以前、『はじめてのピアノ・アドヴェンチャー レッスン・ブックA』を記事で紹介しました。
今回は、『ピアノ・アドヴェンチャー 導入書(レッスン&セオリー)』の紹介です。
『はじめてのピアノ・アドヴェンチャー』は4~6歳くらいが対象。
今回紹介する『ピアノ・アドヴェンチャー』の対象は6~11歳くらいとのことで、少し大きい子向け。
その「導入書(レッスン&セオリー)」の内容をまとめていきます。
海外では大人気!といわれるこの教材。
中身を詳しく知りたい、という方、ぜひ参考にしてください。
『ピアノ・アドヴェンチャー』シリーズって?
まずは、『ピアノ・アドヴェンチャー』シリーズそのものについてまとめます。
アメリカ発のこの教材。著者は、ナンシー・フェイバー、ランディー・フェイバー夫妻です。
アメリカのみならず、ドイツ、オランダ、中国、韓国など様々な言語に翻訳されている世界的なピアノ教材とのこと。
2018年から日本語版が順次出版され、2021年にすべて出そろいました。
(併用教材「スケール&コードブック」1,2が2023年10月15日に発売されました)
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シリーズの構成は?
シリーズの構成は以下のようになっています。
- 『はじめてのピアノ・アドヴェンチャー』(4~6歳程度)
- レッスン・ブックA,B,C
- ライティング・ブック(ワークブック)A,B,C
- 『ピアノ・アドヴェンチャー』(6~11歳程度)
- レッスン&セオリー
- 導入書、レベル1、レベル2A,2B、レベル3、レベル4&5
- テクニック&パフォーマンス
- 導入書、レベル1、レベル2A,2B、レベル3、レベル4&5
- 併用教材 スケール&コードブック1,2
- レッスン&セオリー
テキストの進め方は?
テキストを進めていく順番は、次のようになります。
4~6歳くらいの小さな子は『はじめてのピアノ・アドヴェンチャー』から始めます。
レッスン・ブックA、ライティング・ブックAから始め、順次Cまで進んだら、『ピアノ・アドヴェンチャー』レッスン&セオリーレベル1、テクニック&パフォーマンスレベル1へ入ります。
6~11歳くらいで始める場合は、『ピアノ・アドヴェンチャー』導入書からスタートです。
レッスン&セオリー導入書、テクニック&パフォーマンス導入書から始め、順次レベル4&5まで進んでいくということですね。
もちろんこれは目安。一人一人の状況によって違ってくると思います。
ともかく、
『はじめてのピアノ・アドヴェンチャー』レッスン・ブックA,B,Cの内容が、『ピアノ・アドヴェンチャー』レッスン&セオリー導入書の内容と同じ、
ということになりますね。
併用曲集もいっぱい
上記のメインテキストの他に、併用曲集がたくさんあります。
私自身、「Level 2A」と書かれた英語版のクリスマス曲集を持っていて、その裏表紙にたくさんの曲集が紹介されています。
ClassicsやRock’n RollやJazz&BluesやPopularや・・
関連記事→『ピアノ・アドヴェンチャー』併用のクリスマス曲集についてこちらの記事の中で紹介しています。
私はネットショップでたまたま見つけたのですが、正規の輸入代理店は全音楽譜出版社。
以下で、取り扱われている楽譜を見ることができます。
『ピアノ・アドヴェンチャー』特長
それでは、まずは特長から紹介していきます。
本書の最初のページに以下のようにあります。
『ピアノ・アドヴェンチャー』導入書 「『ピアノ・アドヴェンチャー』の特長」より
- ピアノを弾く基礎をバランスよく身につける総合的なピアノ・メソード
- 多彩な音楽的能力を身につけるアクティビティ
- 音楽的な奏法を身につける
- 音楽の理解を深める学習
- 付属CDで表現力、リズム感を育む
それぞれに説明書きもあります。
要約すると・・
1:ピアノを弾くうえで不可欠な「分析力」「想像力」「表現力」を総合的に学ぶメソード
2:読譜力を高めるために、初見演奏、移調練習、即興演奏を体験するなどして、多彩な音楽能力を身につける
3:「表現力豊かな演奏をするために大切なテクニック」に重点を置いている
4:コードネームや和音記号、音楽の形式や音楽理論などを併行して学習し、音楽の理解を深める
5:CDにはオーケストレーション付きの伴奏が収録され、表現力や正確なリズム感を養う。また、幅広い音楽ジャンルに触れ学習意欲を高める
ということが書かれています。
これは、「導入書(レッスン&セオリー)」のみの特長ではありません。
「テクニック&パフォーマンス」を含めた、導入書からレベル4&5まで全体の特長ということになります。
『ピアノ・アドヴェンチャー』導入書(レッスン&セオリー)の概要
具体的な内容に入る前に、全体的なことをまとめます。
「導入書」(レッスン&セオリー)でどこまで進むのか
どこまで進むのか、何を学ぶのかといった全体的なことが、最初のページにまとめられています。
それによると、
五線を用いない読譜(プレ・リーディング)から始め、大譜表導入後は順次進行・跳躍進行を経て両手奏へ進む。
簡単な初見や即興を取り入れ、「読む・聴く・書く・弾く」を多面的に学ぶ。
とあります(要約)。
そして、主な学習内容としては、
- 4分音符、2分音符、全音符、付点2分音符、4分休符
- フォルテ、ピアノ、メゾフォルテ
- 音の名前
- ト音記号、ヘ音記号
- 拍子記号(4/4、3/4)
- ステップとスキップ*
- タイ
と挙げられています。
*「ステップ」は隣の音を弾くこと。「スキップ」は音を一つ飛ばして弾くこと。
これで、「導入書」でどこまで進むのかが大体わかりますね。
細かな内容〈目次〉
より具体的な内容を目次から見ていきます。
UNIT1からUNIT10までに分けられています。(本書の通りの漢字の使い方になっています)
UNIT1:ピアノに親しむ
UNIT2:基本のリズム
UNIT3:音の名前ードレミファソラシ
UNIT4:五線に親しむ
UNIT5:真ん中のドレミファソ
UNIT6:ヘ音きごうのソラシ
UNIT7:スキップ
UNIT8:ヘ音きごうのドレミファソ
UNIT9:タイ
UNIT10:4ぶきゅうふ
次の章からそれぞれ詳しく書いていきます。
『ピアノ・アドヴェンチャー』導入書(レッスン&セオリー)の詳細
それでは、具体的な内容について紹介していきます。
(番号は学ぶ順番です。項目名ではありません)
UNIT1:ピアノに親しむ
- ピアノを弾く姿勢、手の形、指番号
- 白鍵を、1と3の指をくっつけた状態で弾く
- 黒鍵を、2,3,4の指バラバラで弾く
まず、ピアノを弾く姿勢、手の形、指番号といった知っておくべき基本的な事柄を学びます。
その後、白鍵、黒鍵の音を出していきます。
白鍵は、中央ドから左方向は左手で、右方向へ右手で弾いていきます。
1と3の指をくっつけてツンツンと突っつくような形で弾きます。
黒鍵は、まずは2つの黒鍵を2,3の指で。そして、3つの黒鍵を2,3,4の指で弾きます。
1音ずつバラバラに弾いていきます。
UNIT2:基本のリズム
- 4分音符→2分音符→全音符
- 終止線、リピート記号
- フォルテ、ピアノ
4分音符、2分音符、全音符が順に出てきます。
意味を学ぶとともに、実際に書くスペースもあります。
黒鍵を、同時に弾いたりバラバラに弾いたりしていきます。
その際、「1」「1,2」など拍をかぞえながら一定のテンポで弾くようにします。
楽譜は、五線の無い「プレ・リーディング譜」。拍子記号、小節線はまだありません。
楽譜が出てくることに伴って、「しゅうしせん」(終止線)、「くりかえしきごう」(リピート記号)の説明書きがあります。
強弱記号のフォルテ、ピアノも出てきます。
このUNITから付属CD を使って弾くことができます。
UNIT3:音の名前ードレミファソラシ
- 音の名前「ドレミファソラシ」を学ぶ
- 「ドレミ」と「ファソラシ」を2,3,4の指を使って弾く
- 「ドの5本ゆびスケール」ドレミファソを弾く
- 小節、小節線
- メゾフォルテ
- 右ドレミファソ、左ドシラソファの場所で弾く
- 付点2分音符
- セオリー2ページ
このUNIT3で、一番多くのことを学びます。
まず音の名前を学びます。英語音名も書かれていますね。
「ドレミファソラシ」は「ドレミ」と「ファソラシ」に分けて、2,3,4の指を使って色々な場所を弾きます。
(ファソラシは左「3,2」右「2,3」の指で弾き継ぐ形)
「ドの5本ゆびスケール」は、右は中央ドからドレミファソ、左はその1オクターブ下のドレミファソを弾きます。
その後、右は中央ドからドレミファソ、左はその1オクターブ下のドからドシラソファの位置で弾く曲が出てきます。
(「りょう手ともまんなかのドからはじめてもいいよ」とも書かれています)
ここからプレ・リーディング譜に小節線が書かれるようになります。
小節線については、まずはすでに学んだ4分、2分、全音符を4拍ずつに分ける形で出てきます。
そのあと付点2分音符を学び、他の音符も併せて3拍子で分ける形で書かれます。
まだ拍子記号は書かれていません。
「あたらしいきょうじゃくきごう」として、メゾフォルテが出てきます。
このUNIT3になると、短いながらも曲らしい曲を弾くようになりますね。
セオリーのページが2ページあります。
音符の拍の数を書いたり、先生の弾くリズムを聴き分けたりといった内容です。
UNIT4:五線に親しむ
- 五線→大譜ヘ音記号記号、ト音記号
- 中央ド
- ト音記号のソ
- セオリー2ページ
- ヘ音記号のファ
- セオリー2ページ
五線、大譜表、ヘ音記号、ト音記号が一気に出てきます。
線や間などそれぞれの名前や、鍵盤と楽譜の位置関係の図が載せられています。
ここで大譜表を学んだので、これ以降の楽譜はすべて大譜表で書かれます。
中央ドとその5度上のソ(ト音記号のソ)、そして中央ドから5度下のファ(ヘ音記号のファ)を学びます。
まずはこの3つの音を覚えるわけですね。
曲は、
- 中央ドとト音記号のソのみの曲
- 中央ドとヘ音記号のファのみの曲
- ドとソとファの3つを使った曲
を順次弾くようになっています。長さは、4小節か8小節です。
ドとト音記号のソの重音も出てきますね。
セオリーが、2ページずつ分かれてあります。
内容は、ト音記号やヘ音記号を書いたり、先生が弾いたものと同じ楽譜を探したり、写譜をしたり、というものです。
UNIT5:まんなかのドレミファソ
- 中央ドとト音記号のソの間のレミファを弾く
- 拍子記号4/4拍子
- セオリー1ページ
- 手のポジション移動
- セオリー1ページ
まず、中央ドとト音記号のソの間の音のみ弾く曲が出てきます。
ト音記号の音のみとなりますが、楽譜は大譜表です。
4/4拍子を学んだところで、初めて楽譜に拍子記号が書かれるようになります。
それを受けての次のセオリーでは、小節線を書き入れたり、拍子に合うよう音符を書き足したり、といった内容になっています。
次は「手のポジション移動」のための曲。
ドレを2,3の指で弾いたり、レミを2,3の指で弾いたりして指を移動させることを経験します。
「1の指はド」といった、指番号と音が固定されてしまうことを防ぐということですね。
曲の長さは、すべて8小節です。
次のセオリーでは即興が出てきます。
ドレミファソの位置に手を置き、先生の伴奏に合わせて自由に弾く、といった内容です。
UNIT6:ヘ音記号のシラソ
- 中央ドからドシ
- セオリー1ページ
- 3/4拍子
- セオリー1ページ
- 中央ドからドシラ
- 中央ドからドシラソ
- セオリー2ページ
ここでヘ音記号の音へ入っていきます。
中央ドから下へ、ドシ→ドシラ→ドシラソの順に、その音の出てくる8小節の曲を弾いていきます。
その音のみを弾くのではなく、すでに学んだト音記号のソまでの音も曲の中に出てきます。
音を学んだあとのセオリーでは、実際に五線に書いたり、学んだ音を五線の中から探したり、「初見」ということですぐに弾いたり、といったことをします。
併せて3/4拍子が出てきます。
そのあとのセオリーは、五線に拍子記号を書き入れたり、4/4拍子と聴き分けたりという内容になっています。
UNIT7:スキップ
- 五線の線から線へ飛ぶ音
- Allegro
- 五線の間から間へ飛ぶ音
- セオリー1ページ
- 前奏
- セオリー1ページ
「スキップ」とは、音を一つ飛ばしで弾くことです。
このUNITから、一つ飛ばしの音が出てくるということですね。
まずは、ドミ、ミソという具合に五線の線から線へ飛ぶ音。
次に、ヘ音記号のソシやト音記号のレファのように、五線の間から間へ飛ぶ音が出てくる曲を弾きます。
曲の長さは、ここも8小節です。
セオリーでは、五線に書いたり、楽譜から「スキップ」の部分を見つけたり、初見で弾いたりという内容です。
セオリーは2回に分かれていますが、2つとも「スキップ」についての内容です。
併せて、Allegroと前奏を学びます。(どちらもひらがなで書かれています)
「Allegro」は、曲をAllegroで弾くという形です。
「前奏」では、4小節の前奏のある曲を弾きます。そのため、この曲は12小節の長さです。
前奏にペダルを入れたり、速さを変えたりして、前奏と主題との弾き分けをするようになっています。
UNIT8:ヘ音記号のドレミファソ
- 中央ドから1オクターブ下のドㇾミファソ
- オクターブ
- 質問と答え
- セオリー2ページ
ここで、再び中央ドから1オクターブ下のドㇾミファソが出てきます。
「ヘ音きごうのドの5本ゆびスケール」と書かれています。
これに合わせてオクターブを学ぶわけですね。
次に出てくるのは「しつもん と こたえ」。
あるメロディーを問いかけ(しつもん)と見て、それに答えるように次のメロディーが続くということが説明されています。
2ページのセオリーは、写譜をしたり、先生と「しつもんとこたえ」を弾きあったりといった内容になっています。
UHIT9:タイ
- タイ
- セオリー2ページ
ここで新しく学ぶのは、タイのみです。
タイでつながれた音は何拍になるのか、小節をまたぐタイと拍子との関係を学びます。
セオリーでは、タイを含むリズム譜を書き写したり、先生の弾いた楽譜を選んだりといった内容です。
UNIT10:4ぶきゅうふ
- 4分休符
- セオリー2ページ
ここでは、4分休符のみを学びます。
1拍目や3拍目といった、拍子の途中に休符が出てくる曲を弾きます。
なお、特に説明はありませんが、次の曲で「こうそう(後奏)」が出てきていますね。
この曲は、前奏、質問と答え、後奏という構成で、後奏部分は3回リピートするようになっています。
そのため、全部弾くと24小節になります。
これが一番最後の曲。仕上げという意味合いもあるのだと思います。
これが最後のUNITとなるためか、セオリーはこれまでの復習といった内容です。
これまで出てきた音符を書いたり、「5本指スケール」を楽譜に書いたり、記号などの名前と意味をつなげたり、といったものになっています。
紙面の状況
紙面の様子についてもまとめます。
大きさは、菊倍版の横長タイプです。
構成は、左上にこのページで学ぶ事柄が書かれ、その下に楽譜があります。
先生が弾く伴奏パートは、一番下に小さめの楽譜で載せられています。
それぞれは、仕切られていたり囲まれていたりということはありません。
全ページがカラーになっていて、所々にイラストが入っています。
付属CDについて
『ピアノ・アドヴェンチャー』シリーズは、「レベル4&5」以外はすべてCDが付属されています。
もちろんこの「導入書(レッスン&セオリー)」にも付いています。
テキストに載せられている「先生が弾く伴奏」の録音ではありません。
本書の「ピアノ・アドヴェンチャーの特長」に書かれている通り、様々な楽器の音による”オーケストレーション付きの伴奏”です。
生徒が実際にピアノを弾くことになるUNIT2からCDを使うことができ、すべての曲が入っています。
各曲、テンポの遅い”練習用”とテンポの速い”本番用”の2つずつ収録されていてます。
メトロノームの代わりにこちらに合わせて弾くことで、とても楽しく、音楽に乗って弾くことができそうです。
他にMIDIデータもあります。
『ピアノ・アドヴェンチャー』導入書 まとめ
『ピアノ・アドヴェンチャー』導入書(レッスン&セオリー)の内容について、詳しくまとめてきました。
この1冊で、ごく簡単な両手奏まで進みます。
といっても、ほとんど曲が左右別々(右手で弾いているときは左手は休み、といった形)か左右でメロディーを引き継いでいく形です。
曲の長さも、ほとんどが4小節か8小節になっています。
音域は、ト音記号では中央ドから上のソまで。ヘ音記号では、中央ドから1オクターブ下のドまで。
大きな特長は、「弾く」だけではなくセオリーのワークも一緒になっていることですね。
そして、豊かな音色の伴奏CDが付属されていること。
ピアノの先生の誰しもが悩む「家庭での練習」を楽しくしてくれるものだと思います。
なお、『ピアノ・アドヴェンチャー』シリーズは各巻に「テクニック&パフォーマンス」があります。
本書にもこちらを併用するように書かれていますし、各ページに対応ページ数が載せられています。
2冊で1セットという考えで作られているようです。
私の感想
私自身の感想としては、付属CDの存在は大きいなと思います。
まだまだ使える音の数も少なく、単調な曲になってしまいがちな中、CDを流すことでとても楽しく弾くことができると思います。
様々な音色による合奏の形をとっているので、バックバンドを従えているような気分になれるのでは。
先生用の伴奏楽譜も掲載されているので、必ずしもCDを使わなくてもいいかもしれません。
でも、付いている以上、使わない手はないですね!
進み方については、ゆっくりで丁寧だと感じます。
6~11歳向けとのことですが、理解できそうならレベル1から始めてもいいのかな?とも。
レベル1の内容も詳しく見てみたいと思いました。
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