ピアノで和音を弾くのは、けっこう難しいことだと感じています。
特に、ピアノを始めたばかりのころは、同時ではなくてバラバラ・・と音が鳴ったり、出ない音があったりするのはよくあること。
和音を弾くときに気をつけなければいけないことを、手の形や腕の使いかたなどを交えながらまとめてみました。
和音の弾き方「ドミソ」を例に・・
和音とは
高さの異なる2つ以上の音が同時に響くことによって生まれる、重なり合った音のことを「和音」という。
『早引き音楽記号・用語事典』(ナツメ社)より
ということですね。
ピアノの場合は、4つくらいまでが多いかな。
♯や♭があって黒鍵が混じっていたりするとまー大変!手のひらが裂けそうな感じで・・
今回は、オーソドックスな「ドミソ」の和音を弾くことを想定して話を進めていこうと思います。
つまり、黒鍵を含まない、右の指なら指番号1,3,5を使って弾く和音ということです。
ドミソの和音ってこれ⇩ですね。
和音の前に・・ピアノを弾く基本
和音の弾き方に入る前に、ピアノの弾き方そのものの基本についてまとめます。
和音を弾く際にも重要な事柄だと考えているので。
基本の弾き方のポイントは、以下の3つです。
- 手のひらと鍵盤を並行に
- 指は軽く丸まっている
- 指だけで弾かない
1と2は手の形に関することですね。
3は、指を1本ずつ弾くときに特に注意しなければいけないことですが、和音を弾く際にも大切です。
手のひらと鍵盤を並行に
ピアノを弾く際は、手のひらと鍵盤は「並行」になっている必要があります。
鍵盤をまっすぐに下ろすために大事なことです。
これは、指をスムーズに動かすことや音量を調整することにも大いに関係してきます。
そして、手指の動き方から考えて無理のない形です。
もっともありがちな手の形は、小指側に傾くこと。
この状況で鍵盤を押すのは手にとって不自然な動きになり、痛めることにつながります。
人間の手は物をつかみやすいように発達してきました。
ということは、げんこつを握るような形で手のひら側に曲がるのが自然です。
でも、小指側に傾いた状態でピアノを弾くと、斜めに動かさなくてはいけなくなります。
これでは不自然だということがわかると思います。
まっすぐ下へ動く鍵盤へ、斜めに力を加える。
力学?的なことはよくわからないのですが、効率の悪い力の加え方だということも容易に理解できるのではないでしょうか。
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指は軽く丸まっている
「指を少し丸めた形」は、ピアノを弾く際の手の形としては常識になっているのかなと思います。
その「少し丸めた形」は、あえて作るのではなく、「自然にそうなってしまう」形がよいです。
力を抜いて腕をダランと下げたとき、指は少し丸まっているはずです。
それは、力を入れて丸めているわけではなく、自然にそうなってしまうんですよね。
そのまま鍵盤の上に置いた状態。その形でピアノを弾くのが理想です。
自然な形のまま弾くことができます。
そして、鍵盤を押してピアノを弾くわけですが、その際、基本的には指には力を入れません。
フニャッとならないように形を保つための最低限の力がいるだけです。
指だけで弾かない
実際、ピアノは指を動かして弾くので、「指で弾くもの」と考えがちです。
ですが、そういう感覚だけでいると、手指を痛めてしまうことにつながります。
指を動かすための筋肉は、手のひらや前腕にあります。
指の中にあるわけではないんですね。
そして、指の骨は手首から分かれています。
実際の肉のついた「手」を見るだけではわかりにくいですが。
なので、手のひら(手の甲)で見えない部分も意識して、そこから動かすようにすることが大事です。
その際、指を動かす筋肉のある前腕を意識して、そこから指の方へ力を流していくようなイメージを持つとよいのではないでしょうか。
そして、鍵盤の上に置いた状態からそのまま下へ下げる(鍵盤を押す)ようにします。
手の甲で見えない部分から下へ動かす意識を持っていれば、見た目の指の付け根の部分がへこむような弾き方にはならないはずです。
また、そのように弾く必要もありません。
関連記事→ピアノを弾くときの基本的な手の形と指の動かし方を、こちらに詳しくまとめています。
和音の弾き方
ここまで書いてきたことを元に、和音の弾き方を見てみます。
和音を弾くときの最大のポイントは、「使う指すべてを均等にまっすぐに下ろすこと」だと考えています。
和音を弾くときにも重要「手のひらと鍵盤を並行に」
特に重要なのは、上に挙げた「1」です。「手のひらと鍵盤を平行に」ということですね。
これは、ピアノを弾くことそのものにとって重要なことですが、もちろん和音を弾くためにも大事です。
どの音もきちんと出すためには、どの鍵盤も均等に動かなければいけません。
そのためには、使う指は違ってもどの鍵盤にも同じ力が加わり、同時に動く必要があります。
それには、手のひらと鍵盤を平行にし、鍵盤に向かって真っすぐ下へ動かすこと。
手が斜めになっていては、鍵盤への力の加わり方に差ができてしまいます。
また、これも先に書いたことですが、斜めになっている状態とは小指側に傾くのが多いです。
その形のまま弾くと、小指の方に力がかかるので小指側にとても負担がかかります。
手を痛めないためにも、「並行」は大事になるのです。
手のひらと鍵盤を並行にするために
並行になっていない状態とは、たいていは小指側へ傾いている状況です。
それを「並行」にするためには、肘を少し外側へ動かします。
手のひらだけを動かすのではなく「肘を動かす」のがポイントです。
手のひらを動かして並行をつくるのは、手にとっては不自然で、手首に違和感を感じるはずです。
それは手首を痛めることにつながります。
手は腕に、腕は肩につながっています。肩から腕全体を意識して肘を動かすことが大事です。
まっすぐに下へ下げる
音がかすれたり出なかったり、また、バラバラと鳴ってしまったりしないように和音を弾くには、どの鍵盤も同時に動かなければいけません。
弾くべき音の鍵盤に指を置き、手のひらと鍵盤を平行にして手の形を整え、そのまままっすぐに下へ下ろすようにします。
指を下げるというより、腕から使う指全体へ力を流していくようなイメージで下げるようにします。
その時に大事なのは、手の形を保ち続けることです。
指や手首がフニャッとなってしまうと、同時に音が出なかったり音量が違ってしまったりします。
この「手の形を保つ」ということが、始めのうちは難しいと思います。
ポイントは、上に書いたことと同様「指だけで弾かない」ということです。
指だけで弾くイメージを持っていると、指を動かすことにつながり、音が揃わずバラバラと鳴ってしまいがちです。
かといって、そうならないために指に力を込めて固めてしまうと、次の音への移動がスムーズにいかなくなります。
第一、指に力を込めるということは、指を動かす筋肉のある手のひらや前腕に力を入れるということです。
これでは疲れてしまって弾き続けることができません。
指の形をキープするためだけの最低限の力を込めて、あとは、腕からの力の流れをイメージして下へ下げるようにします。
この「最低限の力」がどのくらいなのかは、何度も弾いてみて身につけていくことかと思います。
とにかく、手をがちがちに固めないこと。そして、指だけで弾こうとしないこと。
これが大切ですね。
『バーナム ピアノ テクニック 導入書』(全音楽譜出版社)から、和音のある曲を弾いてみました。
参考になればと思います。
和音を弾くには手の形と力加減
どの音もきちんと出して和音を弾くには、手のひらと鍵盤が平行になるように手を置いて、その形を保ったまままっすぐ下へ下ろすこと。
手の形とそれを保ち続ける力加減が重要だと思います。
そして、すべての音が同時に出せるようになったら、どの音を聴かせたいのかを考え一つ一つの音の音量を調節していく段階に入ります。
まずは、和音の音が全部出せること。そのコツをつかむこと。
それが大切です。
(公開日:2018年3月14日 最終更新日:2024年2月22日)
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