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【徹底紹介】『ピアノランド』1,2,3 曲を楽しむ導入教材

ピアノ導入教材

子ども向けのピアノ導入期教材『ピアノランド』。

日本中のピアノ教室で、多く使われている有名なテキストですよね。

私も自分の教室でよ~く使っています。

とにかく曲がとてもいい!バラエティー豊かです。

「曲集」の形で作られていて、「良い曲をたくさん経験してほしい」という思いが詰まった教本です。

1巻から5巻まである『ピアノランド』ですが、今回は1,2,3それぞれの内容をまとめます。

それぞれの巻で、どういった内容でどのレベルまで進むのか、などを確認してみてください。

『ピアノランド』って何?

まずは『ピアノランド』そのものについて簡単にまとめます。

「ピアノランド」と一口に言ってしまいますが、ピアノ導入のメソッドです。

なので、ピアノ演奏を体系的に学べるように、テクニック教本や発表会向け曲集などシリーズで出版されています。

『ピアノランド』は、その中心となる教材ということですね。

すべて、著者:樹原涼子さん作曲のオリジナル曲.。

日本人による日本人のためのピアノメソッドを目指した、ということです。

初版は1991年。今から30年ほど前ということになりますね。

このメソッドの最大の特徴は「2段階導入法」

第1段階ではピアノを使わずに、聴く力、手の使いかた、歌心、読譜を学び、そのあと実際にピアノを弾く第2段階へ入る、という形です。

その第1段階のテキストが『プレ・ピアノランド』です。

『プレ・ピアノランド』を終えてから、今回紹介する『ピアノランド』へ入る、というのがこのメソッドの本来の流れです。

(実際は『プレ・ピアノランド3』からピアノを弾き、『ピアノランド1』とともに用いることになっています。)

『ピアノランド』は「曲集教材」と説明されていることがありますが、その通り「曲」しか載っていません

一般的なテキストにあるような楽典的な説明のページは全くなし、です。

これも大きな特徴かと思います。

「まずは音楽を楽しむこと。理屈は後から。」という考えで作られています。

参考ピアノランドについて詳しく知るにはこちら。

ピアノランドとは – 樹原涼子 ようこそ!ピアノランドへ
pianoland | 作曲家/ピアニスト 樹原涼子 公式web

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『ピアノランド1』について

ピアノランド(1) せんせいといっしょにうたってひける

それでは内容を見ていこうと思います。まずは『ピアノランド1』から。

ピアノを初めて弾く、という段階ですね。

全部で19曲すべて8小節の長さです(8曲目以降はすべてリピート記号がありリピートすると16小節)。

楽譜はページの下部に4小節ずつ、見開き1曲です。

五線の幅は1.4㎝、大譜表としては5.2㎝と、導入教本らしく大きな楽譜になっていますね。

1曲目の前に・・

1曲目の前に「ぴあのらんどであそぼう」というページがあります。

書かれているのは・・

  1. ゆびばんごうをおぼえよう
  2. ゆびのたいそうをしよう
  3. こっけんであそぼう
  4. ドをさがそう

以上の4つについて、1ページずつ使って大きなイラストで説明されています。

「ゆびばんごうをおぼえよう」のイラストの手は、原寸大。子どもの手の大きさとおんなじですね。

音域は中央ドから上下へ

音域の広がり方は、中央ドから上下へ広がる形です。

『1』では、最終的に上下4音(右ドレミファ、左ドシラソ)まで広がります。

広がり方は、右から1音ずつです。

  1. 中央ドのみ・・2曲
  2. 右ドレ左ドのみ・・2曲
  3. 左右とも2音(右ドレ、左ドシ)・・2曲
  4. 右ドレミ、左ドシ・・4曲
  5. 左右とも3音(右ドレミ、左ドシラ)・・2曲
  6. 右ドレミファ、左ドシラ・・3曲
  7. 左右とも4音(右ドレミファ、左ドシラソ)・・4曲

楽譜の左上隅に手のイラストが載せられていて、使う指が赤くなっています。

分かりやすい!

拍子やリズムの進み方

拍子は以下の通り。

  • 4/4拍子・・14曲
  • 3/4拍子・・2曲
  • 6/8拍子・・最後の3曲

出てくる音符は8分音符まで(2分、付点2分、4分、付点4分、8分)。

全音符は出てきません。

導入教材1冊目で6/8拍子、そして8分音符が出てくることは、他にはない特徴ですね。

8分音符は6/8拍子だけではなく、4/4拍子でも出てきます(終わりの方)。

休符については、4分休符と8分休符が出てきます。

6/8拍子の曲のみで8分休符が使われていますが、他はすべて4分休符。

3/4拍子も4分休符で終わります。

休符の使われ方もリズムを難しくする要因ですが、『1』では、曲の終わりに使われている場合がほとんどです。

曲の途中であってもメロディーの区切りでの使用で、複雑な使われ方ではありません。

メロディーの流れは?(音飛びの状況など)

メロディーラインはとてもシンプルです。

できるだけ隣り合わせの音で弾いていけるよう工夫されていると感じます。

すべての曲で左右受け渡しをしてメロディーを弾いていく形です。

18曲目に2小節だけ両手で弾く部分があります。

左右にわたって5度や6度の音飛びがありますが、片手内では、右3度まで、左は4度までです。

アーティキュレーションに関わる記号としては、16曲目でスラーが登場します。

関連記事『ピアノランド1』を実際にレッスンで使ってみた状況をまとめました。

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『ピアノランド2』について

ピアノランド(2) カラー版 せんせいといっしょに うたってひける (はじめてのピアノカラー版)

次は『ピアノランド2』を見てみます。

こちらは全部で20曲楽譜の大きさは「1」より少し小さくなります。

といっても、五線の幅は1㎝、大譜表としては4.4㎝です。大きめですよね。

曲の長さは、最後の4曲で、見開き1曲合わせて3段の楽譜になります。

それまでは『1』と同じ、見開き1曲で4小節ずつの長さです。

「ぴあのらんどであそぼう」は1ページのみ。体をリラックスさせる体操が載っています。

音域はさらに広がります

『ピアノランド1』で右ドレミファ、左ドシラソまで音域が広がりました。

『2』では、右ドレミファソラシ、左ドシラソファミレドまで広がります。

広がり方は、やはり右から1音ずつです(最後だけちょっと違うけど)。

  1. 右ドレミファ、左ドシラソ・・3曲
  2. 右ドレミファソ、左ドシラソ・・1曲
  3. 右ドレミファソ、左ドシラソファ・・6曲
  4. 右ドレミファソラ、左ドシラソファ・・2曲
  5. 右ドレミファソラ、左ドシラソファミ・・5曲
  6. 右ドレミファソラシ、左ドシラソファミ・・2曲
  7. 右ドレミファソラシ、左ドシラソファミレド・・1曲

そして、9曲目までですが、『1』同様、使う指が赤く塗られた手のイラストが載っています。

音符休符の種類増えリズムは少し複雑に 拍子もいろいろ

まず、増える音符は全音符。それに伴って、休符は全休符と2分休符が加わります。

さらに、タッカのリズム(付点8分+16分音符の付点のリズム)が出てきます。

出てくる拍子は、

  • 4/4拍子(10曲)
  • 3/4拍子(3曲)
  • 6/8拍子(4曲)
  • 2/4拍子(1曲)
  • 2/2拍子(1曲)
  • 5/4拍子(1曲)

5/4拍子がある!

バラエティーに富んでいますね~。

両手奏始まる(メロディーの流れや音飛びの状況も)

『ピアノランド2』の大きな特徴は、1曲目から両手奏が始まることでしょう。

1曲目は同音の連なりでユニゾンですが、2曲目では、右は全音符で左が動く形です。

左右でのメロディー受け渡しの曲もはさみつつ、右メロディー左伴奏といった形が増えていきます。

そして、最後の曲で、左で5度の重音が出てきます。

メロディーラインは相変わらずシンプルな感じで、5指固定で弾けるものがほとんどです。

1曲のみですが、ラソファミレ→ソファミレド・・と5指を使って順番に移動するものがあります。

そして、最後の3曲で指くぐりが出てきます(いずれも右のみ)。

ほとんどが五指固定で弾ける、ということは、音飛びも左右それぞれ5度までです。

様々な音楽記号、調も登場

演奏を豊かにしていくための記号もいろいろと出てきます。

アクセントスタッカートテヌート。リズムに関わってきますがタイも登場。

オクターブ記号フェルマータrit.も。

曲も長くなります。1カッコ2カッコや、D.S.fine.も登場します。

また、『ピアノランド2』では、様々な調が出てきます。

10曲目から♯♭が登場それぞれ2つまでの調ですね。

間に調号のないハ長調やイ短調の曲を挟みつつ、

  1. ニ短調(♭1つ)
  2. ニ長調(♯2つ)
  3. ト短調(♭2つ)
  4. ト長調(♯1つ)
  5. ホ短調(♯1つ)

の順で出てきます。

指の練習曲つき

この『ピアノランド2』から「指の練習曲」が載せられています。

10曲目から指のポジション移動が始まるため、その準備という位置づけです。

楽譜は小さめ。指に集中してもらうため、特に楽譜を読む必要はないということですね。

すべて伴奏譜がついていて、先生と一緒に弾く形になっています。

もう少し終わりになってから出てくる指くぐりや、音階の練習も含まれています。

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『ピアノランド3』について

ピアノランド(3) せんせいといっしょにうたってひける (はじめてのピアノカラー版)

最後に『ピアノランド3』を見ていきます。

曲数は全19曲ですが、19曲目は6手連弾です。

『1』にも『2』にもある導入ページ「ピノランドであそぼう」は、輪唱の曲が載っています。

「まいごにならないでげんきにうたえるかな?」と書かれていて、自分の声をよく聴こう、という意図でしょうか。

楽譜の大きさは『2』と同じ。五線幅は1㎝、大譜表としては4.4㎝ですね。

五指固定はなし!すべて両手奏 和音も増える

音域はさらに広がり、5指固定で弾ける曲はなくなります。

音域は広がりますが、ト音記号ヘ音記号ともほぼ五線内に収まる範囲で、加線の音はあまり出てきません(出てきても2本まで)。

そして、1曲目からすべて両手奏になります。

左右それぞれの役割をもって弾く、ということで、左右ともよく動きます。

音域が広がり5指すべてを駆使する形になるので、『1』『2』にあった「使う指のイラスト」はなくなります。

代わりに、右上隅に曲のポイントがまとめられています。

弾き方や注意しなければいけないことなどが、2つくらいずつ書かれています。

和音もいろいろな形が出てきます。

3度の重音、5度の重音、和音でタッカのリズムを弾いたり。3和音もあります。

リズムもより複雑に

リズムも複雑になってきます。

まず、タ~ンカのリズム(付点4分+8分)が出てきます。

また、8分音符の3連符があります。

まず膝などを打つ形で登場し、最後の曲でメロディーとして実際に弾きます。

休符の使いかたが複雑になり、小節の頭や途中にも頻繁に出てきます。

『ピアノランド2』で出てきた「タッカのリズム」以外は16分音符は出てきません。

拍子は、4/43/46/82/2拍子

『2』までで登場しているものばかりです。

4/4拍子は「C」と表現されるようになります。

強弱記号の登場 曲はさらに長くなる

『ピアノランド3』から強弱記号が出てきます。pfmfmpsfffが登場します。

クレッシェンド(cresc.)デクレッシェンドは随時出てきますね。

楽譜は、すべて見開き2ページで3段(一部4段)になります。1段5~6小節が主ですね。

リピート記号は、新たにD.S. to Codaが加わります。

リピートのない曲は3曲のみ。ほとんどの曲に何らかのリピート記号がついています。

ハ長調の曲は激減 転調も

調は♭3つのハ短調が加わります。ハ長調は6曲に減り、いろいろな調で弾くことになります。

出てくるのは次の通りです。

  • ハ長調、イ短調(調号なし)
  • ヘ長調、ニ短調(♭1つ)
  • ト長調、ホ短調(♯1つ)
  • ニ長調(♯2つ)
  • ハ短調(♭3つ)

さらに、転調する曲が2曲あります。

どちらも、同じ調号の長調から短調へという並行調による転調です。

指の練習曲つき

『ピアノランド3』も「指の練習曲」が載っています。こちらも見開き2ページで4曲です。

内容は「半音階と和音」。より複雑になっていく指の動きに対応したものということですね。

『ピアノランド2』同様楽譜は小さく、読譜ではなく指に集中することを第一にしています。

また、先生と一緒に弾けるよう4曲とも伴奏譜がついています。

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『ピアノランド』1,2,3を表にまとめてみた

『ピアノランド』1,2,3をそれぞれまとめてきましたが、ここで、一つの表にしてみます。

その方がわかりやすいかと。

音域右:ドレミファ
左:ドシラソ
右:ドレミファソラシ
左:ドシラソファミレド
五線内に収まる程度
拍子、リズム・4/4,3/4、6/8拍子
・8分音符まで(全音符なし)
・左記+2/4,2/2,5/4拍子
・付点8分+16分(タッカのリズム)
・4/4、3/4、6/8、2/2拍子
・4/4=C
・左記+
付点4分+8分(タ~ンカのリズム)
8分の3連符
音飛び、和音など・右3度、左4度
・和音なし
・両手奏開始
・音飛び左右とも5度まで
・右指くぐり
・左5度の2和音
・すべて両手奏(5指固定なし)
・右2,3和音、左2和音
記号、調・始めへリピート、スラー
・調号なし(ハ長、イ短)
・左記+
アクセント
スタッカート
テヌート
タイ
オクターブ記号
フェルマータ
rit.
1カッコ2カッコ
D.C fine
・調性は左記+♯♭2
・強弱記号の登場
・左記+D.S. to coda
・調性は左記+♭3つまで

共通している部分

ここまで、『ピアノランド』1,2,3の違い、変化をまとめてきましたが、共通している部分もあります。

それは以下のことです。

  • 全曲歌詞つき
  • 全曲伴奏譜つき
  • 楽曲のみ(楽典的な説明ページなし)

この3点は、『ピアノランド』の”うり”でもありますよね。

導入期は使う音が限られてしまうので、とても単純な曲になってしまいます。

それを、一緒に歌ったり伴奏をつけたりすることでステキな曲に大変身!

今は多くの導入期教材でこのようになっていますが、『ピアノランド』が先駆けなのかな。

それから、3つ目の「楽曲のみ」という点。これは今でもあまり見られないように思います。

とにかくまずは曲の演奏を楽しもう!ということなんですね。

楽典的な内容は、先生が生徒の状況に合わせてその都度説明をする、ということが求められています。

『ピアノランド』1,2,3のまとめ ステキな曲がいっぱい!

この『ピアノランド』、私も自分の教室のレッスンでよく使っています。

小学校入学前後でレッスンを始める子には、まずこちらをお勧めしています。

その第1の理由は、曲がイイ!!ということ。

いろんな雰囲気の曲が入っています。

長調ばかりではなく、『ピアノランド1』から短調も出てきます。

明るい感じ、暗~い感じ、楽しい感じ、穏やかな感じ、しっとりとした感じ、力強い感じ、華やかな感じ、にぎやかな感じ・・・

実に様々!

初めて中身をじっくり見たとき、「使える音の数が少ない中、よくもま~こんなステキな曲が!!」と驚いたものです。

導入期の教材として進み方は決してゆっくりではありませんね。

生徒の理解度によってはかなりていねいに説明したり、弾いて聴かせたり、練習させたり、が必要かと思います。

途中で挫折した子もいる・・私の教え方の問題か・・

でも、この魅力的な曲の数々をぜひ経験してほしい、ととても思っています。

たくさんある導入期の教材。

もっといろいろ見てみたいと思っていますが、『ピアノランド』はこれからも使い続けることになると思います。

(公開日:2018年1月16日 最終更新日:2024年3月22日)

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