自分が教室でレッスンをするとき、特に重視していることの1つに「指使い」があります。
自然な(もしくは楽譜に書かれている通りの)指使いで弾けるようになることは、その曲を「弾けた」とする大きなポイントです。
指使いには一定の訓練が必要です。そのうちできるようになる、というものではありません。
楽譜に指番号が書かれていなくても、自然な指使いで弾けるようになるにはどうすればいいのか。
レッスンでの様子もまじえてまとめてみました。
- 指使いはなぜ大事?
- 基本の指使いがある!それは何?
- 指番号が無くても自然な指使いで弾けるようになるには?(練習法)
ピアノの指使い、なぜ大事?
ピアノを弾く際、指使いはとっても大事です。音楽らしく演奏するための重要な技術の1つですね。
不自然な指使いで弾くとどうなるか・・
- 音の連なりが切るべきでないところで切れる
- 音をはずす
- 音の強弱がバラバラ(予期せず大きな音や小さな音になる)になる
などなど・・演奏するうえで様々な弊害があります。
ピアノは繊細な指先のコントロールによって音楽を豊かに表現するものですが、そのコントロールがうまくいかなくなってしまうんですね。
どうもいい感じに弾けない・・
という時に、指使いを見直すのは大事な方法のひとつです。
指使いはとっても重要!なんです。
指使いは訓練が必要!自然にできるようになるわけではない
指使いは、弾き続けていればそのうちできるようになる、というものでもありません。
きちんと学ばないと。
レッスンを始めたばかりの子どもたちもそうですが、子どものころにピアノの経験があるという大人の方も「え、なんでそんな指使い??」という人は多いです。
私の側からみると、「そんなのすっごく弾きにくいじゃん」と思うのですが、そうなってしまうんですね。
こういうことから考えても、「指使いは弾いているうちにだんだんできるようになっていく」というものではない、ということははっきりしています。
始めたころから正しい(自然な)指使いを学んでいくことで応用を利かせられるようになる、ということですね。
やっと音を間違えずに弾けたのに指使いを指摘される・・
これってすごく嫌ですよね。レッスンでも子どもたちにブーブー言われます。
でも私は言います!
ごめんね~。しつっこいって思うかもしれないけど大事だから何回でも言うよ~。
今、指使い違ったね~。
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自然な指使いを身につけるために必要な事
正しい(というか自然な)指使いを身につけるためには、どうすればいいか。
どんなことに気をつければいいのか、をまとめてみます。
隣同士の音が並び5本の指で収まる場合は5本の指を使う
まずは基本。
隣同士の音が並び、5本の指で収まる場合は、5本の指を使う
ということです。
文章で書くと分かりにくいですね。
こちら⇩の楽譜は童謡「ぶんぶんぶん」です。
私が、五本の指それぞれをドレミファソの位置に固定して弾くことができるように作った両手用の楽譜です。
このように、5本の指内に収まるくらいの音域の場合は、1つの指に1つの音を担当してもらう形で弾く、ということです。
指1本1音担当制。いわゆる「五指固定」ですね。
例えば、ド→ミの場合は1→3という指で弾きます。
それを1→2や1→4などにしない、ということです。
ピアノを始めたばかりのころは、このような「五指固定」で弾く曲が多いですね。
この時期に指使いをあいまいにせず、5本の指それぞれを使う経験をしっかり積むことは、とても大切です。
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広い音域の曲でも場所によっては
上の「ぶんぶんぶん」は始めから終わりまで五指固定で弾けます。なので、指1本1音担当制。
では、音域が広い場合はどうなるのか。
もっと広い音域を弾く場合は、必要に応じて「ドミを1→2や1→4で弾く」をしなければならなくなります。
でもそれは、次に続く広い音域を弾くために、「ドミを1→2や1→4で弾く」ということをします。
あくまでも、広い音域を弾く場所になったら、ということです。
その必要のないところではしない、というのが基本です。
ドミを1→3で弾いて何の問題もないところでは1→3で弾く、ということです。
まずは楽譜に書かれた指づかいで弾いてみる 弾きにくいのなら・・
レッスンが進んで、曲の音域が隣り合った5音に収まらなくなると、より指づかいが重要になってきます。
広い音域を、指くぐりや指ちぢめ、指広げなどの方法を使ってスムーズに弾き進めていけるようにします。
関連記事→指くぐりについてはこちらの記事で詳しくまとめています。
楽譜には指番号が書かれているので、まずはその通りに弾いてみることから始めます。
その楽譜の制作者がもっとも良いと考えた番号なので。
でも、場合によってはそれでは弾きにくい、弾けない、ということもあります。
手の大きさや指の長さは人それぞれなので。
そうした時には、いろいろと弾いてみて自分の弾きやすい指番号を見つけるということになります。
書かれている指番号は絶対ではありません。書かれている通りでは弾けない、ということはあり得ます。
例えばこちら⇩の楽譜
出典:『ピアノランド3』「ふゆのぺんきやさん」より
右手はレを1の指で弾き始め、次の小節の頭のソを4の指で弾くようになっています。
でも、3の指で弾いても全く問題ありません。
楽譜では、その次のシを5の指で弾くようになっていますが、ソシを4→5で弾くのは弾きづらいということがあります。
3→5で弾いた方が弾きやすいのであれば、それで全く問題ありません。
でも・・・
音の流れにスムーズに対応していけるか
指使いを考える時、上に書いた通りまずは楽譜に書かれている通りにやってみるわけですが、その際「なぜこの指になっているのか」ということを理解することが大事です。
その指番号になっている理由が必ずあります。
上に挙げた例で考えると、なぜソの音は4の指になっているのか、ということですね。
次のシの音だけを考えると3の方が良いように思えます。
ソ→シは音が1個飛んでいます。3→5なら指も同じように1本飛ばすことになりますもんね。
けれど、はじめの方の音の並び「レミファレソ」を見ると、音が隣同士の並びになっていて指1,2,3,4、を使って指1本に対して1音で弾けるんです。
だからソは4の指になっているわけですね。
ソを3の指にしたために「レミファレソ」がスムーズに弾けなくなってしまうのなら、楽譜通りの4の指のままの方がいいかもしれない、ということです。
そういうことを理解したうえで、自分に合った指使いを、見つけていかなければいけません。
指使いって頭を使う
指使いは音の流れと密接に関係しています。
次は高い音(もしくは低い音)へ移っているのに、その直前で5(もしくは1)の指を使っていては移れません。
スラーがかかっているのに、そのように弾けない指ではダメです。
例えばこういったことを分かっていないと、応用が利きません。
楽譜の先々を常に把握してさっと指を決める、ということを曲を弾いている間やり続ける。
結構、頭使いますよね。
指使いに常に注意を払いながら曲を弾き進めていく経験を積むことで、初めての楽譜でも自然な指使いを始めからできるようになっていくんですね。
指使いにはこだわろう
こうしたことから、普段の自分が行うレッスンでも指使いにはずいぶんこだわっているつもりです。
まずは楽譜に書かれている通りに弾く。
書かれていないところで、おかしな指になってしまっているときは、一つ一つ確かめて必要なら書き入れる。
「次がこうなっているからこの指になるんだよ」ということを説明する。
「楽譜に書かれている指使いが絶対」ではないので、弾いてみて別の指の方がよさそうならそちらに変える。
レッスンしている曲をOKとする基準の一つに「自然な指使いで弾けているか」は大きな要素です。
指使いは、豊かな表現をするための重要な技術です。
(公開日:2016年8月15日 最終更新日:2024年9月24日)
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