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おすすめ音楽本『音楽であそぼう!あたらしいリトミック』ピアノレッスンでも重宝!

音楽関連本の紹介

自分の教室のレッスンで、内容に迷ったときちょくちょく手に取るこの本。

私にとっての、レッスンアイデアブックです。

リトミックを基礎に置いた、たくさんの音楽遊びの方法が載せられています。

レッスンに来る子どもたちに、音楽そのものの楽しさを感じてもらえるのではないかと思っています。

リトミックの先生だけではなく、ピアノの先生にもおすすめです。

この書籍は、2023年2月に改訂版が出版されています。
この記事は、2011年版をもとに作成していますので、内容が若干変わっている可能性があります。ご了承ください。

『あたらしいリトミック』全部で72の音楽あそび

音楽であそぼう! あたらしいリトミック 〜ミックおばさんのリトミック〜 〈改訂版〉

本書には、目次を数えただけでも72個の「音楽あそび」が載っています。

さらに、アレンジした方法が載せられているものもあるので、それも加えるともっと増えますね。

とにかく内容が豊富です!

目的別に分かれている(目次紹介)

ただ活動の内容を羅列しただけではなく、目的別にまとめられています。

目次を見ていただくと分かりやすいと思いますので、ご覧ください。(改訂版も変更はありません)

  • 音程の認識・・・8
  • 音の強弱の認識・・・4
  • リズムと遊ぶ・・・3
  • 高音・低音の認識・・・3
  • 拍子の認識・・・5
  • 長調と短調の認識・・・5
  • 音符の認識・・・8
  • 三和音の認識・・・2
  • 調の認識・・・2
  • 音名唱法・・・2
  • 音程の認識・・・2
  • リズムの認識・・・10
  • ピアノと遊ぶ・・・2
  • あそんじゃおう・・・16

左の数字は、載せられている「遊び」の数です。多いですよね。

対象とされているのは、保育園幼稚園ぐらいから小学生くらい、ということですが、

育児サークルやご家庭でも親子で楽しめる素材がたくさんあります。

と、本書の「はじめに」にあります。

レッスンで使いたい子どもの様子を思い浮かべながら、

この子にはこれがいいかな‥

こっちの方が楽しんでくれるかな‥

など、考えて選ぶことができます。

行う時のポイントが記されている

一つ一つの活動に、「キー・ポイント」という囲みで、実際に行う時の注意点などがまとめられています。

  • 想定される子どもたちの反応
  • それへの対処法
  • 導入の声のかけ方
  • 行っている最中に注意すべき点

などなどです。

あまり先入観を持って行うのはよくないかもしれませんが、迷ったり悩んだりしたときは「ここに注意すればよかったんだ」と気づくことも多いです。

とにかく楽しそう!30年にわたる指導の中から生まれた活動の数々

一番の魅力は、活動一つ一つがとにかく楽しそう!だということです。

お勉強的ではなく、体全体を使って音楽を感じることが大切にされています。

走ったり飛んだり跳ねたり・・

そんな、子どもがよくやる動きをちょっとリズミカルにするだけで、リズムを感じてもらうことができる。

そうしたアイデアもたくさん載せられています。

ピアノのレッスンが進んでいる子には、

  • 拍子の違い
  • 音符の種類
  • 長調と短調

といったことの理解につながるような内容を、ゲーム感覚で行えるものがあります。

こちらの本は、著者こばやしけいこさんの30年にわたるリトミック指導の中から、子どもたちに受け入れられ残ってきたものがまとめられているとのこと。(「はじめに」より)

「そりゃぁ、楽しそうなわけだ!」という感じです。

本書を読むだけで、子どもたちが生き生きと活動している姿が目に浮かびます。

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「あたらしいリトミック」ちょっとだけ中身紹介

実際にどんな音楽あそびが載せられているのか、ちょっとだけ紹介します。

1番最初に載せられているのは「音の認識」を目的にした活動です。

1~8に分かれていますが、その1と8をご紹介します。

一つ一つの活動の内容が濃い!それが伝わるといいなと思います。

そして、ご紹介する2つ以外に70の活動が載せられている!という内容の濃さも感じられればと思います。

「音の認識」の1「ストップ!」

「音の認識」を目的とした1番最初の活動は、「ストップ!」というタイトルになっています。

これは、

音楽の聞こえる間は動き、音楽が止まったら動きも止める

というもの。

ただ「動いて止まる」という活動内容の紹介だけではなく、

  • 音楽はどのようなものがいいのか
  • 何を大事に演奏すべきか
  • 子どもたちへの伝え方

など、大切にしたいことが具体的に書かれています。

単純な活動ですが、リズムや拍子といった音楽の基本的なことを感じることができる、奥の深い活動だということが分かります。

「音の認識」8「トーンチャイムのブラックバトル」

「音の認識」を目的とした最後8番目に載っている活動は、「トーンチャイムのブラックバトル」というタイトルが付いています。

どのような活動かというと・・

トーンチャイムを並べておき、ヨ~イドン!の合図で一斉に取りに行く。
自分が取ってきた音が何の音かを音名で答える。

というものです。

ヨ~イドン!は、ドレミ~を弾いて伝えます。(ドレミ・・・と続いて、シが「ヨ~イ」ドが「ドン!」)

その音と、自分が持ってきたドーンチャイムの音を聞いて音名を答えるということです。

少し発展させた活動と合わせて、注意点や想定される子どもの状況、それへの対処法などもまとめられています。

そして、なぜ「トーンチャイムのブラックバトル」という名前が付いているのか?

子どもたちが楽しんで取り組んでいる様子が分かります。

参考記事トーンチャイムをこちらで紹介しています。

「リトミック」について

ここで、リトミックについてまとめておこうと思います。

まずは、「新音楽辞典」楽語編より。

スイスの作曲家エミル・ジャック・ダルクローズ(1865-1950)によって創案された音楽教育の方法で、精神と身体との一致調和、自発性と反射性、精神の集中力と記憶力、創造力などを目的にしている。ダルクローズは、リズムの持つ特質をあらゆる面に進展させ、音楽教育のみでなく、これを舞踏、演劇の面にも適用した。

「新音楽辞典 楽語」(音楽之友社)より

ウィキペディアには、次のようにあります。

リトミックは、19世紀の末から20世紀の初頭にかけて、新教育運動の絶頂期に、スイスの音楽教育家で作曲家でもあったエミール・ジャック・ダルクローズが開発した音楽教育の手法。開発者の名から「ダルクローズ音楽教育法」ともいう。

20世紀初頭、ハンブルグなどを中心に、国語や美術、体育、音楽の教育を、訓練、調教ではなく、子ども本人が自ら進んで学び、その感覚を体感的に身に着けていくための情操教育、芸術教育が叫ばれ、ダルクローズは、そのために楽器の演奏訓練を早期から闇雲にやらせるのではなく、音を聞き、それを感じ、理解し、その上で楽器に触ってみる、音を組み合わせて音楽を作ることの楽しさを身体全体で味わわせ、その喜びの中で、音を出し、奏で、そこから旋律を作っていくことへの興味と音感を育んでいこうとした。

(後略)

ウィキペディア「リトミック」より

つまり、表現豊かな演奏をするために、演奏技術を習得する前に体で音楽を感じることが必要。

その方法として、ダルクローズによって考え出されたのが「リトミック」ということですね。

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音楽を演奏するためだけではなく

著者のこばやしけいこさんは、ご自身のHP(現在は閉鎖)で、音楽表現の部分だけではない効果がある、と述べられています。

  • 音楽表現能力の発達
  • 音楽技能の力の発達
  • 聞く耳ではなく聴く耳の発達(注意力の発達)
  • 運動能力の発達
  • 反射神経能力の発達
  • 集中力の発達
  • 記憶力の発達
  • 自発性の発達
  • 自己表現力の発達
  • 判断力の発達
  • 創造力の発達
  • 時間と空間の認識の発達
  • 精神と肉体のバランスの取れた発達
  • 人間関係における調和の発達
  • 心身の安定感
  • 心身の充足感
  • 心身の達成感

*こちらのサイトは現在は閉鎖されています。

ミックおばさんのリトミックへようこそ「リトミックの成り立ちとその教育的効果」より

長年のリトミックの指導を通して、これだけの効果を感じておられるということですね。

だからこそ、リトミックが多くの人に受け入れられているのだろう、ともおっしゃっています。

『あたらしいリトミック』まとめ ホントのリトミックってこういうもの

私、実はちょっとだけリトミックを勉強したことがあるんです。

でも、なんか違うな~~と感じ、やめてしまいました。

ちょっとかじったそのリトミックは、なんとなくお勉強的。

「このリズムは、こうステップを踏んで、このように教えましょう」

対象年齢が決まっていて、指導法のひな型がありました。

もっと自由で、もっと柔軟性のあるものだと想像していましたが・・

私が受けたのが指導者養成の講座だったからかもしれませんし、もっと進めばもっと違ったのかもしれませんが。

単に、私の求めていたものとは違った、ということかな。

一方で、こちらの本から感じるのは、とにかく楽しそう、ということ。

音楽を体で感じる、というリトミックの大事な部分がしっかり貫かれているように思います。

対象年齢もいい意味でアバウトで、子どもたちの状況に応じてアレンジしやすいと感じます。

こちらの本、7,8年くらい前に購入したものです。

以前は、音楽療法や発達障害を持つ子レッスンで使っていました。

そのまま使ったこともありますし、状況や目的に合わせてアレンジしたものもあります。

でも、ここ数年は小学校の高学年から中学生の、ある程度レッスンの進んだ生徒ばかりだったためあまり使うことはなくなっていました。

最近になって保育園幼稚園の子、小学校低学年でピアノを始めた子が増えてきたため、使ってみようと取り出したところ、魅力を再確認。

そこで、こちらで紹介しようと思った次第です。

参考になればうれしいです。

(公開日:2017年11月15日 最終更新日:2024年9月11日)

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