私の教室では、音楽療法とピアノのレッスンの二つを大きな柱として運営しています。
「音楽療法」を掲げているせいか、ピアノのレッスンを希望する発達障害のある子も何人か通ってきています。
音楽療法からピアノのレッスンへ移行した子、始めからピアノのレッスンを行っている子、ピアノのレッスンを始めてしばらくして障碍が分かった子、などそれぞれです。
そうした中から、なぜ我が子にピアノをと考えたのか、印象深かった親御さんの言葉を紹介しようと思います。
自分自身の楽しみのために
ある方は、「ピアノを弾けることで、自分の楽しみが増えるといい」とピアノを習わせることへの思いを話されていました。
もともと音楽が好きでお家にあるピアノで探り弾きをしていて、それを見て弾けるようにならないかと思ったとのこと。
ピアノを弾けることで、余暇活動の幅が広げられれば、と考えられたようです。
また、「ピアノを弾くことで、自分自身を癒せるようになれば」と話された方も。
音楽は癒しになる、といわれます。
音楽が好きなら自分で演奏できるようになって、辛いときに気持ちを落ち着けたり慰めたりすることができるようになれば、と思われたようです。
ひとりでも楽しめるピアノ
発達障害は、コミュニケーションに課題を抱える場合が多くあります。
そのため、ひとりで過ごすことが多くなったり、それを望むという場合も多くあります。
そして、親御さんが特に心配されるのは、ひとりでいるとテレビやゲームなど受け身な過ごし方になりがちだということです。
その点ピアノは、音楽を自ら演奏するという能動的な楽しみ方になる。
メロディーだけではない豊かなサウンドを、自ら作り出していける。
そして、たったひとり部屋の中ででも楽しめる、というものです。
上に記した方は、ピアノのこうしたところに良さを感じていらっしゃるようです。
テレビやゲームも悪いことばかりではないけれど、それプラス、ピアノという選択肢があれば、もっと豊かに過ごせる、ということですね。
発達障害のある子もない子も一緒「ピアノ弾きたい」
発達障害のある子もない子も、ピアノへの思いは同じです。
弾いてみたい、弾けるようになりたい。
ある子は、友だちが弾いてるのを見ていいなと思って・・と習いたいと思ったきっかけを話してくれました。
この子は、弾けるようになりたいという具体的な曲があります。
ある子は、弾けるようになりたい、もっと上手になりたい、とはっきり話してくれました。
ピアノへの思いはみんな一緒です。
だから、それを叶えさせたいという親の思いも一緒、ですよね。
そしてその先に、ひとりでも楽しめるものだからこの子に合っているかも、という思いもある。
さらに、場合によっては障碍を持つがゆえに抱えている困難さを、ピアノを弾けるようになることを通して改善したい、ということもあるかもしれません。
いずれにせよ、まず第一は「ピアノを弾けるようになってほしい」ということ。
本人が望むのなら、それが可能なら、叶えさせたい。それが親心ですよね。
障碍を持っていようが持っていまいが同じです。
実は、障碍のある子の入会希望は、音楽療法ではなくピアノのレッスンを望まれる方がほとんどです。
なので私も、ピアノのレッスンということで通ってくださっている以上、まず「ピアノを弾けるようにすること」を目指しています。
(公開日:2016年7月15日 最終更新日:2022年12月20日)
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