スタッカート。
本当によく出てくる記号ですよね。
単音でも出てくるし、和音でのスタッカートもよくあることです。
私の教室でも、和音のスタッカートに苦労している様子はよく見かけます。
子どもの小さな手では、和音を弾くことがまずは大変。
それに加えてスタッカートとは!
何に注意して弾けばよいのでしょう。
その辺りをまとめてみました。
スタッカートの意味は?
まず確認しなければいけないのは、スタッカートの意味ですね。
そこから始めます。
スタッカートは「跳ねる」じゃない!
スタッカートが付いていると、跳ねるような感じで弾くことになります。
でも、スタッカートの本来の意味は、
音を明瞭に分離して弾く
新音楽辞典 楽後編(音楽之友社)
ということです。
つまりは「短く切って弾く」ということ。
決して「跳ねる」という意味ではありません。
けっこう間違えて覚えている子(人も?)多いです。
というか、私自身が「スタッカートが付いてるから跳ねて」と言ってしまっている可能性が高く・・
私の責任も大きいてすね。
スタッカートにもいろいろ
スタッカートというと、音符の上に小さな黒丸がついているのを、まず思い浮かべるのではないかと思います。
でも、他にもありますね。
引用:新音楽辞典 楽語編
この図のaは「メッゾ・スタッカート」、cは「スタッカティシモ」と言います。
bが「スタッカート」。
スタッカートより、aは長め、cは短めに弾くことになりますね。
引用した辞典にも書かれていますが、図の「奏法」はあくまでもイメージ。
厳密にこの通りに弾くというものではありません。
この辺りは、さほど詳しくは説明しません。曲の中に出てくれば、もちろん話をします。
今回のテーマは、あくまで「和音」のスタッカート。
そちらへ話を進めていきます。
スポンサーリンク
和音から和音スタッカートへの練習法
子どもたちの小さな手では、まず、和音を弾くことがなかなか大変だったりします。
鍵盤の上で、和音のその音の所に指を置いた形を、保たなければいけないので。
きちんと手を開き、その形を保つための力が必要です。
なので、スタッカートを弾く前に、まずは、きちんと和音の音を出すことをしなければいけません。
スタッカートを意識してしまうと、音を短くすることばかりに集中してしまって、貧弱な音になってしまったり、音が出ていなかったりします。
関連記事→和音の弾き方についてまとめています。
和音からスタッカートへ
まずは和音をしっかりと弾きます。
子どもたちに、ただ「和音を弾いてごらん」と言うと、手首をまげて下へ下げたり、指だけで弾くような形になりがちです。
それは、さらに力が必要になってしまう余分な動きですよね。
鍵盤の上に置いた和音を弾くための手の形を保ったまま、腕から手全体を鍵盤に沈みこませるようにすることが大切です。
それ自体がまた難しかったりするんですが・・
そして、スタッカート、つまり音を短くするために、手首からスッと上へ上げる。
その時点では、手のひらや指の力は必要ありませんね。
ただ、音を切るために手を上に上げる力だけ。
1,弾く
2,上げる
3,(次の音を弾く)準備をする
この3つの動きを意識してもらうために、「1(い・ち)と・・」という言葉に合わせて弾いてもらったりします。
すご~くゆっくり。
1の「い」で弾き、「ち」で上げ、「と」で次の音の鍵盤の上に指を乗せます。
「1(いち)2(に)3(さん)」と言ってそれに合わせるより、一言(一文字)ずつの方が合わせやすいように思います。
「つかむようなイメージ」は和音が弾けるようになってから
和音のスタッカートを弾くとき、「クッと鍵盤を軽くつかむようなイメージで弾く」といわれることがあります。
私もこれをレッスンで伝えてきました。
でもこれはやっぱり、和音がしっかり弾けるようになってからだな、と思っています。
これを話すと、音を短くする、つまり、手を上に上げることだけに注意が行ってしまって、結局は音が貧弱になってしまいがち。
それなりの速さで、連続スタッカートを弾かなければいけないときは、このイメージで弾くとよいな、と思っています。
なので、しっかり和音を弾けるようになって、連続スタッカートを弾く段階になったら伝えるようにしています。
和音スタッカートの練習は指の強化につながる
和音のスタッカートは、かなり高度な演奏技術ですね。
なのに、頻繁に出てくる。
でも、これをマスターするための練習は、しっかりした指を作ることそのものに直結することだな、と感じています。
正しい手の形で適度な力を使わないと、きちんと弾くことができない。
和音のスタッカートをきちんと弾けるようになると、手や指への力の使いかたがうまくなり、その他の技術の向上にもつながる。
なかなか大変なことだけれど、子どもたちには踏ん張ってやってもらいたいなぁ、と思います。
(公開日:2016年9月30日 最終更新日:2024年6月11日)
関連記事→スタカートの弾き方をこちらの記事にまとめています。
あわせてチェック→ピアノの練習についての記事の一覧です。お好きな記事を選んでお読みください。
コメント