大人の初心者向けのピアノ教本はたくさん出版されていますが、「超初心者」の方向けとして、『シニア・ピアノ教本』を紹介します。
この『シニア・ピアノ教本』は、大人向けのピアノ導入教本『おとなのためのピアノ教本』を簡単にまとめなおしたものです。
なので、”超初心者向け”なんです。
1巻~3巻までありますが、今回は1巻のみ詳しくまとめます。
初めの1冊でどこまで進むのか、参考にしていただければと思います。
『シニア・ピアノ教本』とは
『シニア・ピアノ教本』はどういうテキストか。
それをまずは見てみましょう。
『シニア・ピアノ教本』は、1997年にドレミ楽譜出版社から初版が出されています。今から25年ほど前になりますね。
1巻~3巻の全3冊になります。
実はこのテキスト、同じ著者(橋本晃一さん)による『おとなのためのピアノ教本』の簡単版なんです。
「はじめに」の部分に以下のようにあります。
「おとなのためのピアノ教本」全5巻の導入部分を、よりやさしく、どなたにも無理なく進めるように改編したものです。
『シニア・ピアノ教本』「はじめに」より
「『おとなのためのピアノ教本』の導入部分」というとどのくらいか。
『おとなのためのピアノ教本』を開いてみると、
- 第1巻 バイエル前半程度
- 第2巻 バイエル後半程度
- 第3巻 ブルグミュラー程度
- 第4巻 ソナチネ・アルバム程度
とあります。
ちなみに、第5巻はソナチネ~ソナタ程度のレパートリー曲集になっています。
「導入」というとバイエル程度を指すのが一般的です。
なので、『シニア・ピアノ教本』は、シリーズ3冊を使ってバイエル終了程度まで進む、ということになります。
3巻を終えたら、『おとなのためのピアノ教本』の3巻に進めるということですね。
(実際は、2巻の終わりごろから始めたほうがいいと思います。)
関連記事→こちらの記事で『おとなのためのピアノ教本』について詳しく紹介しています。
関連記事→『おとなのためのピアノ教本』と『シニア・ピアノ教本』を比べてみました。
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『シニア・ピアノ教本1』1曲目に入るまでに

それでは『シニア・ピアノ教本』第1巻の中身を見てみましょう。
1曲目に入る前に、鍵盤の説明や楽譜の読み方といった基礎の基礎から始まるわけですが、そこに6ページが割かれています。
何について書かれているかというと・・
- ピアノの鍵盤
- 楽譜の読み方
- 右手の練習
- 左手の練習
それぞれについて書いてみます。
「ピアノの鍵盤」
ピアノの鍵盤についての説明に1ページ使われています。
ピアノの鍵盤の図が載せられていて、黒鍵から白鍵の音を見つけるよう説明されています。
つまり・・2つの黒鍵部分から「ドレミ」を。3つの黒鍵部分から「ファソラシ」を探します。
「楽譜の読み方」
楽譜の読み方に3ページ充てられています。
1ページ目には五線の説明。
加線、ト音記号、ヘ音記号、小節線、終止線といった楽譜に関する用語についてですね。
2ページ目には音符の説明。
4分音符、2分音符、全音符の3つのみですね。
それぞれの休符、4分音符、2分休符、全休符も載せられています。
基本の3つ、ということですね。
3ページ目は拍子記号とその数え方。そして指番号についてです。
1巻を通して出てくる拍子は、2/4拍子、3/4拍子、4/4拍子の3つです。
指番号については、左右の手の写真があり、それにそれぞれ番号が付けられています。
「右手の練習」
ここから実際に弾いていきます。
右手の1,2,3の指を使ってドレミを弾きます。
場所は中央ドからドレミです。
弾くときの手の形について、良い例、悪い例が写真で示されています。
その下に鍵盤と楽譜とを対応させた図が乗っていて、1番下に4小節の楽譜があります。
楽譜には、拍子の数え方を示した数字と指番号が書かれています。
「左手の練習」
次は、左の1,2,3に指を使ってドシラを弾きます。
場所は同じく中央ドからです。
右手同様、手を鍵盤の上に乗せて指番号がつけられた写真があります。
そして、鍵盤と楽譜を対応させた図があり、下に4小節の楽譜も載っています。
こちらも右手と同様、拍のかぞえ方の数字と指番号があります。
『シニア・ピアノ教本1』進み方は?

基礎的な説明と弾き方が終わり、さあ、いよいよ曲を弾いていきます。
具体的にどのようにレッスンが進んでいくのかを見てみましょう。
掲載曲は?
まずは、掲載されている曲についてです。
大人のためのテキストは、よく知られている曲で練習するというものが多いですね。
こちらもやはりそうです。
どんな曲が載っているのかというと・・
- 月の光に(フランス民謡)
- ボルガの舟歌(ロシア民謡)
- オーラ・リー(プールトン)
- ビッグ・ベンの鐘(外国曲)
- 愛の喜び(マルティーニ)
- 赤い河の谷間(アメリカ民謡)
- 竹田の子守歌(京都地方民謡)
- アンダンテ(ハイドン)
- 峠の我が家(アメリカ民謡)
- 愛の夢(リスト)
- ラ・クカラチャ(メキシコ民謡)
- 聖者の行進(アメリカ民謡)
- さよなら(ドイツ民謡)
- ジングル・ベル(ピアポント)
- 喜びの歌(ベートーベン)
簡単バージョンと少し難しいバージョンと2回載せられている曲もいくつかありますが、曲としては以上の15曲です。
ああ知ってる、と思うものが多いのではないでしょうか。
レッスンの進み方
基本的に、「1つのテーマに1曲」という形で進んでいきます。
基本的に見開きで1テーマという構成です。左ページ説明、右ページ楽譜ですね。
すべて、伴奏譜が載っています。
「弾く」ことの進み方は、メロディーの両手受け渡し→両手奏です。
メロディー受け渡し11曲→両手ユニゾン4曲→右メロディー左伴奏3曲となっています。
この1巻で、右手メロディー左手伴奏という「両手奏」まで進む、ということですね。
左手の伴奏はほとんど動きがありません。
2分音符や全音符でのばしたり、4分音符であっても同じ音が続いたり。
弾く音も2音のみ。ドかソだけです。
楽譜はすべて、ト音記号部分とヘ音記号部分の2段になっている大譜表です。
片手ずつ弾く場合もありますが、その際の楽譜も大譜表です。
弾く音域
中央ドから左右に広がっていく形で音域が広くなっていきます。
ト音記号部分は、1曲のみ中央ドからラまで出てきます。
ヘ音記号部分は、中央ドから1オクターブ下のドまでです。
1曲の中でこの音域全てを使うものはありません。
指くぐりなど必要となる曲はなく、5指をそのまま移動させてその場所で弾く、という形です。
出てくる音符の種類、記号
1曲目に入る前の説明ページに中で、4分音符、2分音符、全音符、そしてそれぞれの休符が出てきました。
その他の音符や記号は、実際に曲を弾いていく中で順次学んでいきます。
最終的には、以下のものが出てきています。
- 音符
- 付点2分音符
- 8分音符、8分休符
- 付点4分音符
- 記号
- タイ
- スラー
- 反復記号
- 1番かっこ、2番かっこ
- 強弱記号:p、mp、mf、f
- 速度標語
- Andante、Andantino、Moderato、Allegretto、Allegro
『シニア・ピアノ教本1』楽譜の見た目はこんな感じ
実際の紙面の状況についてもまとめます。
五線の幅は1㎝。導入教本としてはよくあるサイズだと思います。(もっと太いものもありますが)
大譜表で見ると、3㎝ですね。
余白がかなり広いのではないでしょうか。混みこみしていない印象です。
各テーマタイトルの下に、学ぶべき内容が簡潔にまとめられています。
個人的には、ある程度枠で囲ってあった方が見やすいような気がしますね‥。
でも、1ページにいろいろ書かれているよりはずっといい!
『シニア・ピアノ教本1』まとめ 不安な人の初めてのテキストに
大人向けの教本をいくつか持っていますが、これはかなり分かりやすくなっていると思います。
1歩1歩着実に、といった印象ですね。
1巻の内容を要約すると次の様な感じでしょうか・・
- 音域・・・中央ドから上下に3音⇒4音⇒5音と広がり、5指をそのまま移動。
- 両手弾き・・・メロディー両手受け渡し⇒両手ユニゾン⇒右メロディー左伴奏
- リズム・・・8分音符まで
- すべて5指固定で演奏可能
紙面も余白が多くて見やすいと思います。
CDやDVD付きではないので安い(1冊800円+税)です。
「はじめに」の部分にこうあります。
「頭ではわかっていても、指が動かない」というのが大人の方に共通の悩みです。本書はどの段階でもそのことに十分な考慮を払い、ゆっくりと一歩ずつ着実に進んでいきます。
『シニア・ピアノ教本』「はじめに」より
著者の橋本晃一さんは、子ども向け教本『ピアノひけるよ!』シリーズを始め、多くのテキストや曲集を手掛けられている方。
もう共著者の大岩桂子さんは、実は私の元先生ですが、大人のピアノ指導のパイオニア的存在の方です。
私が先生の教室に通っていたのは今からもう20年位前ですが、多くの大人の生徒さんがいらっしゃいました。
70代80代というかなり高齢の方まで。
引用にある「頭ではわかっていても、指が動かない」というのは、実際に指導された先生方の実感なのではないでしょうか。
ピアノをやってみたいけど本当に弾けるようになるかな・・と不安に思っている方。
まずは、試しにこの教本から始めてみてはいかがでしょう。
(公開日:2018年2月2日 最終更新日:2024年10月24日)
関連記事
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→『おとなのための教本』&『シニア・ピアノ教本』を比べてみました。

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