) |
| 20 | 小舞曲 | W.A.モーツァルト:1756-1791(オーストリア) |
| 21 | おもいで | |
| 22 | メヌエット | J.W.へスラー:1747-1822(ドイツ (サクソン)) |
| 23 | メヌエット | J.Ch.バッハ:1735-1782(ドイツ) |
| 24 | ソナチネ Op.41-2 | J.B.ヴァンハル:1739-1813(チェコ) |
| 25 | ソナチネより | C.H.ウィルトン:受洗1761-?(イギリス) |
| 26 | ロシアのうた | L.van ベートーヴェン:1770-1827(ドイツ) |
| 27 | レントラー | |
| 28 | ソナチネより Op.151-2 | A.ディアベリ:1781-1858(オーストリア) |
| 29 | ソナチネよりOp.88-1 | F.クーラウ:1786-1832(デンマーク) |
| 30 | ソナチネよりOp.60-2 | |
| 31 | ソナタ第18番 | D.チマローザ:1749-1801(イタリア) |
【ロマン期】(16曲)
| 32 | ちいさいこどものために Op.68-48 | R.シューマン:1810-1856(ドイツ) |
| 33 | 小曲 Op.68-5 | |
| 34 | くまのおどり | |
| 35 | ワルツ Op.124-4 | |
| 36 | 小練習曲 Op.68-14 | |
| 37 | アレグレット | C.グルリット:1820-1901(ドイツ) |
| 38 | ポリフォニーの曲 | M.I.グリンカ:1804-1847(ロシア) |
| 39 | ドイツ舞曲 | C.M. von ウェーバー:1786-1826(ドイツ) |
| 40 | ワルツ Op.77,D969 | F.シューベルト:1797-1828(オーストリア) |
| 41 | 小さな木馬 Op.39-4 | P.I.チャイコフスキー:1840-1893(ロシア) |
| 42 | フランスの古いうた Op.39-16 | |
| 43 | ママ Op.39-3 | |
| 44 | 新しいお人形 Op.39-6 | |
| 45 | 病気のお人形 Op.39-7 | |
| 46 | 人形のお葬式 Op.39-8 | |
| 47 | 木の兵隊のマーチ Op.39-5 |
【近・現代】(20曲)
| 48 | はじめての曲 Op.89-1 | D.B.カバレフスキー:1904-1987(ロシア) |
| 49 | かわいいはりねずみ Op.89-8 | |
| 50 | あやつり人形のおどり Op.89-28 | |
| 51 | 小さな物語 Op39-14 | |
| 52 | 行進曲(おいかけっこ) Op.39-10 | |
| 53 | 小さな歌 Op.27-2 | |
| 54 | ボールあそび Op.27-5 | |
| 55 | かれのジャムパンを失敬して食べる方法 | E.サティ:1866-1925(フランス) |
| 56 | 輪まわし遊びの輪をこっちのものとするために彼の足の魚の目を利用する | |
| 57 | あそんでいる子どもたち [子どものために第1巻-Ⅰ] | バルトーク・ベーラ:1881-1945(ハンガリー) |
| 58 | 子どものうた [子どものために第1巻-Ⅱ] | |
| 59 | あそび [子どものために第1巻-Ⅴ] | |
| 60 | あそびうた [子どものために第1巻-Ⅶ] | |
| 61 | 子どものあそび [子どものために第1巻-Ⅷ] | |
| 62 | なわとび [こどものアルバム]より | A.I.ハチャトゥリァン:1903-1978(アルメリア(ロシア)) |
| 63 | 東洋のおどり [こどものアルバム]より | |
| 64 | ララバイ [こどもの組曲]より第5番 | N.デロ=ジョイオ:1913-2008(アメリカ) |
| 65 | プロムナード Op.65-2 | S.プロコフィエフ:1891-1953(ロシア) |
| 66 | マーチ Op.65-10 | |
| 67 | 手まわしオルガン[人形の舞曲]より第6曲 | D.ショスタコーヴィッチ:1906-1975(ロシア) |
目次の前のページには「音楽史の4期別作曲家の生没年・国籍」として、掲載曲の作曲家を4期それぞれに分けた表があります。
上記の曲目一覧の作曲者の生没年、国籍はこの表を元に記入しました。
難易度の順番は?
この楽譜集は、曲目が4期別、そして作曲家別に並べられています。
難易度の順番どのようになっているでしょうか。
見る限り、4期全てを通してそれほど大きな難易度の差はないように思います。
ただ、4期それぞれの最初の曲は、8小節程度の短いものになっています。(近・現代は16小節)
そうしたことから考えると、4期それぞれで、後ろへ行くほど少し難しくなっているかもしれません。
1曲の長さとしては、短いもので8小節、長くて4ページのものも数曲ありますが、後ろへ行くほど長くなっているわけでもないですね。
曲の長さだけで難易度は測れませんが、参考になればと思います。
楽譜の状況は?
楽譜の様子についてもまとめます。
楽譜は大きめかと思います。
五線の幅は約1センチ。大譜表では3.5センチほど。
1ページ4段で収められている場合がほとんどですが、中には5段、または3段になっている曲もあります。
曲の長さやページ内への収まりなどによるということですね。
段と段の間が少し広めで、これがすっきりと見える要因かもしれません。
楽譜そのものが大きくても、段の間が詰まっている楽譜は少々見にくく感じますよね。
『やさしい4期の名曲集1』まとめ
『やさしい4期の名曲集1』についてまとめてきました。
タイトルに「4期」と銘打たれている通り、4期それぞれ充実した曲数になっています。
また、各時代を代表するような作曲家の作品が並んでいて、タイトル通り「名曲集」ですね。
子どもも大人も、クラシック音楽をしっかりと学んでいきたい場合には、ぜひ使っていきたい楽譜集ではないでしょうか。
ただ、レッスンや発表会でよく弾かれるような有名曲は収載されていないようです。
また、流行りの曲を手軽に聴くことができて、ボカロ曲なども次から次へ新しいものが出てくる時代。
そうした音楽環境にいる子どもたちに好まれるかな・・と心配してしまいます。
でもだからこそ、良いとされて今に残ってきているこのようなクラシック曲にじっくりとふれてほしい。
そんな風にも思いますね。




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