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【内容紹介】『ぴあの どりーむ1』明確な指導ポイントと美しいイラストでゆっくり着実に

ピアノ導入教材

今回は『ぴあの どりーむ』を取り上げます。

永田萌さんのやさしくやわらかいイラストが印象的な、子ども向けのピアノ導入教材ですね。

イラストがとにかく豊富で、絵本を見ているような感じ。心がほっこりしてきます。

今回は1巻のみを紹介します。

ゆったり無理なく進めていけるような、優しい感じのテキストです。

『ぴあの どりーむ』とは?

『ぴあの どりーむ』は、学研ホールディングスのグループ会社である学研プラスから出版されています。

初版は1993年。今年2023年から数えて30年前になりますね。

著者は田丸信明さん。

この『ぴあの どりーむ』シリーズを始め、『おんがくドリル』や併用曲集『ピアノの森』の著者でもあります。

テキスト、ワーク、併用曲集がシリーズで

『ぴあの どりーむ』全部で6巻

すべて題名のつけられている”曲集テキスト”となっています。

他に、「ワークブック」と「レパートリー」がありますが、それぞれ第6巻まであります。

並行して使っていけるということですね。

参考詳しくは出版もサイトの紹介ページをどうぞ。

ぴあのどりーむ・シリーズ一覧|楽譜|学研 おんがく.net
教育の学研が販売している音楽書・楽譜・CDの紹介サイトです。田丸信明先生によるピ...

明確な記載が見当たらないですが、収録曲から考えると、第6巻終了でブルグミュラーに入る程度の難易度になるようです。

幼児版、そして第7巻も

『ぴあの どりーむ』には、「幼児版」もあります。

テキストとワークブックの2冊に分かれていて、「2歳6か月から使える」となっています。

また、2018年9月に「ぴあのどりーむ7」が発売されています。

内容は、「第6巻終了からソナチネ導入まで」。

ここまでフォローされているシリーズは他にないのではないでしょうか。

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『ぴあの どりーむ1』内容と進み方について

ぴあのどりーむ 1

それでは、具体的な内容をご紹介します。

本書は、目次の次のページに〔第1巻のカリキュラム・ポイント〕という枠で、内容が箇条書きでまとめられています。

以下に転記します。

1、右手・左手における指番号の順序の違いを理解させます。
2、子供にとって大切な絶対音感とソルフェージュをつけるために、ハ(一点ハ)の音を中心として、大譜表と鍵盤の関係を理解させます。
3、音域と指番号は次の通りです。
  ・ト音記号・・・1,2,3の指で中央ドからドレミ
  ・ヘ音記号・・・1,2,3の指で中央ドからドシラ
4、1指による右手奏・左手奏と交互奏の体験から始まり、右手および左手の1・2・3指を使った演奏を習得していきます。
5、楽譜の要素として4/4、4/3、4分音符、2分音符、付点2分音符、4分休符が出てきますが、それぞれの読み方、意味等は2巻以降で改めて学びます。

『ぴあのどりーむ』第1巻〔第1巻のカリキュラムポイント〕より
上記の3は、五線図で示されています。また、上記の5は、それぞれ記号、音符、休符で示されています。

これで、目的や内容が分かると思いますが、もう少し詳しく書きます。

曲を弾く前に指番号を覚える

まずは、見開き2ページで指番号を覚えます

テキストにそのまま手を置いたような形で、左ページに左手、右ページに右手のイラストがあり、それぞれ番号が振られています。

そして、左手の方にはヘ音記号の五線があり、中央ドへ向かってラシドの音が書かれ、指番号も付けられています。

右ページはその逆。ト音記号の五線があり、中央ドからドレミの音が書かれ、指番号が付いています。

下部には、「ゆびのうた」というタイトルの楽譜があります。コードネームの付いた1段譜で、歌詞が書いてあります。

先生の伴奏で歌って、指番号を覚えましょう、ということですね。

この『ぴあの どりーむ』第1巻は、中央ドから上へドレミ、下へドシラの音域しか出てこないということですね。

上に引用した〔第1巻のカリキュラム・ポイント〕の3番にある通りです。

このページですべての音が示されている、ということになりますね。

「曲」の部分について

次のページから、すべて題名のついた「曲」を弾くことになります。

特長は以下のようなことになります。

  • 全部で26曲
  • 24曲が著者、田丸信明さん作曲+わらべうた2曲(いちばんぼし」「ほたる」
  • 15曲目までは4小節 16曲目以降に8小節の曲が7曲が混ざる
  • ほとんどの曲が歌詞つき(無い曲が2曲)
  • 伴奏譜付きは12曲 付いたり付かなかったり
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曲の進み方

曲の進み方、つまり、音域の広がり方や左右の使い方などをまとめてみます。

音域の広がり方

上にも書いたとおり、第1巻で出てくる音域は中央ドを挟んで「ラシドレミ」の5音のみです。

広がり方は次の様になっています。出てくる拍子や音符についてもまとめます。

  1. ド(5曲 4/4拍子4小節 4分音符、4分休符)
  2. ドレ(5曲 +2分音符)
  3. シドレ(6曲うち3/4拍子8小節が1曲)
  4. ラシドレ(6曲うち8小節3曲 3/4拍子2曲 +付点2分音符)
  5. ラシドレミ(4曲うち8小節3曲)

始めは中央ドだけの曲が5曲続きます。

すべて4/4拍子4小節で、4分音符、4分休符のみです。

音域の広がりとともに、2分音符が加わり、8小節と長くなります。

そして、3/4拍子が出てきて、付点2分音符が加わります。

左右の手の使い方

左右の手は、以下のような弾き方で進められます。

右手でドレミ、左手でドシラを1,2,3の指で、ドは左右どちらでも弾くようになっています。

  • ドのみ・・右4小節で1曲→左4小節で1曲→左右弾き継ぎ3曲
  • ドレの音域・・右手のみ1曲→左右弾き継ぎ4曲(左はドのみ ドは右でも弾く)
  • シドレの音域以降・・始めから左右弾き継ぎ(ドは左右どちらでも弾く)

左右を弾き継ぐ形になっても、手を変えるタイミングは分かりやすく工夫されています。

1小節ずつ交代であったり、4拍子なら2拍ずつになっていたりという形です。

(ドのみの曲では、1拍目のみ左手という部分があります。また、3拍子の曲も3拍目のみ右手となっているものがあります。)

音の飛び方

音域が広がってくると音が飛ぶ部分も出てきます。その状況をまとめます。

音が飛ぶのは、音域がシドレになって以降ということになりますね。

  • 音域シドレ・・最後の曲でシ→レが1ヵ所
  • 音域シドレミ
    • シ→レ1ヵ所
    • 1曲の中でラ→レ2か所
  • 音域ラシドレ
    • ド→ラ(左のみ)1ヵ所
    • 1曲の中でレ→シ、シ→レ1ヵ所ずつ
    • シ→レ1ヵ所
    • 1曲の中でラ→レ2か所
  • 音域ラシドレミ
    • ミ→ラ1ヵ所
    • 1曲の中でド→ミ(右のみ)2か所、レ→シ、レ→ラ1ヵ所ずつ
    • 1曲の中でレ→ラ2か所
    • 1曲の中でラ→ミ3か所、ラ→レ1ヵ所、ミ→ラ1ヵ所、ド→ラ2ヵ所

右手でド→ミといった具合に、片手の中で音が飛ぶのは2か所のみです。

あとはすべて左から右、右から左という形での飛び方です。

理屈での説明は無し

音符の読み方や意味などについての説明は、一切ありません。鍵盤と楽譜の位置が示されているだけ。

〔第1巻のカリキュラム・ポイント〕の5にある通りです。

そういったことは「第2巻以降で学ぶ」と書かれていますね。

なので、音楽記号や速度表示なども全く出てきません

まずは、簡単な旋律を弾きながら体でリズムなどを感じていく、ということですね。

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『ぴあの どりーむ1』の特長 指導ポイントが明確

全部で26曲あるこの『ぴあの どりーむ』第1巻ですが、すべての曲で指導すべき内容が書かれています

上に書いた〔第1巻のカリキュラム・ポイント〕の次から1ページ半にわたってまとめられています。

例えば・・

2.ことりがトントントン……鍵盤奏の前に歌詞を言わせながらリズム打ちを行ってください。伴奏をつける場合はスタッカートをはっきりと出すようにしましょう。

*赤字部分は原文のまま

『ぴあの ドリーム』第1巻 各曲の指導のポイントより

これは、2曲目の「ことりがトントントン」に対するものですが、全曲でこのような形にまとめられています。

どういった目的の曲で、どういったことに注意が必要で、どういった練習をさせるのか・・

もっと長い文章のものもあり、かなり具体的に書かれています。

新米ピアノ教師にはとってもありがたい。

また、これだけ丁寧に書かれていたら、親子で教える場合もよいかもしれません。

『ぴあの どりーむ1』楽譜の状況

最後に楽譜の状況についてまとめます。

新しい音を覚えるときには、必ず1ページを割いて、鍵盤の絵と楽譜が二つを対応させた形で載せられています。

鍵盤の絵には音名が、楽譜の方には指番号が書かれています。

曲の楽譜は、ページの上部がイラストで下に1曲という場合もありますし、1ページ2曲の場合もあります。

1ページ2曲の場合は、反対のページは全面イラストです。フルカラー!美しいです・・・

楽譜はそれほど大きくはありません。五線で7㎜、大譜表としては4㎝程度。

子ども用の導入教材としては小さい方ではないでしょうか。

文章での説明が一切なく、楽譜周りがごちゃごちゃしておらず、それが見やすさにつながっているのかなと思います。

イラストは、すべてイラストレーター永田萌さんによるものです。

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『ぴあの どりーむ1』まとめ やさしさにあふれた教材です

『ぴあの どりーむ』第1巻についてまとめてきました。

音域、リズムなどなどすべてにおいて、進み方はとてもゆっくりですね。

そして、色鮮やかな美しいイラストが、とってもやさしい雰囲気を作っています。

楽譜は決して大きくありません。

でも、見た目がすっきりとしていて分かりやすく、集中しやすいのではないかと思います。

「これからピアノを楽しんでいこうね」という気持ちが、テンション高くにぎやかな雰囲気ではなく、やさしく包み込むような、おちついた印象であらわされているなと感じます。

進み方はゆっくりではありますが、「指導ポイント」はかなり細かくはっきりと書かれています。

この通りに進めれば、しっかり着実に進歩していけるのではないでしょうか。

お値段が「1400円+税」と少々高めで、バイエル終了程度で6巻まである。

ここがが少しネックにはなるでしょうか。

でも、この雰囲気がぴったり合う、という子もいますよね。

私は、実はこれまで自分の教室でのレッスンで使ったことがないのです。

でも、このテキストが良かったかもしれないと思っている生徒はいます。

この子の醸し出す雰囲気と、「ゆっくり着実に」がもう少し必要だったかも、というところからです。

楽譜選びは難しいですね。

これまで使うことのなかった『ぴあの どりーむ』ですが、これからも常備しておきたいと思っています。

(公開日:2018年11月22日 最終更新日:2023年12月1日)

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