『ぴあの どりーむ』の両手奏の進み方
『ぴあの どりーむ』の両手奏の進み方を見ていきます。
関連記事→こちらで『ぴあの どりーむ』1巻を紹介しています。
『ぴあの どりーむ』は、2巻の途中から両手奏が始まります。
左右受け渡しでメロディーを弾いて、最後の2小節のみ左右同じリズム(音は違う)を弾く、という形です。
その後の進み方を4巻までまとめていきます。
特徴は
和音を多用し同時に調性も学ぶ
ということです。
2巻 両手奏の始まり
両手奏は2巻の中ごろから始まります。
音域は、右手は中央ドから上へドレミファソ、左は下へドシラソまで進んでいる段階です。
音域は、最終的に右ドレミファソ、左ドシラソファまで広がります。
⇩この状態ですね。

進み方は、以下のような状況です。
- 曲の途中でメロディーと同じリズムで弾く(音1つ)
- 各小節の1拍目を弾く(音1つ)
- 一方で1小節伸ばすときもう一方で拍子の通りに弾く(音2つ 1小節内では変わらない)
まず出てくるのは、「1曲内の所々でメロディーと同じリズムを弾く」形です。
⇩例えばこのような形です。

音は左右で同じ場合も違う場合もあります。左手の音は1曲すべて同じです。
次に、「1曲すべての小節の1拍目で左右同時に弾く」、という形があります。
⇩このような形ですね。

音は1曲内すべて同じです。
3つ目に出てくるのは、「1小節音をのばしているときにもう片方で拍子に合う形で音を出す」、というものです。
つまり、右手で音をのばしているとき左手で拍子の通りに弾く、ということですね。逆もあります。
⇩こういった形です。

右手のメロディーは音が変わりますが、左手はドと下のソの2つのみ。1小節の中で音が変わることはありません。
途中メロディーの左右弾き渡しの形を挟みつつ、また、上記の1,2,3が前後したり1曲の中に混ざっていたりしますが、以上のように進んでいきます。
3巻 二和音の登場
3巻の特徴は、途中から左で和音を弾くようになることです。3巻は2音の和音を弾いていきます。
まず、3巻に入るとすぐに、左手の音域が「中央ドの1オクターブ下のドレミファソ」へ移動します。
⇩この場所です。

そして、以下のような形で両手奏が進んでいきます。
- 一方で1小節伸ばすときもう一方で拍子の通りに弾く(音2つ 1小節内では変わらない)
- 右メロディーで左1小節伸ばす(1曲内でド↗ソを行き来)
- 左右でユニゾン
- 右メロディー左和音(ド↗ソ、ファ↗ソ)で1小節伸ばす
- 左和音(ド↗ソ、ファ↗ソ)で4分音符、2分音符を弾く
- 左和音(ド↗ソ、ファ↗ソ)+右メロディーが動かない部分で単音で動く
- 右メロディーが動かない部分で単音で動く(黒鍵使用)
⇩和音はこの2つです。(2分音符になっていますが、4分音符で出てくる場合もあります)

ここまで進んだ後、音域が左右ともに上の「ソラシドレ」へ移動します。
⇩この位置ですね。

その場所で、上記の5,6の形を弾いていきます。
和音は「ソ↗レ、ド↗レ」の2つですね。
最後に再び音域が変わり、左は「中央ドの1オクターブ下のドレミファソ」、右は「中央ドの1オクターブ上のドレミファソ」になります。
⇩この場所ですね。

その位置で、右メロディー、左和音を弾きます。
4巻 調と三和音の登場
4巻に入ると、まず8分音符が登場し、左右ともに弾くようになります。
リズムが少し複雑になりますね。
そして、音階の説明がされ、そこから三和音を弾くようになります。
音は、Ⅰ Ⅳ Ⅴ7の和音です。
具体的には以下のように進みます。
- 右手で8分音符を含むメロディー、左手は4分音符で拍子に合った形(音3つ 1小節内は同じ音)
- 左手も単音で8分音符を弾く(右手とのユニゾンも)
- 右メロディーで指広げ 左は単音(1小節内は同じ音)
- 右メロディーで指替え 左は単音(1小節内で音が変わる)
- 左右同時に1小節内で音が変わる
- ハ長調の音階 片手ずつ弾く
- 左はハ長調の三和音(Ⅰ Ⅳ Ⅴ7) 1小節伸ばす
- 左は三和音で「ズンチャズンチャ」や「ズンチャチャ」
- 左は三和音の分散
- ト長調の音階 片手ずつ弾く
- 左はト長調の三和音(Ⅰ Ⅳ Ⅴ7)で「ズンチャチャ」や分散
右手でメロディー、左手で伴奏が基本です。
右手は、指広げや指替えが出てきます。
そして、音階を弾くことで、左右ともに指くぐりを経験します。
音階が出てきて以降は左はⅠ Ⅳ Ⅴ7の三和音を弾く形での伴奏になります(和音記号は出てきません)。
4巻では、ハ長調とト長調の2つが出てきます。
⇩ハ長調の場合はこちらですね。全音符、2分音符、付点2分音符、4分音符が出てきます。

⇩伴奏の例です。

実際の曲の中で指くぐり等をして広い音域を弾くのは、メロディー担当の右手のみです。
左手はあくまでも三和音を使っての伴奏で、それ以外の音を使って単音で動くような形は出てきません。
『ぴあの どりーむ』両手奏のまとめ
『ぴあの どりーむ』は、2巻の途中から両手奏が始まります。
大きな特徴は「和音を多用」ということですね。
3巻の途中から二和音が登場し、4巻でハ長調の音階を弾いた後はⅠ Ⅳ Ⅴ7を弾くようになります。
和音で弾く形から始まり、分散型になっていきます。
和音を弾くことそのものが大変かもしれませんが、二和音の間は2種類、三和音になって3種類、と決まった形のみを弾くので分かりやすいかもしれません。
また、調性感覚を身に付けやすいですね。
右手メロディー左手伴奏という形がはっきりしています。
そうした意味でも、左に集中しやすいというメリットを感じます。
関連記事→こちらで『ぴあの どりーむ』1巻を紹介しています。
『オルガン・ピアノの本』の両手奏の進み方
『オルガン・ピアノの本』の両手奏の進み方を見ていきます。
関連記事→こちらで『オルガン・ピアノの本』1巻の紹介をしています。
『オルガン・ピアノの本』は、1巻の真ん中を過ぎたあたりから両手奏が始まります。
それまでは、メロディーを左右で受け渡す形で進み、音域は、中央ドから右はドレミファソ、左はドシラソまで広がっています。
両手奏に入るところで、右は中央ドからドレミファソ、左は中央ドの1オクターブ下のドレミファソになります。
特徴は
様々な両手奏の形を順序だてて学ぶ
ということです。
基本的に、右手メロディー左手伴奏の形で、和音やその分散を弾くようになっています。
そして、最後はアルベルティ・バスが出てきます。
1巻、2巻について、それぞれ詳しくまとめます。
1巻 5つの五指ポジション
上に書いたように、『オルガン・ピアノの本』は、1巻の後半に入ると両手奏が始まります。
まず、「どのポジション」ということで、音域が右は中央ドからドレミファソ、左は中央ドの1オクターブ下のドレミファソの場所で弾きます。
⇩この位置ですね。

6曲を使って以下の通りに進みます。基本的に右手メロディー左手伴奏。以下は左手の状況です。
- メロディーと同じリズム(4分音符 4分音符 2分音符) 音はソのみ
- 全音符か1小節に2分音符2つ 音はソのみ
- 右が動くとき左1小節伸ばす 逆も 音はドとソ
- ドとソの二和音で1小節伸ばす
- ドとソの二和音かソの単音でメロディーと同じリズム(2分音符 4分音符)
この後、以下の順に4つの五指ポジションが出てきます。
- ふぁのポジション
- らのポジション
- れのポジション
- そのポジション
*「ふぁのポジション」の次に「2つのポジション」として3曲あります。
左右で違うポジションで弾く、ファに両手1の指を置いた五指固定で弾くというものです。
ごく一部を除いて左右メロディー受け渡しの形です。
⇩例えば、「ふぁのポジション」「らのポジション」とはこういうことです。

これは、音と指番号が結びついてしまっている状態を外すという意味と、調の感覚を養うことに結びつきます。
「どのポジション」は6曲で上記のように進みますが、それ以降のポジションでは2曲ずつになっています。
状況は次のような形。
- 1小節伸ばす場合が減り
- 使う音が増え
- 4分音符で動く形もある
少しずつ難しくなっていますね。
二和音があるのは「ふぁのポジション」の1曲のみです。
2巻 調性へつなげる
2巻には、最後に「ハ長調のスケールと和音」という項目があります。
それまでに様々な伴奏の形が出てきます。
目次の項目が分かりやすいので、そのまま載せます。
- 2重音の伴奏
- 分散和音伴奏の練習①
- 分散和音伴奏の練習②
- 8分音符・8分休符・付点4分音符
- さまざまな伴奏形
- 臨時記号
- 和音伴奏の練習
- ヘ長調の曲
- 2声のための曲
- アルベルティ・バスの練習
1の「2重音の伴奏」では、2度、3度、5度音程の和音が出てきます。
⇩「どのポジション」の場合の2度、3度音程の和音。

1小節伸ばす形だけではなく、2分音符や4分音符でも弾くようになっています。
1小節内で音が変わる場合もありますね。
曲は3曲です。
2の「分散和音伴奏の練習①」は、「ファソファソ」「ミソミソ」といった、2度や3度の音程の分散が主です。
ドミソの分散も一部出てきます。
こちらも曲は3曲です。
3の「分散和音伴奏の練習②」は、三和音の分散です。
「ドミソ」「ドファラ」「シファソ」が出てきます。
同じく3曲です。
4の「8分音符・8分休符・付点4分音符」は、新たな音符が出てきてリズムを学ぶ項目ですね。
両手奏に関しては、「ズンチャチャ」の形が初登場します。
4/2拍子の曲で、「単音+二和音3つ」の形を8分音符で弾きます。

また、4度、5度、6度離れた音程の二和音も出てきます。
⇩この4つが1曲の中で2分音符で出てきます。

5つ目の「さまざまな伴奏形」でも、「ズンチャチャ」が登場します。
曲は2曲で、ともに3拍子。4分音符で「単音+二和音2つ」という形ですね。
1か所だけ1小節伸ばす形で三和音があります。初登場ですね。
次の「臨時記号」の項目では、単音の「ズンチャチャ」があります。4分音符で「ド↗ソソ」「シ↗ソソ」といった形です。
7つ目の「和音伴奏の練習」で、三和音ドミソが出てきます。
2曲ありますが、1小節伸ばす形です。
次に「ヘ長調の曲」という項目があり、ヘ長調の曲を2曲弾くことになりますが、ヘ長調についての説明はありません。
ファラドの三和音の伴奏の曲と、並行奏の曲になっています。
次は8番目「2声のための曲」です。
こちらは4曲あり、同じような形のメロディーを左右で追いかけるように弾いたり、並行して弾いたりする形になっています。
そして、9番目「アルベルティ・バスの練習」になります。
こちらも4曲。4分音符で弾きます。
どの項目も、その項目の内容のみの両手奏ではなく、様々な形が少しずつ混ざっている場合が多いです。
分散系の練習曲だけれど、左右で並行して動く部分があったり、といった状態です。
一番最後に「ハ長調のスケールと和音」の項目があります。
スケールとカデンツ(Ⅰ Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ)をそれぞれ弾き、右でスケール左でカデンツを弾く形もあります。
『オルガン・ピアノの本』両手奏のまとめ
『オルガン・ピアノの本』は、1巻の後半から両手奏が始まります。
特徴は「様々な両手奏の形を順序だてて学ぶ」ということですね。
まず1巻では、和音以外の弾き方で「両手で弾く」という経験をします。
その際、弾く場所を移動させて5つのポジションで弾きます。
これで、音と指番号を分離させることと、調の感覚を養うことにつながりますね。
2巻に入ると、1巻での弾き方+和音を使っての伴奏で弾いていきます。
進み方は、
二和音→その分散→三和音→その分散→アルベルティ・バス
と、順序だてて進んでいっています。
そして、2巻の最後に音階「ハ長調」を学びます。
基本的に「右メロディー左伴奏」の形。そして、順番に伴奏形を学んでいく。
もちろんそんなに単純ではありません。
和音と和音ではない伴奏の形が混ざっている曲もありますし、新しいリズムや記号、指使いなども同時に出てきます。
ですが、比較的やるべきことがはっきりしていて分かりやすいのではないかと思います。
そうしたところが、メリットといえるのではないでしょうか。
関連記事→こちらで『オルガン・ピアノの本』を紹介しています。
次のページでは、4つの教本の比較を表にしてまとめました。





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