ピアノに限らず、楽器の練習をするときにメトロノームを使うことは多いですよね。
一方で、「使わないな~」「そんなに大事?」と思って、使っていない、そもそも持っていないという人もいるかもしれません。
「だいたい、メトロノームに合わせて弾くなんて楽しくないし・・」
こんな声も聞こえてきそうです。
はい、その通り!
メトロノームに合わせて弾くなんて、決して楽しいことじゃありません。
ましてや、曲を弾くときに鳴らしていたら、気持ちよく弾けませんよね。
でも、メトロノームをかけての練習はとっても大事です。
ピアノの練習でメトロノームを使う必要があるのはどんな時か。
使うことでどんなメリットがあるのか。
具体的な例を挙げてまとめてみます。
メトロノームを使うメリットはテクニック練習で
ピアノの練習でメトロノームを使うメリットがあるのは、テクニックの練習をするときです。
テキスト名でいうと、『ハノン』や『ツェルニー』などですね。
こうした曲は、ほぼ例外なく「♩=100」などのメトロノーム表示があります。
この速さで弾けることを目指しましょう、ということですよね。
指定された速さで正確に打つメトロノームの音にしっかりと合わせて弾くことで、指の動きをコントロールすることができるようになります。
そして、1曲を通して指定された一定の速さで弾きとおすことで、一定のテンポを保つ、ということにもつながります。
「指の動きをコントロールできるように」とは?
「指の動きをコントロールできるようにするためにメトロノーム」って、どういうことなのか。
それは・・
『ツェルニー』などの場合
例えば・・
「♩=100」という速さの中に、「♬♬」と16分音符4つを弾く場合と「♫」と8分音符を2つ弾く場合とでは、弾き方が変わりますよね。
それにアクセントやスタッカートなどなどの表示があると、さらに様々な弾き方を駆使して弾くことになります。
それを、「♩=100」などの、一定の枠組みの中で次々に弾いていくことで、
- 指運び
- 力の入れ具合緩め具合
- 腕の動き
などを、瞬時に最適な形になるようコントロールしていくことが必要になります。
そのことができるようになるために、メトロノームを使って練習をしていきます。
♬♬が延々と続く『ハノン』の場合
こちらもやはり、例えば「♩=100」の速さの中に、正確に16分音符を弾いていけるようにすることで、指のコントロールを可能にするためのものです。
- ある音のみが大きくなったり小さくなったり
- 部分的につっかるような速さの変化が出てしまったり
このようなことにならないよう、同じ大きさ、同じ速さで弾き続けることができるようにする。
指をコントロールして、それを可能にしていく、ということですね。
これは、自分の感覚での拍子で身につけるのは難しい、というか無理だと思います。
そこに、メトロノームを使うメリットがあります。
外部で、否応なしに容赦なく打つメトロノームの正確な拍子にしっかり合わせることで、必要な時にサッと指をコントロールし、思うような音を出す技術が身についていくわけですね。
関連記事⇩『ハノン』の練習についてこちらの記事に書いています。
一定のテンポを保つことができるように
音楽を演奏するうえで、一定のテンポを保って弾き続けることはとても重要です。
音楽は、一定のテンポの上に成り立っているから、その曲にのって聴くことができるんです。
特に人に聴いてもらうための演奏をするときには、自分の感覚のままに速くなったりゆっくりになったりする演奏では、心地よい印象を与えることは難しいですよね。
下手をすると、音楽として聴いてもらえなくなってしまいます。
メトロノームを使って、1曲通して同じ速さで弾くことを行うことで、メトロノームがなくても一定のテンポを保って弾くことができるようになっていきます。
これも、メトロノームを使うことの大きなメリットですね。
関連記事→一定のテンポを保って演奏することの大切さをまとめています。
メトロノームを使ってピアノ曲の練習は最低限に
一方で、曲の練習をするときにはメトロノームはまず使いません。
よほどの事情があるときだけにとどめます。
それはどんな時かというと・・
- 1曲通して弾く際にテンポが一定に保てておらず、しかも、弾いている本人がそのことに気づいていないとき。
- 部分的に他と比べてゆっくりになってしまう、または速くなってしまうところがあるとき。
- テクニックに特化した練習を特にしていない場合。
この3つの場合は、曲の練習でもメトロノームを使った方がよいですね。
特に3については、今は、ハノンやツェルニーに否定的な考えもあるので、テクニックに特化した練習を行わず曲のみを弾いているという人も多いかもしれません。
そんなときは、指を速く正確に動かす必要がある部分を、メトロノームによる正確なテンポの中で弾くことで、その部分を弾くための指のコントロールの練習になります。
関連記事→ピアノの練習でメトロノームを使う場合の注意点についてまとめています。
正確なテンポを経験することは大事!
メトロノームは、超正確なテンポを刻む機械です。
音楽は、決して機械のような正確な刻みの上に成り立っているものではありません。演奏する人の心情による微妙な揺れがあるものです。
だからこそ、心地よさや奥深さを感じることができるのです。
でも、より高い演奏技術を身につけるには、正確な刻みを経験することはとても大事だと考えています。
特に、思うように指をコントロールする技術を身につけるためには、外部による正確な刻み、という枠組みはとても有効に働くのではないかと思います。
何でもかんでもメトロノーム、は間違った使い方ですが、全く使わずに演奏技術を上げることは遠回りのように思います。
必要な時に必要な方法でうまく使っていく。
なんでもそうですが、要は使い方、ですね。
(公開日:2020年11月4日 最終更新日:2024年3月8日)
コメント