音楽は芸術です。
なので「表現」をすることがとても大切、必要ですよね。
ピアノをただただ楽譜通り弾けばいい、っていうものじゃない。
それは分かってる。
でも、なかなか難しかったりする。
ピアノで表現豊かな演奏をするにはどうすればいいのか。
曲をどうとらえるか、という視点から、自分の考えやレッスンでやっていることをまとめてみようと思います。
「表現豊かな演奏」それって、つまり・・
「表現豊かな演奏」というのは、いったいどういうものなのか。
それは、「聴いている人に何かが伝わる演奏」ということではないでしょうか。
言い換えると、「演奏者の意思の感じられる演奏」ということになると思います。
「フォルテが書いてあるので大きくしました」
「クレッシェンドになっているのでだんだん大きくしてみました」
ではなくて、
そんな演奏だと思います。
はっきり言葉に出来ないけれど・・何か心に響く、印象深い・・
聴いている人にそんな風に思ってもらえると、うれしいですよね。
というか、そのために弾く、それこそがピアノを弾く醍醐味、と言ってもいいのではないでしょうか。
表現豊かな演奏のために~弾く前の曲の把握~
特に初心者のうちは、とにかくまず弾く、弾けるようになってから表現、となりがちです。
楽譜の音を追うのに必死だし、指を動かすのに必死。それ例外のことを考えるなんて無理。
というのは分からなくはありません。
でも、音楽を演奏することは、そのことがすでに表現すること、です。
なので、音を出すその瞬間から「どんな音を出せばいいのか」を考えながら弾いていかなければいけません。
全く知らないはじめての曲を1から弾く、という段階から、「この曲どんな曲だろう‥」と考えながら1音1音出していくのです。
これは「表現豊かな演奏」を考えたとき、とても大事なことです。
初めから「表現する」ことを常に念頭に置いて弾いていくということですね。
それでも、まっさらな状態からは難しいですよね。わけのわからない曲をいきなり表現をする、というのは。
ということで、弾き始める前に曲のイメージをある程度つけておきます。
曲のことをあらかじめ知っておくことで、初めから表現して弾いていくことがしやすくなります。
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題名からイメージする
題名がつけられている場合は、それからイメージを膨らませます。
子ども向けの導入期教材には、工夫を凝らした分かりやすい題名のつけられているものが多いですよね。
あと、曲の雰囲気を的確に表したカラフルなイラストも。
特に小さな子レッスンのときは、その題名やイラストを見ながらいろいろと話をすることから始めたりします。
そして、
- 楽しい感じ?
- ちょっと寂しげ?
- うれしいウキウキ気分?
などなど、曲へのイメージを膨らませていきます。
楽譜からイメージする
弾き始める前に楽譜全体を見渡します。
そこから受ける印象も、曲を知る手掛かりになります。
こんな感じでイメージをつかみます。
曲の構成を確認する
弾き始める前に、曲の構成をきちんと把握しておくことも大事。
というくらいでよいと思います。
短い曲でも「曲」として成り立っているものは、こうした“作り”があります。
ただの音の羅列では曲になりませんから。
曲の構成を把握しておくことは、今後表現を深く追求していくときに大きな助けになります。
構成、つまりまとまりごとに弾き方を変えるということは、表現をつける基礎の基礎、ともいえることなので。
関連記事→弾く前の曲の把握について、こちらの記事にもまとめています。
「表現豊かな演奏」の「表現」を追求する段階で
初めて弾くつたない演奏の段階から、どんなふうに弾こうかを考えながら弾いていくわけですが、弾くにつれスムーズに弾けるようになっていきます。
そして、これで完成かな‥と思える段階に行くまで、常に表現を追求していくことになります。
表現を追求していくときに、何をポイントにすればよいかを考えてみます。
音の動きに敏感に
音がどのように動いているか、は、表現を考える際の大きなポイントの1つです。
というのは単純なとらえ方ではありますが、基本ともいえるかなと思います。
どう表現したらいいのかわからない、という場合は、とりあえずやってみてもいいのではないでしょうか。
上行が緩やかなのか急激なのか、によってどの程度クレッシェンドをするのかは、当然違ってきますよね。
また、その前後の音の動きや状態によっても変わってきます。
大事なのは、音の連なりをまとまりとしてとらえることができるか、ということ。
音を一つ一つバラバラに捉えて「上の方へ行っているな・・」ではなく。
そのまとまりも、上行しているどこまでをひとまとまりと考えるのか。
あるいは、上へ行って下がってくるまでを一つととらえるのか。
そういうことでも弾き方は違ってくるはずです。
上行でも下行でもなく同じくらいの場所で動いている場合、じゃあ平坦な弾き方でいいのか、というとそうではありません。
やはりまとまりを考えて、そのまとまりを強調するような弾き方をする。
それだけで表情が生まれます。
メロディーの流れや変化、スラーなどの記号の付き方などを手掛かりに、音の流れをまとまりとしてとらえられるか。
これがとても重要です。
まとまりとしてとらえられれば、それに抑揚をつけることはしやすくなります。
関連記事→スラーの意味と重要性について、こちらの記事にまとめています。
曲の構成を元に
上にも書いた、曲の構成から表現することを考えてみます。
というのは、一つの基本といえるのではないかと思います。
簡単には、音の大きさを変えるということですね。
ただこれも、どこまでを同じメロディーととらえるのか、を考えることが大事。
全く同じ部分だけか、少し変化しているところも含めるのか。
こういったことでも表情のつけ方は変わってきますね。
やっぱり、「まとまり」だな、と思います。
全く違った新しいメロディーが始まる、といった構成上大きく変化をしている部分は、はっきりとそれがわかるような弾き方をしなければいけません。
書かれていなくても少し「rit.」するとか。一瞬間をあけてから入るとか。
聴いている人に、「あたらしいことが始まりますよ」と分かるように弾くということですね。
これも大事な「表現」だと思います。
この曲のどこが好き?何が好き?どうしたい?
抽象的な話にはなりますが、表現することを考えたとき、
は、大事なことかなと思います。
あまり好きではない曲を、表現豊かに、といわれてもなかなか・・。
「この曲のどこが好き?」
レッスンでは、このことをよく問います。
すると、「ここが好き」などと答えてくれるので、「じゃあそれが伝わるような弾き方をしよう」と話します。
そして、「この音を強調してここまではフォルテで弾いた方がいいよね」など、具体的な話に入っていきます。
「好きな曲なら、その気持ちが伝わるように弾こう」
そう思うだけで、少し表現しやすくなるのではないでしょうか。
とにかく大げさに!
いろいろと考えて、研究して、表現をしている。でも、そのように聴こえない。
これはよくあることです。
「え~ここまで!」というくらい。やりすぎじゃない?・・と心配なくらいまで。
自分の中だけでこじんまりとやっていては、ちっとも表現豊かな演奏にはなりません。
この辺が、なかなかしんどいところでもありますね。
録音、録画などして自分で聴いてみるとよく分かります。「やってるつもり」なだけになっているということが。
自分の演奏を客観的に聴いてみる、というのは、とても大事な練習ですね。
まとめ テクニックは表現をするためのもの
今回は、表現豊かな演奏をするために考えるべきポイントを、自分の考えやレッスンでしていることなどを中心にまとめてみました。
なんだか偉そうにいろいろ書いてみましたが、私自身がそれができているかといえば・・・
テクニック不足も否めず・・・
日ごろの自分教室でのレッスンでも、テクニックが追い付いていなくてうまく表現に結びついていない、ということは多く感じます。
スラーがなめらかに弾けていなくてぼこぼこしている
16分音符がころころ転ぶ
クレッシェンドがスムーズでなく突然大きな音になる
などなど・・
でも、じゃあテクニックだ!
とテクニックのテキストばかりやるのもまた違う。
テクニックのテキストをやっていると、テクニック向上のためのテクニックの練習という罠に落ちそうになります。
今回は、あえて、指を思い通りに動かすというようなテクニック的なことではなく、曲をどうとらえるかという観点から書いてみました。
テクニックは表現をするために必要なこと。
そのことを忘れないようにしたいですね。
(公開日:2018年5月31日 最終更新日:2024年5月17日)
→スラーの意味と重要性について、こちらの記事にまとめています。
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