ピアノ教室・音楽療法「音楽室ゆう」のご案内

ピアノ教室で楽譜のコピーをしてはいけない理由

教室の約束事
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「楽譜のコピーはダメ!」

わりとよく知られていることだと思います。

楽譜の後ろにも書かれていますしね。すっごくちっちゃいけど。

なぜダメなのか。何が何でもすべてダメなのか。どうすればいいのか。

そんなことをまとめてみました。

*私は法律の専門家ではありませんので、法律について書かれている内容には誤りが含まれている可能性があります。
そのことを承知の上でお読みいただきますようお願いいたします。

「著作権」と「著作権法」について

ピアノ教室で楽譜のコピーをしてはいけないのは、「著作権法違反」に当たるからです。

「著作権」とは、そして「著作権法」とは何か。まずは、そこからまとめます。

「著作権」とは?

「著作権」という言葉だけで、まあ意味は分かるのですが‥

とても分かりやすく書かれたサイトを見つけたので、引用させていただきます。

自分の考えや気持ちを作品として表現したものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、著作者に対して法律によって与えられる権利のことを「著作権」と言います。著作権制度は、著作者の努力に報いることで、文化が発展することを目的としています。

引用元:「みんなのための著作権教室 ①著作権とはどんな権利」より

著作者に与えられる権利が「著作権」これは、「著作権法」という法律によって守られているということですね。

「著作権法」とは?

では、「著作権法」とはどんな内容なのかを確認します。

著作権法は、著作権の内容を、大きく次の二つに分けて定めています。

その一つは、著作物をとして表現されている著作者の人権を守るための「著作者人格権」、そしてもう一つは、著作権者が著作物の利用を許可してその利用料を受け取ることができる権利としての「著作権(財産権)」です。

引用元:「みんなのための著作権教室 ①著作権とはどんな権利」より

「楽譜のコピー」ということに関しては、二つ目の「著作権(財産権)」が関係してきます。

著作権法の第21条~28条がこれに当たります。

「著作権法」に定められている楽譜のコピーに関わる権利は?

著作権法の第21条~28条には、著作者が持つ具体的な権利が定められています。

以下がその権利です。

  • 複製権
  • 上演権及び演奏権
  • 上映権
  • 公衆送信権等
  • 口述権
  • 展示権
  • 頒布権
  • 譲渡権
  • 貸与権
  • 翻訳権、翻案権等
  • 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利

楽譜のコピーに関する部分は、一番初めに挙げられている「複製権」ですよね。見るからに明らか。

第21条がこれに当たります。条文は以下の通り。

「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」

以上。

なんてシンプル。分かりやすい。

著作物をコピーする権利は著作者自信が持っているものなので、コピーするには著作者の許可が必要だということですね。

つまり、「著作者の許可なくコピーしてはいけません」ということです。

条文にある「複製」とは、機械で文字通りコピーすることはもちろん、写真に撮ったり録音したりなど、ありとあらゆることが含まれます。

条文に”但し書き”はありませんから。

写譜をすることも、勝手にやってはダメだということですよね。

ちなみに、上に挙げた権利は、すべて著作者が「専有する」ということなんです。著作者自身がOKを出さなければ、すべてやってはいけないことなんですね。

「著作権法」に違反しないコピーもある

著作権法第21条にある「複製権」で、著作者の「勝手にコピーをされない権利」が守られています。

コピーをするには、著作者の許可が必要だということです。

でも、ある一定の条件の下では、著作者の許可なくコピーをすることが著作権法で認められています。

それにはいくつかあるのですが、ピアノ教室に関連するかもと思った以下の3つを挙げます。

私的使用のための複製(第30条)

まず、第30条に「私的使用のための複製」という条文があります。

「著作権の目的になっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。」

条文に「次に掲げる場合を除き」とあり、細かく定められていることがあるのですが、ここでは省きます。

つまり、自分ひとり(又は家族)で使う場合は許可なくコピーをしてもよい、ということですね。

でも、それを他人に貸したりあげたりしてはいけない、ということです。

学校その他教育機関における複製等(第35条)

第35条には、学校などでのコピーについて定められています。

音楽の時間に楽譜のコピーが配られる、なんてことはよくありそうです。

条文は以下のようになっています。

「学校その他の教育機関(営利を目的に設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りではない。」

学校の授業で使用するために、直接授業を受ける人たちに対して先生がコピーをすることはOKだということですね。

また、生徒が授業の中で発表するというようなときに、生徒自身が資料等としてコピーすることも認められています。

あくまで、授業で使用する、という目的に限るということですね。

「著作権が切れた」著作物(著作権の「保護期間」第51条~58条)

「著作権が切れる」という言い方をするときがあります。

著作物には「保護期間」が定められていて、それを過ぎたものは許可なくコピーをしてもよいとされています。

著作権法の第51条~58条が「保護期間」についての条文になります。

その一番初め第51条は「保護期間の原則」について書かれています。条文は以下の通りです。

「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。

2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。」

著作権は、それが創り出された時からそれを創った人が亡くなって50年を過ぎるまで存続するということですね。

これはあくまでも原則。例外もあります。

その一つが以下のこと。

著作権の保護期間に関する戦時加算

日本は第二次世界大戦の期間を、著作権の保護期間にプラスしなければならないことになっています。

それが、保護期間の戦時加算といわれるもので、「連合国および連合国民の著作権の特例に関する法律」に定められています。

第二次世界大戦で連合国だった国の国民による著作物の著作権存続期間は、単純に「死後50年」とはならないということですね。

こちらに戦時加算について詳しく書かれています。

「JASRACは戦時加算義務の解消を求めています」著作権の保護期間に関する戦時加算とは?

ピアノ教室で楽譜をコピーしてもいい場合とは?

著作者に許可を得なくてもコピーをしていい場合もある。

でも、ピアノ教室での楽譜のコピーは・・・やっぱりダメ!ということですよね。

ピアノ教室は「音楽教育をする場所だ」なんて言えなくもないのかもしれませんが、先生がピアノを教えることで利益を得ている以上、営利目的の場所となりますもんね。

まずそれで「ダメ」ということになります。

仮に、レッスン料を受け取らずにレッスンをしていたとしても、楽譜をコピーして自分で使うのではなく生徒に渡す、ということをした時点で「アウト」です。

ピアノ教室での楽譜のコピーで最も多いのが、「先生の手持ちの楽譜をコピーして生徒に使わせる」ということではないかと思います。

第30条「私的利用のための複製」に「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において」と定められています。

教室の生徒は、この範囲には含まれないと考えるのが一般的ではないでしょうか。

唯一可能となるのが著作権の保護期間を過ぎたもの、つまり「著作権の切れた」ものということになりますね。

でもそれも問題があるのです。

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「著作権が切れ」ていればコピーしてもいい?

著作権の保護期間は、著作者の死後50年。それを過ぎていれば、許可なく著作物を利用できる。

いわゆる「著作権が切れた」状態であれば、自由にコピーしてもいいということになります。

でも、それもちょっと問題があるんです。

楽譜を出版している出版社の権利

普通、楽譜は楽譜屋さんで出版されているものを購入します。

コピーをする場合、その出版物をコピーすることになりますね。

その出版物には出版社の権利がある、という考え方があります。

「版面権」といわれるものがそれにあたると思いますが、現在そうしたことに関する法律は日本では定められていないようです。

なので、著作権の切れた楽譜に関しては勝手にコピーをしても法には触れません。

でもね・・・

Q1.コピーをすることがなぜ問題なのですか。

A.コピーすることそのものが問題なのではありません。問題なのは、出版社に無断でするコピー、楽譜の購入に代えてするコピーなどが問題なのです。その理由は、楽譜出版社は出版契約により、作詞家や作曲家からその作品を出版(複製)する(譲渡契約による場合は出版(複製)する権利のほか、演奏したり録音したりする権利、すなわち著作権の)すべての権利を譲り受けています。したがって、出版社に無断でコピーをすることは、出版社のもつ複製権を侵すことになるからです。

引用元:「一般社団法人日本楽譜出版協会」よくあるご質問 より

これを読んで、そうだよな~~とすごく思いました。

出版社は、私たちが楽譜を購入したお金を元手に、新たな楽譜を出版しているわけですよね。

コピーが横行することで楽譜が売れなくなり出版社の利益が減ると、新たな楽譜を出版することができなくなり、私たちは楽譜を入手することが困難になる、ということです。

たとえ著作権が切れているものであろうと同じ。

出版するには、手間とお金がかかっているんです。それにきちんと対価を支払うのは当然。

そこを怠ると、結局は巡り巡って自分たちが困るということですよね。

著作権の切れているものに対しては、コピーをしてはいけないと縛る法律は今のところはない。

でも、出版物に対する権利という観点では、著作権が切れている切れていないに関わらず、楽譜のコピーはしちゃだめ!ということです。

出版社は、権利の獲得に向けていろいろと活動をしているようですね。

詳しくはこちらを→一般社団法人日本楽譜出版協会

楽譜のコピーをしないために

ピアノ教室で、コピーをしてしまおうか、となるのは、「1曲しか使わないのはほぼ確実なのに何曲も入った曲集を買っていただくのは忍びない」と指導者が思ってしまうということではないでしょうか。

発表会のための曲とか、こういうことになりがちです。

それにあたって、自分の教室では以下のような工夫をすることにしました。

  • 普段のレッスンでも発表会でも使えるような曲集を使う
  • 1曲のみで販売されているものは積極的にそちらを使う

う~ん、これくらいしかできることはないか・・

何曲も入っているのに、結局1曲しか弾かなかった・・というのは、やっぱりもったいないという気になりますよね。

そうなると、これだけ手軽にコピーできる時代、コピーしちゃおうかと思ってしまいます。

そうならない工夫をしていくしかない、と思いますが、同時に、出版社には「そうさせない努力」をしてほしいですよね。きっとしているんだろうけど。

私としては、1曲で買えるものがもっと増えるといいなと。とても限られているのが現状ですよね。

著作権の問題とかコストの問題とか、いろいろあるんでしょうが。

なかなか難しい問題ですね。

レッスンに来ている子どもたちの将来も見据えて

私、実は自分の教室で楽譜のコピーをしていました。ここにこそっと書いておきます。

今後一切しない、と決めたわけですが、その理由の一つは、レッスンに来ている子どもたちに間違った認識を持たせてしまう、と思ったからです。

実際、「楽譜はコピーしてはいけないんだよ」と話すと「え~そうなの?」という反応の子が何人かいました。

これは、やっぱりまずいですよね。

もっと大きくなって著作権のことをきちんと知った時に、楽譜のコピーをもらっていた過去を振り返ってどう思うか・・。

胸にもやもやとした不快感が現れるでしょうね。

きちんと楽譜を買って、たとえ1曲でも大事に使ったものはきっといい思い出になります。

そして、いつの日か他の曲を弾いてみようと思うかもしれません。

そうした新たな曲との出会いにもつながりますよね。

レッスンに来ている子どもたちのこれからのことを考えて、楽譜のコピーはやっぱりダメ!です。

 

 

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