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【徹底紹介】『トンプソン 現代ピアノ教本①』レベルは高め?でも充実の内容

ピアノ導入教材

『トンプソン 現代ピアノ教本』1巻をご紹介します。

古くからある有名なテキストですね。

しっかり着実に基礎が身についていく進め方で、充実した内容と感じます。

でも、少しレベルは高めかな?小さな子向きではないなと思います。

”大人用”と銘打たれているわけではないですが、大人の初心者のテキストとして。

そして、大きくなってピアノを始めた子にも、とても良いのではないでしょうか。

1巻のみではありますが、中身を詳しくまとめてみます。

1巻まで何を学び、どこまで進むのか。レベルを確認する参考になればと思います。

\こんな人におススメ/
  • 少し大きな子(小学生高学年以降)
  • 大人初心者
  • 基礎からしっかりと学びたい人
  • クラシック曲が好きな人

『トンプソン 現代ピアノ教本』とは

まずは基本情報から。

『トンプソン 現代ピアノ教本』は、ジョン・トンプソン(1889-1963)によるアメリカの教本です。

『現代ピアノ教本』としては①~⑤の全5冊。

その前段階の『小さな手のためのピアノ教本』『はじめてのピアノ教本』があります。

参考記事『トンプソンはじめてのピアノ教本』をこちらの記事で詳しく紹介しています。

初版は1972年ということなので、もう50年以上前です!長くなが~く使われているということですね。

日本に最初に入ってきたアメリカ発の教本、ということだそうです。

今回は1巻の内容を詳しくまとめていきます。

『トンプソン現代ピアノ教本①』その特長は?

トンプソン 現代ピアノ教本(1)

このテキストの特長は、以下の3つにまとめられると思います。

  • すべて五指ポジションで演奏可能
  • 初めから調を学ぶ
  • 初めから音楽記号、音楽用語を学ぶ

掲載曲は、すべて五指ポジションで演奏することができます。つまり、指くぐりや指替えは出てこないということです。

各調のポジションで弾くという進め方で、その関係で初めから調について学んでいくことになります。

また、音楽記号、音楽用語がどんどん出てきます。もちろんその都度説明あり。

それだけ曲が「音楽的」だということが言えるのではなでしょうか。

それぞれ詳しく書いてみます。

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すべて五指ポジションで演奏可能

まず、「五指ポジションで演奏できる」ということについて。

このことは前書き部分にもはっきり記されていて、著者が大切にしていることがわかります。

理由が以下のように書かれています。

指づかいのパターンを使えば移行がごく簡単であること、また生徒は、複雑な指づかいを無理に練習するより前に、まず指の実際の感覚を5本の指の位置で発達させるためのよい機会を、経験を通じて与えられるということです。

引用:『トンプソン現代ピアノ教本①』「5本の指の位置」より

鍵盤一つに対して1本の指で、5本の指をそれぞれ動かす感覚ってとても大事なんですよね。指1本1本へ意識がしっかり向きます。

それを重視しているということですね。

すべて五指ポジションで弾ける、といっても、1曲目から5本の指すべてを使い、左右とも5度の音飛びがあります。

また、曲の途中で5指の位置が変わる曲や、クロスハンドも出てきます。

そして、1曲目から両手奏です。

しかも、最後の曲は頻繁に弾く位置が変わり、もはや五指ポジションとはいえないような曲になっています。

このあたり、弾いていくのにちょっと気合いがいりそうです。

初めから調を学ぶ

このテキストの大きな特徴のひとつが、「初めから調を学ぶ」ということではないかと思います。

上にも少し書きましたが、音階の五指ポジションで曲を弾いていくという形です。

まずは調号の付かないハ長調から始まります。

右は中央ドからドレミファソ、左はその1オクターブ下のドレミファソの位置に手を置いて、弾いていきます。

調の進み方は、ハ長調から始まって♯♭がひとつづつ増えていきます。

ハ長調→ト長調(♯1つ)→ヘ長調(♭1つ)→ニ長調(♯2つ)→イ長調(♯3つ)→変ロ長調(♭2つ)→変ホ長調(♭3つ)→ホ長調(♯4つ)→変イ長調(♭4つ)

♯♭とも4つまでの長調のみが出てきますね。

すべて、五指の位置を確認してから弾くようになっています。

音階の説明もきちんとあります

五指ポジションだと、音階といってもドレミファソまでしか出てこないのか、というとそうではありません。

ドレミファソラシドという8音についての説明もされています。

左ドレミファ右ソラシドという形(下降も)で音階を弾きます。

そのための曲も載っています。

和音についても学びます

音階の説明のすぐ後に、和音についてのページもあります。

音程、三和音、そして、三和音の転回についても書かれています。

最後の方に、”カデンツ”という書き方はしていませんが、その入り口のような説明もあります。Ⅰ-Ⅳ-Ⅰの動きが出てきます。

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初めから音楽記号、音楽用語を学ぶ

音楽記号や用語は、初めからどんどん出てきます。

1曲目からスラーが書かれていて、フレーズを意識して弾くことの重要性が説明されています。

5曲目には、Moderato、Legato、mf、p、f、pp、mp、rit.、が出てきて、別枠で意味の説明がされています。

最終的に①の中でどれだけ出てくるのかは数えようもないですが、ごく一般的に使われるものはほぼ出てきているのではないでしょうか。

タイ、スタッカート、アクセント、テヌート、アンダンテ、アレグレット、アレグロ、クレッシェンド、デクレッシェンド、フェルマータ、オクターブ記号、各種リピート記号・・

ざっと見てこんな感じでしょうか。

さらに、ノクターンの意味についても書かれています。

これらは音楽を演奏するに欠かせないものなわけで、初めから音楽的に弾いて行くことを重視している表れだと思います。

演奏動画『トンプソン現代ピアノ教本①』の収録曲を演奏してみました。

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『トンプソン現代ピアノ教本①』その他の特徴~拍子やリズム、曲の長さなど

その他の特徴、技術的なことがどこまで進むのか、ということについてもまとめてみます。

拍子について

出てくる拍子は様々です。拍子と曲数は以下の通り。

  • 4/4拍子・・16曲
  • 3/4拍子・・22曲
  • 2/4拍子・・5曲
  • 6/8拍子・・7曲

全50曲です。

4/4拍子より3/4拍子の方が多いというのはめずらしいと思います。

また、6/8拍子が入っていますね。しかも7曲も。

初登場は半分を過ぎたころ(30曲目)。一項目取って説明されています。

その他、アウフタクトも使われています。

はじめて出てくるのは10曲目3/4拍子の曲ですが、6/8拍子にも3曲に出てきます。

アウフタクトについての説明は特にありません。

リズムについて

次にリズムについてです。

出てくる音符は16分音符まで

でも16分音符が出てくるのは最後の1曲のみで、それまでは8分音符までです。

8分音符は6/8拍子だけではなくその前から出てきます。

初登場は19曲目。説明に一項目設けられています(「先生方へ」という枠で教え方について書かれています)。

4分音符や2分音符などについては特に説明はありません。

1曲目は、右-2分音符、左ー全音符の曲で、2曲目から4分音符が出てきます。

付点のリズムについては、3/4拍子でタ~ンカのリズム(付点4分+8分)が出てきます。

初登場は27曲目で、ここで付点4分音符がはじめて出てきます。

その他リズムに関することでは、36曲目にシンコペーションが出てきます。

一項目取って練習の仕方など詳しく書かれています。

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曲の長さについて

1曲の長さは、長いものもあれば短いものもありますね。だんだん長くなるというわけでもないようです。

1曲2曲目は8小節。3,4曲目は16小節。そして、5曲目は8段32小節です。

それ以降は16小節もあれば8小節もあれば32小節もあれば・・という感じです。

最も長いのは48小節。3曲あります。「はじめての発表会用の曲」ということで18曲目に初登場です。

最も短いのは8小節ですね。

曲は1ページに1曲か、長ければ見開き2ページに1曲という形。譜めくりが必要なものはありません。

”曲の捉え方”について

『トンプソン 現代ピアノ教本』は、「パターンの重要性」ということを重視しています。

前書きの部分に以下のようにあります。

パターンの重要性ということを考えて、著者はこの本で、メロディーのパターン・リズムのパターン・ハーモニーのパターン・指づかいのパターンに重点を置きました。パターンを見分けることを学んだ初歩の生徒は、音符のよみとりや、記憶、解釈においてすぐれ、指のパターンの知識によって、曲を苦労して一音一音学んだ子どもよりも、はるかにすぐれたピアニストになります。

『トンプソン現代ピアノ教本①』「パターンの重要性」より

音一つ一つバラバラにみるのではなく、パターンとして音のまとまりをとらえるということですね。

楽譜からパターンを読み取るということは、楽譜から音楽を読み取ることに大いにつながるとても大切なことだと思います。

こうしたことから、テキストの中にはメロディーの音の流れや伴奏の動きのパターンを見つけることが随時書かれています。

五指を移動させて弾くのも「指のパターン」ということですね。

演奏動画『トンプソン現代ピアノ教本①』の収録曲を演奏してみました。

楽譜の見やすさについて

楽譜の状況もまとめます。

今は導入教本は横長楽譜が多い中、こちらは縦型(菊倍版)ですね。

楽譜はそれほど大きくありません。五線の幅7㎜ほど。大譜表としては、2.5㎝~3㎝ほど。

楽譜としては一般的な大きさだと思いますが、導入教本としては小さいですよね。

1ページ全面が楽譜というところはなく、必ず説明書きやイラストが入っています。

その分小さめになってしまうかな。

イラストは、線描画というんでしょうか。上品な感じです。

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『トンプソン現代ピアノ教本①』まとめ~レベルは高めだけれど

ざ~~っと『トンプソン 現代ピアノ教本』の①について紹介してきました。

まとめると以下のような感じでしょうか。

  • 進み方が早い。
  • 説明文は小さく、文章が少々難しい。
  • イラストはすべて線描画。
  • 曲はクラシック

初めから両手奏、初めから5指を使うという状況で、最後の曲はポジション移動が多く、進み方は早いですね。

音楽用語や記号はどんどん出てきますし、調についても順次学んでいきます。

記号などの説明は主に文章でされていて、字が小さく、先生向け(大人向け)な感じです。

イラストはないわけではないですが、すべて線描画。上品な感じで私は好きです。

弾いていく曲の曲調は、クラシックですね。

ほとんどが著者トンプソンさんのオリジナル曲のようですが、モーツァルトやブラームスなどの曲の簡単アレンジが入っています。

いろんなジャンルの今どきっぽい曲満載、という感じではありません。

ということで、小さな子向けではありません。

小学校高学年くらいになっていないとなかなか理解が難しいように感じます。

なので、『小さな手のためのピアノ教本』『はじめてのピアノ教本』がある、ということですね。

でも、進め方は、初めから演奏に必要なことがキチッキチッと網羅され、積み上げられていく感じです。

とてもしっかりした基礎を身につけていけそうな印象ですね。

レベルは高めですが、良いテキストだなと思います。

初めてピアノを弾く大人の方の最初のテキストとしても、とてもいいのではないかと思います。

(公開日:2018年1月17日 最終更新日:2024年3月19日)

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