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発達障害のある子のピアノレッスン 子どもたちの実際の様子と指導者の心構え

発達障害のある子

「発達障害」という言葉は、ずいぶんと知られるようになりました。

ピアノ教室に通っている子も多いですよね。

音楽療法とピアノ教室を行っている私の教室では、音楽療法を掲げていることもあってか、発達障害のある子がピアノのレッスンに通ってきています。

実際に子どもたちがレッスンで見せる姿はどんな感じなのか。

そして、私は何を大切にかかわっているのか。

まだまだ未熟ながら、私の考えをまとめてみます。

発達障害のある子のレッスンの様子

私の教室では、これまで、小学生から高校生までの障がいのある子がピアノのレッスンに通ってきていました。

教室開室当時から10年以上通っている子(もう大人)もいますし、短い期間だった子もいます。

レッスンでの様子

これまでレッスンに来ていた子の診断名は、広汎性発達障害、AD/HDです。

同じ診断名の子が複数いるわけですが、様子はそれぞれです。

なかなかレッスンらしいことができない、という子も正直いましたし、ごくごく普通のレッスンをしていた子もいます。

「なかなかレッスンらしいことができない」というのはどんな状況か。

  • じっとしていない
  • ピアノと関係のない話が次々始まる
  • レッスンしている曲ではないものを次々弾く
  • 1回弾くごとに別のことを始める
  • レッスンとは関係のないレッスン室にあるいろいろなものを触る

例えば、こんな感じです。

では、“レッスンらしいこと”とはどんな状況か。

テキストを開いて、「さぁ、今日はこの曲だね。弾いてみよう」と言われて弾く。

こういうことです。

つまり、こちらの意図すること、こちらの価値観の通りに動いてくれる、ということです。

そうした意味では、発達障害のある子どもたちのレッスンはなかなか大変です。

こちらの思いもよらない反応をしたり、行動が始まったりするので。

でもそれは、あくまで

私の価値観に照らし合わせると

ということ。

障がいを持つがゆえ

子どもたち本人には本人の理由があります。

  • じっとしてることが不安
  • いろんなものが目に飛び込んでくる
  • いろんなことが次々頭に浮かぶ

こうしたことの整理を自分なりにつけるために、動く、しゃべる、音を出すといったことになるのかもしれません。

また、

  • 先生の言っている意味が分からない
  • 何をすればいいのかわからない
  • やっていることが難しすぎる

から。

そして、こうしたことをどう伝えたらよいかわからないから、上のような行動が現れる、ということもあるかもしれません。

さらに、日によって様子が違う、ということもままあります。

先週はとても集中してよく弾いていた。でも今週は動き回って全くレッスンが進まなかった。

こういうことはよくあります。

いずれにせよ、こうした行動には何か意味がある、ということは忘れてはいけないし、それを常に常に探りながらレッスンをしています。

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焦らず、ゆっくり、ペースに合わせて~大切にしていること~

私の教室の発達障害があってピアノのレッスンに通っている子たちは、「ピアノを弾けるようになりたい」ということでレッスンを始めています。

本人がそのように希望して、ということもありますし、親御さんがそう判断して、ということもあります。

そうである以上は、やはり、第1目的は「ピアノが弾けるようになる」ことだと考えています。

だからといって、「ピアノを弾かせる」ことだけに終始していてはいけない、と思います。

今、の様子をよく見て

上にも書きましたが、発達障害のある子どもたちはその日によって様子が違う、ということがあります。

原因はさまざまなのだと思いますが・・

例えば、学校や保育園などで大きな行事があって普段の生活リズムと違っていて、そのことがストレスになっているということもあるでしょう。

今日は本人の体調が悪い、ということもあるかもしれません。

また、レッスン室で何か変化があると、些細なことでもそうしたことを敏感に感じてしまうということもあり得ます。

なので、今日の、今の様子を見て、レッスンをどうするのか、柔軟に対応する必要があります。

今日はどうも落ち着かないようだから、ピアノではなくて本人の好きな楽器を使おう。

テキストから離れて、知っている曲でリズム遊びをしよう。

などなど、レッスン時間を本人がストレスなく楽しめるようにすることをまず第1に考えなければいけない場合があります。

自分のレッスン計画は「この曲を終わらせる」であっても、それが難しいと判断したら、テキストの曲を1回弾けばOK、などと即座に判断して変える、ということです。

発達障害のある子は、気持ちの切り替えをすることが難しい場合が多くあります。

なので「ピアノを弾くこと」に切り替えられない様子が感じられるのなら、無理にさせるのは逆効果です。

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焦らずゆっくり・・指導者も親も

発達障害のある子は、目と手の協応動作が苦手だったり、視覚や聴覚の情報処理が難しかったりする場合があります。

なので、定型発達の子どもたちが簡単のこなしてしまうことをなかなかスムーズにできなかったりします。

こうしたことは、上に書いたような行動が現れる一因です。

どうすれば理解しやすいのか、やりやすいのか。

説明の仕方、楽譜の見せ方等をいろいろと工夫しながら、焦らずゆっくり、本人のペースにとことん合わせて進めていくことが大切だと考えています。

それを指導者も保護者の方も待てるのか。

そこがカギのように思えます。

長~い目で見てレッスンをこつこつと続けていれば、ピアノを弾くことはできるようになります。

もちろん、前提として本人が弾けるようになりたいと思っていることが必要だと思いますが。

そして、「長くかかるから」という先入観。

だから仕方がないんだ、という考えで関わるのも間違い。

要は、本人の状況、本人のペースをしっかりと見極めること。

それが大事だし、それがとっても難しいところでもある、と思います。

発達障害といっても様子は様々

「発達障害」と一言で言っても、その子その子によって様子は本当に様々です。

○○が強く表れる、とか、△△が特に苦手、といった違いもありますが、そもそもみな一人の人間なんですから性格が違います。

その違いと障がいの特性が結びついて、まさに人それぞれなんですよね。

なので、「発達障害の子のレッスンはこういうやり方がいい!」という具体的な方法はなかなか明記できません。

○○ちゃんはこういう方法でとても集中できた。

でも△△さんにはかえって嫌がられちゃった、ということもありました。

それは私がまだ未熟だから、経験不足だから、ということも大きいかもしれません。

とにかく、日々一人一人とじっくり向き合って、模索しながらレッスンをしているのが現状です。

上に書いてきたことは、私の心構え、といったところでしょうか。

みんな、ピアノが好きで、音楽が好きで、私の教室を選んで来てくれている子どもたちです。

これからも、じっくり向き合って気持ちに応えていきたいと思います。

(公開日:2017年11月21日 最終更新日:2024年6月25日)

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