音楽は、単音の連なりだけでできているものではありません。
たくさんの音の重なりがあって、豊かな響きが生み出されるものですね。
ピアノ一台でそれをやろうと思ったら、和音を弾くことになります。
和音を弾くことは、指を1本1本別々に動かすことよりちょっとハードルが上がりますよね。
和音だけを弾くならまだしも、一連の音の流れの中に和音がところどころに混ざった形を弾くような場合はさらに大変。
和音が”和音”になっていないわ、次の音も弾けないわ・・指がもつれちゃってぐちゃぐちゃ・・
こんなことはないでしょうか?
今回は、和音と単音を交互に弾く場合の弾き方、その練習法について、まとめていこうと思います。
- 和音そのものの弾き方(手の形、動かし方、姿勢)
- 和音と単音を交互に弾くことができるようになるための練習順序、注意点
和音と単音が混ざってるってこんな形
今回、例にするのはこんな形⇩。
これ、ある曲に出てくる伴奏部分です。左手で弾くわけです。
和音のド・ミを指番号5,3で弾き、次のソを指番号1で弾くことになりますね。
決して珍しい形ではないです。よ~く、よ~く見かけます。
でも、なかなか難しかったりします。和音と単音が次々交互に出てくるっていうのが・・
そして、左手で弾く、というのも大変にしているところですね。
注目すべきはこの2つ⇩。
- 和音がバラバラに
- リズムが崩れる
一番のネックは、「和音が同時に鳴らない」ということです。音がバラけてしまうんですね。
特に、単音から和音へ帰る時。
そして、和音をきちんと鳴らそうとするあまり、8分音符の連なりであるリズムが崩れてしまいがちです。
これ伴奏ですし、8分音符はきっちりと刻んでほしいところです。
ということで、練習法や注意すべきことなどをまとめてみようと思います。
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和音と単音が混ざった形の練習法は?
練習の順番は以下の通り⇩。
- 和音がバラバラではなく同時に(和音として)弾けるようにする
- 単音部分をつけてリズム通りに弾けるようにする(楽譜の通りに弾く)
和音と単音が交互に出てくるこのような形を弾けるようになるために、まずするべきことは
和音を和音として弾けるようになること
です。
バラけてしまっては、和音になっている意味がないですから。
それから、単音部分をつける。
この流れで進めるのがよいですね。
和音を和音として弾くために
まずは、和音を和音として弾けるようにしていきます。
そのためには、弾くときの手の形や弾き方を見直します。
和音がバラけてしまうのは、結局ここがうまくできていないということです。
弾くときの手の形を見直そう
まずは、手の形から見ていきます。
ピアノを弾くときの手の形。基本はこちら⇩です。
手のひらと鍵盤を平行に
手を鍵盤に置いたときに、手のひらと鍵盤の表面部分は平行になっているのが望ましい状態です。
つまり、親指側にも、小指側にも傾いていないということですね。
もともと小指側へは傾きやすいので注意が必要です。
今回は、小指(指番号5)と中指(指番号3)を使って和音を弾くわけなので、特に傾きやすいです。
しっかり意識する必要がありますね。
傾かないようにするには、手を動かすのではなく、肘を外側へ上げるようにします。
その時、肩から動かすようにします。
肘を外側へ動かす動作をしているのは肩関節です。
腕は肩関節につながっているわけですが、ピアノを弾くとき、この最も可動域が広い肩関節を意識することはとっても大切です。
このあたり、この書籍⇩がとても良いです。ぜひ手に取ってもらいたいと思っています。
関連記事→『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』紹介記事。
和音の弾き方のチェック
次に、和音を弾くときの弾き方を見ていきます。
和音の弾き方の基本はこちら⇩です。
そのまままっすぐに下げる(鍵盤を押す)
鍵盤の上に指を置いたら、そのままの形でまっすぐ下げて鍵盤を押します。
その時に意識するのは、やっぱり、肩から腕全体です。
指だけに意識を向けて指でなんとかしよう!というのは間違いです。
鍵盤に置いた時の手の形、指の位置を動かす必要はありません。動かさなくても弾けます。
肩から腕全体を動かして、下へ下げる。それが大事です。
実際に弾いて音を出した時に注意しなければいけないのは、指の状態です。
指が力なくフニャッとなったりしていませんか?
その時、手首が下がってしまうのも特徴です。
そうなってしまうのは、鍵盤の重さに負けてしまっている状態です。
それは、肩から腕全体をうまく使って弾けていない、ということでもあります。
指には、弾く形が崩れない程度の力を入れる必要があります。
鍵盤の重さに負けない程度に、ということですね。
そして、肩から手の方向に力が流れていくような意識を持って弾くことが大事です。
椅子の高さも要チェック
弾いたときに、どうもうまく肩や腕が使えない、手首が下がってしまう。
そんな時は、もしかすると椅子が低すぎるのかもしれません。
椅子の高さは、一般的には、手を鍵盤に弾くように置いた時、前腕と鍵盤が平行になるくらいがよいと言われます。
まずは、そうなっているかを確かめてみましょう。
それでも、弾く際の肩から鍵盤への動きの流れがスムーズではないように感じたら、もう少し高くしてみるといいかもしれません。
椅子の高さは、微妙にその人によって違います。
また、どんな曲を弾くかによっても変わってきます。
椅子の高さが関係することを知っておいて、何度も弾いて調整してみてください。
整ったリズムで弾くために
手の形や弾き方を見直すことができたら、まずは、和音部分だけを弾いてみます。
こういうこと⇩ですね。
メトロノームを使うなどして、きちんと拍子に合わせて弾きます。
右手部分と一緒に弾いてみることも大事です。右手の動きによっては、弾けなくなってしまうこともあるので。
何度も弾いて、リズムの通りに和音を弾くことに慣れていきましょう。
そこまでやったら、単音部分をつけて楽譜通りに弾くことをしていきます。
単音部分をつけて弾く
いよいよ、単音部分をつけて楽譜通りに弾いてみます。
こちらですね⇩。
まずは、左手のみ。拍子に合わせて弾いていきます。
和音の二つの音がきちんと同時に鳴っているか。二つの音とも聞こえるか。
そして、単音部分も弾けているか、をチェックしなくてはいけませんね。
このような形を弾くときは、腕の回転を意識します。
「手首」ではなく、「腕(前腕)」の回転です。
前腕の回転は、肘が担います。手のひらを反す動きですね。これは手首がやっているわけではありません。
なので、きちんと「肘」を意識することが大事です。
和音部分のみを弾くときとは違った動きをすることになり、回転させることで小指側に傾きやすくなります。
和音部分のみを弾いたときの感覚を思い出しながら、二つの指が同時に鍵盤に触れることをしっかり感じて弾くことが大切です。
左手のみを弾いてみて、きちんと弾けているようなら両手で弾いてみます。
上にも書きましたが、右手を一緒に弾くと、その動きによっては左手がまた弾けないということが部分的にあるかもしれません。
慎重に、丁寧に、確かめつつ弾きましょう。
始めのうちは、ゆっくり目で弾くことをお勧めします。
左の動きをしっかりと脳に認識してもらうため、一音一音確実に弾ける速さで。
弾けているな、となったら本来の曲の速さにしていきます。
行きつ戻りつ、何度も
和音と単音を交互に8分音符で弾いていく。
しかも左手。
しかも和音は指番号5,3で弾く。
これ、なかなか厄介ですよね。弾きにくい。
まずは、和音がしっかりと弾けること。それから、単音部分をつけて弾く。
このような順で練習をしていきますが、すぐにサラサラと弾けるようになる、ということはなかなか難しいのではないかと思います。
いいぞ!と思って拍子に合わせて弾いてみたらやっぱりバラつく・・
なら、戻って手の形や弾き方のチェック。
いいぞ!と思って単音部分をつけて弾いたら音が出てない・・・
なら、戻って和音部分のみ弾く。
こんなことの繰り返しをしばらく続けるうち、だんだんスムーズになっていきます。
地道に練習していくことが大事です。
でも、この部分だけに囚われる必要はありません。
これはあくまでも曲の一部。他の弾けるところは、同時にどんどん弾いていきましょう!
そして、音楽を弾いている、ということを忘れずに!
まだうまく弾けないけど弾いちゃえ!と、一曲全部通して弾いたっていいんです。
で、また戻って練習。
こういう繰り返しで、何度も何度も弾くうちに、弾けるようになっていきます。
(公開日:2021年9月29日 最終更新日:2024年6月14日)
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