大人初心者向けハノン『おとなのハノン』長く使えてしっかり身につく!

テクニック教本

大人になって初めてピアノを習う、という方が珍しくなくなった昨今、指のトレーニングもしっかりしたい、という本格派も多いのではないでしょうか。

指のトレーニングといえば『ハノン』!

と断言してはいけないかもしれないけど・・

その『ハノン』を、大人の初心者用に、弾きやすくアレンジした楽譜がいくつか出版されています。

その中から、今回は『おとなのハノン』を詳しくご紹介します。

こちらの教本、以前にも紹介記事を書いているのですが、興味を持たれている方が多いようなので、改めて内容を詳しくまとめることにしました。

参考にどうぞ。

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『おとなのハノン』その特徴は?

おとなのハノン ~指の動きをよくするピアノ・トレーニング・ブック~

この『おとなのハノン』、副題に「指の動きをよくするピアノ・トレーニング・ブック」とあります。

まさしく、指の動きをよくするための教本です。

そもそも『ハノン』がそうなんですが・・。

 

本書の「はじめに」には、以下のようにあります。

(前略)

大人のピアノ学習者の多くは、面倒な読譜練習や、つらい指練習などを避けて、楽しく弾ける曲集ばかりを選んでいるように思えます。確かにとっかかりとしてはそれでよいでしょうが、2~3年もするといろいろな事に気づき始めます。「指の柔らかい若い人達ですら、指練習をたっぷりやっている。ましてや指の動きの悪い私達が、何もしなくてすむのかしら・・」と。また、CDで聴く演奏と自分の演奏との差もわかり始め、どうしたらもっと指が動くようになるのか、うまくなるためにはどんな力が必要なのかと考えるのです。

(後略)

引用:『おとなのハノン』「はじめに」より

ピアノを始めて数年。まさに、ここに書かれていることにドンピシャ!、と思われる方は多いのではないでしょうか。

こうした方向けに作られた、この『おとなのハノン』です。

「導入編」と「ハノン編」の2本柱

本書の大きな特長として挙げられるのは、「導入編」と「ハノン編」の2本柱になっているということです。

「導入編」は

4分音符の片手→両手➡八分音符の片手

の順に進むので、初心者の方は特に、まずは「導入編」から始めるとよいのではないでしょうか。

このテキストの「本書の特長と使い方」にも、

ピアノを始めたばかりの方は、この〈導入編〉をくり返し勉強してください。

とあります。

また、「導入編」のさらに前、本書の最初のページは、「五線と鍵盤の位置関係」の図が載せられています。

初心者の方はまずこれを見て、楽譜に書かれている音符が鍵盤のどの位置になるのかを確認して、弾き始めることができますね。

 

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「ハノン編」には、本家『ハノン』第1部+スケールとアルペジオ

2本柱の1つ「ハノン編」は、

本家『ハノン』の第1部(№1~20)と、全調のスケール(音階)と全調のアルペジオ(分散和音)

が入っています。

本家『ハノン』の第1部は、他のハノン系教本や子ども向けのハノンにも、入っていることがほとんどだと思います。基本的な部分ですしね。

それに加えて、全調のスケールとアルペジオが載せられている、ということになると、数は減るのではないでしょうか。

スケールに入る前には、「《音名》と《五度圏》」というページがあり、調性についての基本事項が学べるようになっています。

「ゆびあそび」①~⑤

「導入編」から「ハノン編」にわたって、5つの「ゆびあそび」のページが設けられています。

内容は

  • ①「同音連打」
  • ②「音の保持」
  • ③「トリル」
  • ④「重音」
  • ⑤「オクターブ」

となっていて、「ゆびあそび」といいつつ、けっこう大事な指の動きを学べる内容になっていますね。

 

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『おとなのハノン』「導入編」

それでは、中身を詳しくまとめていきます。

まずは、「導入編」から。

「五線と鍵盤の位置関係」

「導入編」に入る前に、この「五線と鍵盤の位置関係」の図が、見開き2ページを使って掲載されています。

⇩こんな感じ。

鍵盤図には「ドレミ~~」が書かれています。

また、五線の音符及び鍵盤の「ド」は●で示され、分かりやすくなっていますね。

そして、右端には、●で示されているすべての「ド」を楽譜上に示したものがあり、まずは「ド」の位置を覚えるよう書かれています。

ステップ1「♩の練習」

次のページから、実際に弾いていくことになります。

「導入編」は、ステップ1,2に分かれていますが、ステップ1は、「♩の練習」ということで、楽譜は♩で書かれています。

このステップ1で、片手→両手と進みます。

すべて「5指固定」で弾くことができます。つまり、始めに鍵盤1つにつき1本の指を置いたら、その場所から移動することなく弾ける、ということですね。

片手のトレーニング

まずは「片手のトレーニング」ということで、右手、左手それぞれの楽譜があります。

冒頭に、注意点として以下の5つが書かれています。

  1. 指定された指番号で弾きましょう。
  2. 弾く前に、必ず読む練習を行いましょう。
  3. レガートで弾きましょう。
  4. メトロノームを使いましょう。(♪で合わせてもよい)
  5. 疲れや痛みを感じたら無理せず休みましょう。

メトロノームの速さ指定は「♩=60~80を目安に」となっています。

長さは8小節。全部で10の課題があります。

⇩実際の楽譜です。

両手のトレーニング

次に「両手のトレーニング」に入ります。

楽譜は、2段が1つになった「大譜表」になりますね。

両手ユニゾンで弾くことになるので、左右で使う指が違います。そのことが始めに書かれています。

そして、以下の4つの注意点が書かれています。

  1. 指番号を守ること、読譜練習をすることはこれまで通りです。
  2. 左と右の音の大きさをバランスよく保ちましょう。
  3. 音のツブをきれいにそろえて弾きましょう。
  4. メトロノームに合わせて練習しましょう。

メトロノームの速さ指定は、やはり「♩=60~80」となっています。

長さは、これも同じ8小節。全部で6の課題です。

⇩実際の楽譜です。

 

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ステップ2「♫の練習」

ステップ2からは、楽譜が♫で書かれるようになります。

ステップ2は「片手のトレーニング」のみです。

1曲が長くなり、16小節になりますね。全部で、5つの課題があります。

この5つの課題、少しずつ内容が変わっていきます。

  • 1~3・・・指は、5指全部を1小節ずつずらして弾いていく形。4拍子の4拍目は♩。
  • 4~5・・・4は「指かえ」、5は「指ちぢめ」。♩はなくなる。

指の動きは、少しずつ複雑になっていきます。本家『ハノン』の動きですね。

4は、小節の終わりと次の小節の頭が同じ音になっていて、そこで「指かえ」をすることになります。

5は、小節の終わりと次の小節の頭が違う音になっていて、そこで「指ちぢめ」をするわけですね。

また、4まであった♩が5ではなくなり、ずっと♫を弾い続ける形になります。

メトロノームの速さ指定は「♩=56~72」となっています。♫になってメトロノームの合わせ方が変わるので、注意するよう書かれています。

⇩実際の楽譜です(ステップ2の№3です)。

「導入編」はここまでです。

上に書いたような箇条書きの注意点以外にも、楽譜を読むコツや練習のポイントなどがところどころに書かれていて、とても親切です。

「こういうことを考えて弾くのか・・」と気づくことが多いと思います。独学の方にはうれしいのではないでしょうか。

ゆびあそび①

「ハノン編」に入る前に、「ゆびあそび」の①があります。テーマは「同音連打」

見開き2ページで、同じ音を指を変えて弾く練習が、3つの課題に分かれて掲載されています。

 

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『おとなのハノン』「ハノン編」

”ステップ3”から”ステップ12”までが「ハノン編」となっています。

以下のような流れでまとめられています。(目次をそのまま載せます)

ステップ3~8の「:」以降の№は、本家『ハノン』の対応番号です。(本書の目次には書かれていません)
  • ステップ3 指をひろげるトレーニング(その1):№1,2,8,9
  • ステップ4 指をちぢめるトレーニング:№7,13,18
  • ゆびあそび② 〈音の保持〉
  • ステップ5 トリルのトレーニング(その1):№4,5,10
  • ステップ6 指をひろげるトレーニング(その2):№3,12,16,17
  • ゆびあそび③ 〈トリル〉
  • ステップ7 トリルのトレーニング(その2):№14,11
  • ステップ8 5指のためのトレーニング:№6,15,19,20
  • ゆびあそび④ 〈重音〉
  • ステップ9 音階の準備
  • 「〈音名〉と〈五度圏〉」
  • ステップ10 全調の音階(スケール)
  • ゆびあそび⑤ 〈オクターブ〉
  • ステップ11 アルペジオの準備
  • ステップ12 全調のアルペジオ

「ハノン編」ステップ3~8の特長

ステップ3~8が、本家『ハノン』の第1部(№1~20)に対応した部分になっています。

順番は本家『ハノン』の通りにはなっていません

目次に書かれている”テーマ”に沿ったものを、『ハノン』から選んで載せている、ということですね。

1曲ごとに、例えば「1-2、4-5をひろげるトレーニング」など、その曲の目的が書かれています。これは本家『ハノン』も同様ですね。

楽譜のあらわし方は、♫で1オクターブとなっています。

本家は♬、2オクターブですね。

 

もう1つの特長としては、1曲につき3つづつ、リズム変奏の例が載せられている、ということですね。

リズム変奏一つ一つに、メトロノームの速さ指定がついています。

⇩実際の楽譜です。

⇩リズム変奏の例の部分です。

ゆびあそび②、③

ステップ2~8の間に、「ゆびあそび」が2つあります。②と③ですね。

ゆびあそび②は「音の保持」がテーマで、2ページにわたります。片手で1つ、両手で3つの課題に分かれています。

片手では、音を保持したまま残りの指で1音ずつ弾く形。両手では、音を保持したまま、同音を指替えで弾く形になっています。

ゆびあそび③は「トリル」がテーマ。1ページですね。

4小節で1つ。5つの課題に分けられています。すべて、♩→♫→♬と進み、全音符で終わります。

♬も出てくるということですね。

右手で、「1、2の指→2,3の指→3,4の指→4,5の指→5,4の指」と変わっていって、5つの課題です。

両手ユニゾンで弾くので、左手は5,4の指から始まります。

 

 

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「ハノン編」ステップ9~12の特長

「ハノン編」ステップ9~12が、スケールとアルペジオの部分ですね。

ステップ9「音階の準備」

ステップ9は「音階の準備」です。音階を弾くための必要な、「指くぐり」とオクターブを両手ユニゾンで弾く練習になっています。

「2指の下を1指がくぐる→3指の下を1指がくぐる→4指の下を1指がくぐる」

とすすみ、

「オクターブを両手同じ指づかいになるように弾く(左右に広がる)→オクターブを両手ユニゾンで弾く」

という形になります。

音階は、通常両手ユニゾンで弾くきますもんね。

音階は、左右で指づかいが違う、というのが難しい所。そこへ至るまでに段階を追っているわけですね。

楽譜のあらわし方は、♫です。

こちらも、1曲ごとに、リズム変奏の例が3つずつ載っています。メトロノームの速さ指定は「♩=( )」となっていて書かれておらず、自分でするようになっていますね。

⇩実際の楽譜です。

「音名」「五度圏」について

次から音階に入るわけですが、その前に「音名」と「五度圏」のページがあります。

「音名」は、日本、イタリア、ドイツ、英・米の4つの読み方が表になっています。

♯、♭がついた場合の読み方も書かれていますね。

音階の種類(ハ長調とかイ短調とか、C durとか)を読めて、意味を理解できるようになるために必要ですね。

「五度圏」は、各調の関係性を図にしたものです。これも知っておくととても便利!

長調と短調の2つの図に分けられています。

関連記事五度圏についてこちらの記事にもまとめています。

ステップ10「全調の音階」

ステップ10で、いよいよ「全調の音階」に入ります。

♭系→♯系という進み方で、全調を学ぶようになっています。

五度圏のあらわし方で進んでいるので、主音が完全5度ずつ下がり、1週回ってハ長調へ戻る、という形です。

楽譜のあらわし方は、♩と♫。主音を♩で弾き、他を♫で弾くということです。

2オクターブ弾いた後に1オクターブ弾き、最後はIーⅤ-Ⅰのみのカデンツです。

1ページに、長調と並行調(調号が同じ)の短調がセットになっています。

短調は、和声的短音階を2オクターブ弾いた後に旋律的短音階を1オクターブ弾く、という形になっています。

こちらには、リズム変奏の例は載せられていません。

⇩実際の楽譜です。

 

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ステップ11「アルペジオの準備」

ステップ11は、「アルペジオの準備」です。

見開き2ページで、片手→両手と進みます。

両手の方は、「音階の準備」同様、同じ指づかい(左右に広がる)の形を弾いてから、両手ユニゾンという流れになっていますね。

⇩実際の楽譜です。

 

ステップ12「全調のアルペジオ」

そして、ステップ12「全調のアルペジオ」に入ります。

楽譜のあらわし方は、♪3連符(ドミソで1拍)と2分音符です。3連符で2オクターブ上まで上がったら2拍のばし、来た道を下がる、という形ですね。

「音階」と同じように、♭系→♯系と進みます。

ひとつ注意が必要なのは、ひとつの曲の中で同主調の短調も弾く、という形になっていることです。

同主調とは主音が同じ長調と短調のことで、つまり、1曲の中でハ長調とハ短調が出てくるということですね。

どこがハ長調でどこがハ短調か、ということは、楽譜に書かれています。

⇩実際の楽譜です。

ゆびあそび④、⑤

ステップ9の直前に「ゆびあそび」④が、ステップ11の前に「ゆびあそび」⑤があります。

ゆびあそび④は、「重音」つまり和音がテーマです。音階の最後にはカデンツを弾くための和音が出てくるので、それに合わせて、ということですね。

でも内容はちょっと違い、連続和音や和音のトリルを途切れないように弾いたりするものです。

ちょっとハード、かも・・

見開き2ページで、3つの課題になっています。3つ目の課題「4度以上の重音」は、片手で弾くようになっています。

最後のゆびあそび⑤は、「オクターブ」の練習です。こちらもアルペジオを弾く練習になる、ということで、ここで出てくるのでしょうね。

1ページに収められていますが、オクターブを同時に(和音で)弾いたり、分散で弾いたり、という内容です。

両手で弾くようになっていますが、難しい場合は片手ずつで、と書かれています。

 

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『おとなのハノン』ていねいな進み方で長く使える

今回は、『おとなのハノン』の内容を詳しく紹介しました。

五線と鍵盤の位置関係の図から始まるという、全くの初心者から使えるものになっています。

でも、全調のスケールとアルペジオまで含まれていて、くり返し長く使える内容になっているのではないでしょうか。

基本的に「片手→両手」という進み方になっていて、音階とアルペジオに入る前には準備練習のページもあります。

指使いについても細かく表示があり、メトロノームの速度指定もされています。

注意すべきポイントも、ところどころに書かれていて、練習の際の刺激にもなりそうです。

音階に入る前には五度圏の表もあり、調性についての理解もしやすいようになっていますね。

ゆっくりじっくり取り組めば、調性の知識も含めて、しっかりした力が付くのではないでしょうか。

ぜひ練習に取り入れてはいかがでしょうか。

⇩本家『ハノン』はこちらです。

 

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