『ハノン』の練習で大事なのはこれ!ただ弾くだけではダメなんです

ピアノの弾き方・練習法

指を動かす練習として『ハノン』を取り入れている人は多いと思います。

”大人のハノン”といった、本家ハノンを参考にして作られたものも含めて。

その「ハノン」を弾く際に気をつけなければいけないこと、何を大事に練習するべきか、などについて考えてみました。

ただがむしゃらに弾いているだけではなかなか・・手が疲れるだけに終わります。

『ハノン』は何のためにやるの?それはやっぱり!

何のために『ハノン』をやるのか。

まずこのことをきちんと押さえておくことが大事だと思います。

それは、

指をスラスラと動かせるようになるため

ですよね。

指をスラスラと動かせる、というのは、5本の指それぞれを同じように動かせる、ということです。

ピアノを弾くのに必須、という感じでよく言われる

指の独立

というやつですね。

これはつまり、指1本1本をコントロールできるようにする、ということです。

これができるようになれば、結果的に「音の粒がそろう」ということになります。

『ハノン』を弾く前に確認すること

すぐに弾き始めるのではなく、まず確認しなくてはいけないことがあります。

やっぱり大事!手の形

手の形を整えることは、やはり、最重要課題です。

弾き始める前に、弾くときの手の形をきちんと確認しましょう。

ポイントは、以下のようなことです。

  • 鍵盤と手のひらを平行に(小指の方へ傾かない)
  • 指は自然に丸く
  • 関節はどこもへこまない

ピアノを弾くときにありがちなのは、手が小指の方に傾くことです。

この形では小指をしっかり動かすことができず、音も出しづらくなります。

小指の方に傾いていないか、をまずは見てみてください。

もし傾いているようなら、肩から腕にかけてを少し外に広げます。この方法で傾きを正すことが大切です。

絶対に手首だけを動かして直すことをしないようにしましょう。こうすると腕に不自然さを感じるはずで、楽に弾くことはできません。

指は自然に丸くなっていて、それぞれの関節がへこんでいないことも確認しましょう。

関連記事ピアノを弾く基本の手の形と弾き方についてまとめています。

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腕できちんと支えること

手の形を整えたら、その形をキープしなければいけません。

そのためには、腕から手のひらくらいまでには力が必要です。

指だけは楽に自由に動かせるようにしておきます。

指を自由にさせるために、腕から手のひらまでを浮かせた状態でキープする、ということです。

そして、指だけを動かして弾いていくことになります。

「腕から手のひらまで」と書きましたが、肩から意識すると楽にキープできます。一番根本は肩になるわけなので。

関連記事指を速く動かすための手の形についてまとめています。

『ハノン』を弾くときに注意すること

それでは実際に弾いていきますが、弾きながら注意することをまとめていきます。

ポイントは、以下の4つかと思います。

  • 手の形をキープできているか
  • 指は楽に、スムーズに動かせているか
  • どの音もきちんと出ているか
  • リズムは正確か

下に少し詳しくまとめます。

手の形をキープできているか

はじめに確認した手の形を保ったまま弾けているか、は重要です。

小指側へ傾いていないか

手首が上がりすぎたり下がりすぎたりしていないか

も大切です。

どこかの関節がへこんだりはしていないでしょうか。

これらをチェックしてみましょう。

指は楽に、スムーズに動かせているか

指そのものに固く力が入ってしまってはいないでしょうか。

指は鍵盤を押せるだけの力があればいいです。楽にしておくことが大切です。

そのためには、腕から手のひらにかけてでしっかり支えることが重要です。

上に書いたように、少し浮かせた状態でキープさせておくということですね。

指だけがさらさらと動いて、腕はそのまま水平移動するような形です。

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どの音もきちんと出ているか

ピアノを弾いているときは、自分の出している音をよ~く聴くのはとても重要です。

『ハノン』のような練習曲を弾いているときも同じです。

どの音も均等にきちんと出ているかどうかを、しっかり聴きながら弾くようにしましょう。

音がきちんと出ていないと感じたら

音の大きさにばらつきがあるとか、そもそもしっかりした音が出ていない、といった状態のときは、もう一度手の形を見直してみましょう。

上に書いたことはあくまでも基本です。一人一人の手の大きさなどに合わせて調整する必要があります。

例えば手首がその人にとっては上げすぎだったり、あるいは下げすぎだったり、ということがあります。

鍵盤へ向かって真っすぐに指をおろせる形を見つけます。

どうすれば、しっかりした音が出るのか、弾きやすいのか。

自分の音をよく聴きながら調整しましょう。

絶対にやってはいけないのは、指そのものに力を入れること。

指に力を込めれば音はしっかり出るでしょう。でも、速く動かすのは無理です。

指はあくまでも楽に自由に動かせるようにしておかなければいけません。

腕の支えや角度などで調整していきます。

関連記事しっかりした音を出すための方法についてまとめています。

リズムは正確か

本家『ハノン』の場合、すべて16分音符で書かれています。

この16分音符が正確に弾かれているか、にも注意を払って自分の音を聴かなくてはなりません。

4分音符1拍の中に正確に16分音符4つを入れられるようにならなければいけません。

ハノンを弾くのにメトロノームは必須です。メトロノームにきっちり合わせて弾けているかをよく確かめながら弾きましょう。

案外ありがちなのが、速すぎるということです。

正確に1拍の中に4つ入れなければいけませんが、始めの3つが速すぎて、最後の音が微妙に長くなってしまうことが多くあります。

そういう時は、メトロノームのカチカチ音が16分音符に合うように合わせて弾くとよいです。

電子メトロノームは、1拍を4分割して音を出してくれる機能があるので、その点とても楽。

まずはこれに合わせるようにして、合うようになったら4分音符に戻します。

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指の独立にはやっぱりリズム練習

ハノンは、16分音符で書かれている楽譜を弾くのと、それをいろいろなリズムで弾くのとはセット、と考えた方がよいです。

指の独立、つまりどの指もコントロールできるようになるためには、リズム練習がとても有効です。

  • 一つ一つはっきりした音ではなく、つまずくような弾き方になってしまう
  • 音が全体的に頼りない
  • 大きさにばらつきがある

まずは手の形などを確認し、これでよさそう。でも上記のようになってしまう。

という時はとても良い訓練になります。

これらは、結局のところ、指1本1本がまだまだしっかりしていないことが原因だと思われます。

リズム練習によって指それぞれがいろいろな使われ方をすることで、指を動かすための神経細胞がつくられていく、ということかな(たぶん)。

本家『ハノン』には、リズム練習の例がたくさん載っています。その中から弾きやすいものを選んでやるとよいと思います。

曲でもよく使われ、比較的弾きやすいと思われるのが「タッカタッカ」の付点のリズム。

どのリズムをするのか迷ったら、まずはこれから始めるとよいですね。

リズムを正確に弾けるためにも

指のコントロールといううことともに、そもそもリズムを正確に弾き続けられるようになるためにリズム練習は大事です。

ハノンの№1ならそれをずっと同じリズムで弾きとおす、ということは、いつでも正確に弾ける、ということにつながると思います。

もちろん惰性で弾いていてはダメですが。毎回毎回、きちんと弾けているかをよく聴きながら弾かなくてはいけません

関連記事『ハノン』の練習法についてこちらの記事にまとめています。

『ハノン』№1を弾いてみた

『ハノン』の1番を弾いてみました。参考になればと思います。

まずは楽譜通り。実際の表示にある4分音符=108の速さで弾いています。

付点のリズムでも弾いてみました。

付点→逆付点と続けて弾いています。

速さは4分音符=72です。

『ハノン』ばっかりじゃダメ!

ハノンには賛否両論あるようですが、良い練習になると私は思っています。

でもやっぱり、あくまでも「指をスムーズに動かせるようになるため」のものですよね。

このこと自体はピアノを弾くうえですっごく大事なことなので、ハノンはやったほうがいいと思います。

但し、これだけではダメ!指が速く動くようになる「だけ」です。

そこはきちんと押さえたうえで練習に取り入れなければいけない、と思います。

『ハノン』は曲をステキに演奏するためのもの。

それは忘れないでおきたいですね。

(公開日:2018年5月25日 最終更新日:2023年10月17日)

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