ピアノ(に限らないかもしれませんが)初心者の方は、とかく、自分ひとりで弾いて楽しければそれで満足!という人が多いかもしれません。
人に聴いてもらうなんて、そんなおこがましいこと・・
人に聴いてもらう価値なんてない!
そんな風に思って人前での演奏を避けがちですよね。
でも、初心者の方だって、聴く人の心を動かす感動する演奏をすることはできます。
その人だからこその演奏ができます。
ただ、それには条件があります。
それは、演奏がちゃんと「音楽」として聞こえること。
「音楽」として聴いてもらえなければ、ただ「初心者ががんばったねえ」止まりです。
感動してもらいたい!という思いだけではダメ、ということです。
では、音楽として聴いてもらう、というのはどういうことなのか。どうすればいいのか。
それには必要なことが3つあります。
それぞれまとめてみようと思います。
演奏を「音楽」として聴いてもらうために
音楽を演奏しているんだから「音楽」として聞こえるでしょ。
というのは、間違いです。
音の羅列が「音楽」として聞こえるためには、最低限必要なことがあります。
それは、
- テンポキープ
- 拍子感
- 曲の構成
の3つです。
テンポキープとは、一定の速さを保って1曲を弾き通すことです。
拍子感とは、4拍子の曲なら4拍子に、3拍子の曲なら3拍子にちゃんと聞こえるような演奏ということです。
曲の構成とは、例えば、
曲の冒頭のメロディーがあって、次に新しいメロディーが始まって、また始めと同じメロディーが出てきて終わる
といった曲の”つくり”のことです。
この3つを意識して演奏することで、音の羅列が「音楽」に進化します。
以下にもう少し詳しくまとめます。
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テンポキープ
テンポキープとは、一定の速さを保って1曲を弾き通すことです。
これは、音楽を演奏するうえでとても大切なことです。
一定のテンポで音楽が流れているので、聴いている人はその曲に気持ちを乗せていくことができるのです。
いわゆる「音楽にのる」ということですね。
初心者の方にありがちなのは、弾きやすいところは速くなり、難しくて弾きにくいところはゆっくりになる、ということです。
弾きやすい、とか、弾きにくい、というのは演奏者の都合です。
そんな個人的な状況によって1曲の中で速くなったり遅くなったりする演奏は、聴く人にとっては心地いいものではありません。
また、自分では気づかないうちに所々でテンポが変わっている、ということもあります。
これも同様に、演奏者の都合によるテンポの乱れで(しかも気づいていない!)、やっぱり音楽にのれませんよね。
自分の演奏はテンポキープできているか、不必要なところでテンポが変わったりしていないか。
常に考えながら演奏することが大切です。
関連記事→テンポキープについて、こちらの記事にまとめています。
拍子感
上にも書いたとおり、拍子感とは4拍子や3拍子などの拍子を感じられる演奏をするということです。
音楽を演奏するときには、とかくリズム感が強調されがちですが、リズム感よりまずは拍子感をしっかりつけることが大切です。
リズムの土台は拍子だからです。
拍子には、それぞれ強調する拍があります。
例えば「4拍子」は、拍を4つずつにまとめたものですが、「強、弱、中強、弱」という形に強調の度合いが変わります。
こうすることで、4拍子という拍子を感じられるようにするわけですね。
これは、演奏するときに音の強さをこのように変えて弾く、ということではなく、4拍子としての4つの拍のまとまりをこのように意識する、ということです。
1拍めだけを強調した「強、弱、弱、弱」よりも3拍めが「中強」となった方が音楽らしい”動き”が感じられませんか?
このような拍子感をきちんと感じて演奏することで、より音楽らしい演奏になるのです。
曲の構成
最後に、曲の構成についてです。これも演奏するうえでとても大切なことです。
曲の構成とは、曲全体の流れ、ということです。
例えば、短い曲だとこんな構成が多いでしょうか。
- 始まりのメロディー
- 全く違うメロディー
- 始まりと同じメロディー
全く新しいメロディーが始まるぞ
ここから始めと同じメロディーになるぞ
こうしたことが伝わるように弾くことで、演奏にメリハリが出て、場面の移り変わりが意識され、曲としての流れを感じられる演奏をすることができます。
そのためには、この曲はどういう構成になっているかということを、自分自身がきちんと理解して弾かなければいけません。
この「曲の構成」というのは、クラシック音楽でいう「楽式」のことです。
三部形式、とか、ロンド形式、とか、ソナタ形式、とかいろいろありますね。
これを覚える必要はないですが、こことここは同じ、とか、ここは始めのメロディーを少し変えている、とか、自分の弾く曲がどうなっているかは分かっておかなければいけません。
ポピュラー曲の楽譜は、セクションごとにA、B、C・・といった具合に書かれていることが多く、分かりやすいですね。
曲の構成が感じられる演奏をするための具体的な方法としては、
- 音の大きさを変える
- 次のセクションに入るときに少し間を置く
- 次のセクションに入る前に少しゆっくりにする
などが考えられますが、音楽の”表現”にも深くかかわることで複合的に絡めて行うことも多く、なかなか難しいことではあります。
まずは、自分自身がしっかり把握しておく、ということが大切です。
そうすることで、おのずと弾き方が変わってくるのではないでしょうか。
上にテンポキープが大切と書きましたが、同じ速さで始めから最後まで淡々と弾き通すだけでは、曲の流れを感じられる演奏にはなりにくいということですね。
関連記事→「曲の構成」について、こちらの記事にまとめています。
感動する演奏は技術的な上手下手ではない
感動する演奏というのは、例えばピアノなら、間違えないでスラスラ弾いた、とか、指がよく動いてミスタッチなく弾いた、ということではないですよね。
それはそれですごいことではあるけれど、そのことですごく感動する、ということではない。
⇩以前にこんな記事を書いたことがあります。
感動する演奏って技術的なうまさではないんです。
でも、思いばかりが先行して独りよがりな演奏になってしまっても、また、感動する演奏にはなりません。
曲と謙虚に向き合い、「音楽」としてきちんと演奏すること。
まずはそれがあってのことです。
逆に、そのことがきちんとできていれば、あとはそこに自分の曲への思いを込めていけばいい。
この曲大好きなんです!!
ここの部分がとってもきれいだと思うんだよー
この曲を弾けるようになったことがうれしくて、うれしくて・・
こんな気持ちを込めて丁寧に丁寧に弾いていけば、ステキだね~と聴いてもらえます。
ピアノは一人でも楽しめます。
でも、誰かに聴いてもらうことで心の交流が生まれます。
この記事が、人前での演奏に躊躇している人の背中をそっと押すことができればうれしいです。
(公開日:2020年11月24日 最終更新日:2024年6月14日)
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