手の5本ある指の中で、親指だけが他の4本とは違う付き方をしています。
しかも短い!
でも、この親指のおかげで、広い音域をスムーズに弾くことができます。
親指って結構重要。でも付き方が他と違うので、使い方にも注意が必要。
実は、曲を弾いていて、親指の付け根の部分が痛くなってしまうことがありまして、これ以上弾けない!という状態で途中で止まってしまうんです。
これをどうにかしたいと思って、いろいろと調べたり考えたりしてみました。
それをまとめてみます。
親指の付け根が痛くないですか?
私の「親指の付け根が痛い」というのは、こんな状態。
モーツァルトの『きらきら星変奏曲』を練習していて、その最後12番目の変奏の左手の動きがまー大変で!親指の付け根(つまり母指球筋)が痛くなってしまうんです。(変奏の2も同じような動きですが、今回弾かないので)
こんなことに苦労してるって‥実力が知れるってもんですが‥言っちゃいます。
ここんとこ。⇩
この曲、左手のこの動きが延々と続くんですよね。1,2,3の指を頻繁に使うんです。
親指の付け根が痛くなるということは、親指に負担がかかっているということだと思います。
痛くならないように弾くには、どうすればいいんだろう・・
親指について調べてみようと思ったのは、これがきっかけです。
親指の構造と役割
親指は、パッと見ただけで他の指とは付いている場所が違うことがわかります。
親指は、手の側面から伸びているように見えますよね。
実際、構造はどうなっているのでしょう。
手の骨格
まずは、手の骨の構造を見てみます。
↑引用:『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』P.107 より
「手」を見ると、指は掌(手の甲)から先で分かれているので、そこから生えているように感じます。
でも、骨の構造を見ると、手首にある骨から始まっているのがわかります。
ということは、指はここから動かすことができる、ということですね。
見た目では、掌(手の甲)に隠れてしまって見えませんが。
親指とそれ以外の指との大きな違いは、骨の数です。
親指は3つ。他の指は4つの骨からできています。もちろん掌に隠れてしまっている部分を入れて!です。
参考記事→上で引用した『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』の紹介記事です。
手の筋肉
骨だけでは指を動かすことはできません。筋肉がどのように付いているのかも見てみます。
掌の中には、指を動かすための筋肉がたくさんあることがわかります。
「指」そのものには筋肉は付いていないんですね。
肝心の「親指を動かす筋肉」は親指側に書かれている4つです。
- 母指内転筋
- 短母指屈筋
- 短母指外転筋
- 母指対立筋
これらの筋肉は、「母指球筋」と言い、掌の親指下のふくらみ(母指球)にあります。
腕にもある親指を動かす筋肉
指を動かす筋肉は、掌の中だけにあるわけではありません。
腕(前腕)の中に筋肉があり、そこが大きな役割を担っています。
このうち、親指を動かす筋肉は次の4つです。
- 上の図
- 長母指伸筋
- 長母指外転筋
- 短母指伸筋
- 下の図
- 長母指屈筋
親指を動かす筋肉、それぞれの役割
全部で8つある「親指を動かす筋肉」。
それぞれの主な役割をまとめます。
まずは、母指球筋の4つ。
- 母指内転筋・・・ものをつかむ(親指を掌に近づける親指の内転動作に大きく関連)
- 短母指屈筋・・・手を握る
- 短母指外転筋・・・掌を大きく広げる
- 母指対立筋・・・ものをつかむ(親指で小指を触るような動作)
次に、前腕にある筋肉の主な働きです。
- 長母指伸筋・・・親指をそらす
- 長母指外転筋・・・掌を大きく広げる
- 短母指伸筋・・・親指をそらす動作(長母指伸筋の働きを助ける)
- 長母指屈筋・・・手を握る
親指で弾くときに使う筋肉
こうして見てくると、親指で弾くときは掌の母指球筋を主に使っていることがわかります。
特に、母指内転筋と母指対立筋を働かせているのではないかと思います。
アルペジオなど、広い音域にまたがるときには前腕部の筋肉も大いに使うことになりますね。
親指を楽にスムーズに使うためには、母指球筋をいかに効率よく働かせるかがポイントだということですね。
母指球筋だけに頼らない親指での弾き方
それでは、どうすれば母指球筋に負担のかかりすぎない弾き方ができるのでしょう。
これまで確認したことから、考えてみました。
親指で手を支えない
親指は太くがっしりしていて、見るからに頼りがいがあります。
また、動きも大きいため、ついつい頼ってしまうということがあるように思います。
特に指くぐりをするときなど、親指で弾いているときに手全体をそこで支えているような状態になっていないでしょうか。
私、思い当たります。
一つはこれが痛める原因ではないかと思います。
親指で過度に鍵盤を押さえるようなことのないよう、腕を使ってしっかり支える必要があります。
手首にある骨(関節)から動かす
上に挙げた手の骨の構造から分かるように、指の骨は手首にある骨から分かれています。
親指も同様。
他の指を動かすときもそうですが、親指も目に見える分かれている部分だけを動かすのではなく、手首の関節から動かす意識を持つことが大切だと思います。
そうすると、母指球筋だけではなく、前腕から伸びる長母指伸筋を使うことになるのではないかと思います。
そうすることで、もっと親指の動きが安定しますし、少し母指球筋への負担が減るのではないかと思います。
腕の回転を利用する
これは、特に指くぐりをするときに気をつけることではないかと思います。
親指をくぐらせるとき、親指だけをグイっと掌の下へ入れるのではなく、前腕を少し上げて親指側へ傾けるようにします。
その時、前腕から小指にかけてはまっすぐにすることが大切です。
そうすることで、母指球筋の母指内転筋や母指対立筋を酷使しないで済むことになるのではないかと思います。
指くぐりの場面だけではなく、親指を使うときは前腕を少し親指側に回転させると楽に動かせるようになると思います。
これが要するに「指だけで弾かない弾き方」ということになるのではないでしょうか。
参考記事→指くぐりの仕方についてこちらの記事にまとめています。指くぐりは親指の動かし方に大きく関係しています。


指の動きだけではなく
ピアノは指を動かして弾きます。なので、指だけで弾いているように思いがち。
でもそうではないんですよね。
指は手に、手は腕に、腕は肩に、肩は胴体にくっついています。
なので、体全体の使い方を考えて弾く必要があります。
上に書いたことは、腕の動きまで。私の認識ってまだここまでなんですよね。
本当は、胴体部分がどう関与しているのかも視野に入れなければいけない。
親指の使い方をいろいろと考察しましたが、本当はまだ足りない。
ということを踏まえたうえで、ちょっとでも参考になったら嬉しいです。
(公開日:2017年11月1日 最終更新日:2020年9月1日)
参考文献紹介
→『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』をこちらの記事で紹介しています。

参考記事
⇩指くぐりの仕方についてこちらの記事でまとめています。


あわせてチェック→ピアノの弾き方、練習に関する記事の一覧です。お好きな記事を選んでお読みください。

このカテゴリーの人気記事
コメント