C.グルリット作曲「小さなロマンス」

今回は、コルネリウス・グルリット作曲「小さなロマンス」です。

とっても美しいメロディーの、ロマン派時代の曲ですね。

難易度は、バイエル中ごろくらいでしょうか。

「バイエル中頃~後半程度」となっている『ちいさな手のピアニスト』4巻(ヤマハ)に収載されています。

演奏はこの楽譜を使用しています。

それでは、細かく見ていきます。

動画で確認しながら読んでいただけると分かりやすいかと思います。

「小さなロマンス」基本情報

題名こども音楽会「小さなロマンス」Op.210-15
作曲者/国コルネリウス・グルリット(1820-1901)/ドイツ
時代区分ロマン派
調性ハ長調 転調あり
楽式A-B(二部形式)
拍子8分の6拍子
速度表示Andantino(付点4分音符=84)

全32小節の小品です。

美しいメロディーと伴奏の和声の響きが特徴。

ダンパーペダルを使います。

速度表示は「Andantino(Andanteよりやや速く)」。

私の使用した楽譜には、メトロノーム表示も書かれています。

「Andante」は「歩くような速さで」と訳されることが多いですね。

すると「Andantino」は、「少し速めに歩くくらい」といった速さでしょうか。

演奏のポイント

私が考える演奏のポイントは、以下のとおりです。

  • メロディーをどう聴かせるか

とっても美しいメロディー。

それをどう聴かせるか、がポイントと考えました。

そのために、

  • メロディーの音の動き
  • 伴奏の和声の響き
  • ダンパーペダルの踏み方
  • 速度

に注意を払って練習をしました。

それでは、各楽節ごとに具体的に見ていきます。

A楽節

A楽節は16小節。

8小節ずつの2つの小楽節(a-a’)に分けられます。

冒頭部分に「p(ピアノ)」、そして「cantabile e con anima(生き生きと歌うように)」とあります。

メロディーの動きは1オクターブ以上あります。

こうした動きを細かく把握して、それに沿って大きく抑揚をつけて弾くことが大切と考えました。

そして、次の2点を重視して演奏しています。

メロディーと和声進行の変化

A楽節の大きな特長は、「a」冒頭3小節目のメロディー「ファミファレファ」の部分。

⇩こちらですね。

第2小楽節(a’)でも同じメロディーが出てきますが、「ファミファ”ド”ファ」となっています。

音がドまでしか音が上がっていません。

この違い、大事だと考えます。

伴奏部分を見てみると、和声の進行は「a」の方が単純ですね。

冒頭4小節は、コードネームで表すとCとGのみ(和音記号Ⅰ‐Ⅴ‐Ⅴ‐Ⅰ)です。

でも、メロディーの音は「ファミファ”レ”ファ」となっている。

一方、「a’」では、コードはC-G-F-E(和音記号Ⅰ‐Ⅴ‐Ⅳ‐+Ⅲ)。

Eはミ・ソ♯・シとなり、ハ長調の音に含まれないソ♯が入っています。

「a」より複雑ですね。

でも、メロディーの音は「ファミファ”ド”ファ」。素直な動きです。

この「a」と「a’」の違いは注目すべき点だと考えます。

「a’」のコード進行をもう少し詳しく見てみます。

a’のコード進行

A楽節第2小楽節(a’)のコード進行は次のようになっています。

初めの4小節:C-G-F-E(Ⅰ‐Ⅴ‐Ⅳ‐+Ⅲ)

次の4小節:Edim-Dm-C-G7-C(Ⅲdim‐Ⅱ‐Ⅰ‐Ⅴ₇‐Ⅰ)

ベース(最低音)を見ていくと、「ド‐シ‐ラ‐ソ♯‐ソ‐ファ‐ソ‐ド」となっていて、1音ずつ下がっています。

そして、ハ長調に含まれない音を使ったコードが「E」と「Edim」の2つあり、「a’」全体的に響きが複雑になっています。

メロディーは装飾音符を入れつつもシンプルですが、このベース(最低音)の動きとコードの響きがメロディーと相まって美しくしているのですね。

演奏のポイント

このことを踏まえて、次のことを大事に演奏しました。

冒頭には「p(ピアノ)」そして「cantabile e con anima(生き生きと歌うように)」とあります。

「a」は曲の始まりで、和声もシンプルになっています。

メロディーは「ファミファ”レ”ファ」となりますが・・。

音は抑え気味に。抑揚はつけますが、美しさばかりを追求してつけすぎないように。

「a’」は、「a」よりも美しさを追求してもよいかな。

コード進行を意識しながらのびやかに弾きたいところです。

喜びがあふれてくるような、そんなイメージを持っています。

B楽節

次に、B楽節です。

B楽節も16小節。

8小節ずつの2つの小楽節(b-a’)に分けられます。

「b」はト長調に転調しています。

調号はなく、臨時記号で表されています。

「b」でこれまでと全く違うメロディーとなり、A楽節と同じ「a’」に入って終わります。

「b」の最後の小節に「poco rit.(少し遅く)」とあり、「a’」の最初に「a tempo(元の速さで)」とあります。

「a’」の初めに「p(ピアノ)」もあります。

bについて

メロデイーについて

メロディーの動きはそれほど大きくありません。

同じような動きのくり返しで、とてもシンプルです。

でも、はじめの4小節は4小節にわたってスラーがかけられていて、2小節ずつクレッシェンド、デクレッシェンドがあります。

また、次の4小節は、前の小節から3小節目の頭までスラーがかかっています。

このように長くスラーがかかっているということでは、やはり滑らかに、歌うように弾きたいと考えました。

伴奏部分について

伴奏部分もとてもシンプルです。動きがほとんどありません。

ただ、基本形のコードではなく第1展開形が使われていて、なにか浮遊感を感じさせます。

「小さなロマンス」B楽節冒頭左手部分

また、メロディーの音は「レミファソ」の範囲なので、ベースの音(シ、ド)に近いんですよね。

「小さなロマンス」B楽節冒頭右手部分

こうしたことから、ふわふわした落ち着かない雰囲気がありつつも内向的な様子も感じます。

ここは注目ポイントだと考えます。

a’について

ここは、A楽節の「a’」と全く同じです。(なので同じように「a’」となるわけですが。)

1小節目に「p(ピアノ)」があります。

そして「a tempo(元の速さで)」とあります。「b」の終わりの「poco rit.(少し遅く)」を受けてということですね。

ここは、この曲の最後の部分となります。

なので、A楽節の「a’」とは変化をつけ、曲のまとめ、といった意識を持つことが大切だと考えます。

演奏のポイント

以上のことを踏まえて、次のことを大切に演奏しました。

「b」はト長調。ハ長調がト長調に転調しています。

メロディーも伴奏もシンプルで、動きも大きくない。

ただ、伴奏は第1転回形が使われ、ベース音とメロディーの音が近くなっています。

というところでは、A楽節とは気持ちを切り替えて、内にこもるような雰囲気がよいと感じます。

何か楽しかった出来事を思い出している感じでしょうか。

そして、ハ長調に戻り、「a’」のメロディーに入ります。

曲の最後なので、A楽節の「a’」よりは抑揚は抑え気味に、音も小さめが良いのではと思います。

「p(ピアノ)」も書かれていますし。

曲のまとめの部分として、これで終わっていくことを伝えるような心持ちでの演奏が必要と考えます。

ダンパーペダルについて

この曲はダンパーペダルを使用します。

私が使用した楽譜には、冒頭部分と他にごく一部しか書かれていません。

それを基本に個々でつけてください、というとらえ方でよいと考えます。

私の演奏は、基本的に1拍ずつ踏み替えています。(6/8拍子なので、1小節2拍と捉えています)

2拍目が1拍目からのタイでつながっているところは、1拍目でペダルを踏んだらタイの音が終わるころ離す、という形に長めに踏んでいます。

冒頭部分のペダル

「a」の最後や「b」の最後といった切り替えの部分も、1拍めで踏んだペダルを2拍目に入るまで長めに踏んでいます。

「a’」終わりの部分のペダル

実際に書かれている状態とは、自分なりに少し変えています。

自分が演奏したいイメージや音の響き具合、濁り具合をよく聞いて、細かく決めることが大切だと考えます。

速度について

最後に速度についてまとめます。

この曲は「Andantino(Andanteよりやや速く)」となっていて、私が使用した楽譜には「付点4分音符=84」とあります。

私がメロディーから感じた速さよりかなり速いです。

なので本当は、もう少し軽やかなかわいらしい演奏の方がよいのかもしれません。

題名も「小さな」ロマンス、ですし。

そう考えると、私のは少し重い演奏になっていますね。

メトロノーム表示がある場合は、メトロノームで確認をすることが大切ですね。

それと、自分の感性を照らし合わせて速さを決めていく。

もう少しこだわって演奏するべきだったかもしれません。

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